語りたい。
ので、勝手に語ります。
やっぱ、長すぎだと思うんですよ。
『ドライブ・マイ・カー』。
世間の評判は上々だけど、本当にあの長尺、アリですか?
どなたかのレビューで「タバコのシーンを忘れそうになる」とあり、
「そうだよ、それだよ!!! そこだよ!」って思いました。
レビュー読むまで忘れてました。
後半に出てくる、なかなかいいシーンなんですよ。
普通なら「いい場面だなあ」で心に残るところが、
こちらは体力を削られているから、忘れちゃうわけ。
あと、見ている時も、響かない。もう疲れているから。
監督は体力がある人なのでしょうね。
私はそれほど生命力がないから、この長さは、本当にしんどい。
179分の間に3、4回座高を下げて、座り直しました。
あと、逗留先のホテルがすごく素敵だったのに、
それほどでなかったのも、ちょっと残念でした。
えー、あんなに時間があったのに、ほんの数カットかよ?
あの窓の感じとか、部屋の感じ、ずっと見てられるのに。
こういうところも、合わん(笑)。
179分を見た後に、
『Summer of 85』へ行きました。
こちらは、101分。
そうそう、2時間を切るのは、ホスピタリティですよ。
90分でしっかり伝える作品とか、本当に尊敬します。
さて、『Summer of 85』は、王道、陳腐と言ってもいいくらい。
でも、それがいい。
美しくて、儚くて、やるせなくて、こそばゆい。
いいんですよ、すごくベタで!
海が三色のブルーのゼリーみたい。ホント、キレイだから。
両方、愛する人の死と向き合う映画でした。
『ドライブ・マイ・カー』で描かれた20年以上の夫婦生活と、
『Summer of 85』わずか6週間のひと夏の恋とで
重みは全然違うけれど、
立ち直るキーが響くのは、やっぱり『Summer of 85』なんですよね。
『ドライブ・マイ・カー』はすごくボヤけます。
ひとつは、長すぎて、こちらの集中力が切れかかること。
ひとつは、せっかく『ワーニャ伯父さん』を借景にしているのに、
主人公たちに語らせるから、説明過多になること。
韓国手話など、「音」に対する「無音」をモチーフにしているのに、
吐露はいらなかった気がします。
そして、たぶん、コレが一番私の中での違和感なんだけれど、
原作が短編ってことは、やっぱりテーマもスッと伝えたほうがいい。
原作が長編だと、テーマを伝えるのに、それなりの長さが必要だけど、
短編でコンパクトにまとまっているものを引き延ばすと、
すごく疲れます。
小説と映画は、伝え方が違うから、
「映像化」するにあたって、別の要素が加わってきて、
それが演劇の稽古場風景ってことなのでしょうけれど。
カンヌで脚本賞を取った作品に何イチャモンつけているんだ?ですが。
後半の反転は「へえ、そう来たか」で面白かったですが、
2つの選択肢でどっちを選ぶかは悩むまでもなく、
「え、そんなことしないで、稽古場行け」って思っちゃって。
だって、もう稽古場の段階じゃなかったじゃん??? ねえ?(演劇知っている人なら、私の「はあ?」はわかるはず。ありえんよ)
で、そこから、見る前に期待したロードムービーターンだけど、
あれ、それほど風景撮らないんだ……で、あれれ?で。
179分って、相当入るから。
私が大好きな90分作品、2本見れちゃうからなー。
「ああ、この世界にずっといたい!」って思える作品が好きです。
話が終わるのを惜しみつつ、見たい。
ハッ! ディレクターズカット版を見たと思えばいいのか!
なら、いいかも!
監督が見せたかったものを全部見せてもらったら、3時間だった!
幻の場面も見られた! うん、そう考えよう。それがいいや。やっと決着。