アート攻めです。こんなにフラフラで、仕事は大丈夫なのでしょうか?
誰もがナゾに思うところですが、本人が一番強く感じております。
「あなた、だいじょうぶ?」
まあ、行っちゃったものは仕方がない。江戸東京博物館、両国です。
暑いけれど、風が心地よいです。
今、かかっているのは、ファインバーグ・コレクション
「江戸絵画の奇跡展」です。
ファインバーグ夫妻は、1970年代からコレクションを始めたそうです。
わずか40年ちょっとで、今回400点もの日本絵画をお里帰りさせるほど
集めてしまったわけです。
すごいですよね。今回公開されているのが、400点。もちろん、
もっとお持ちでしょう?
「これは、ちょっと貸せないわ」のお宝も絶対にあるでしょう。
それは、どんな絵なのかしら? お話だけでも、聞いてみたい
気がしますね(見せてとは言わない奥ゆかしさ?)。
ご挨拶文に、「私たちにはわずかなお金しかなく」とありましたが、
これは、本当にわずかなお金で、一大コレクションになるまで
稼ぎましたという意味なのか、ただの謙遜なのか、どちらなのでしょうね?
でも、いずれにしても、日本人以上に、日本文化、絵画を愛してくださって、
素晴らしいことだと思います。
平日昼ですが、わりとお客さんは入っていました。
美術展に行くたびに細かくアラ探しをして文句を言っている気もしますが、
きょうは違いますよ!
だって、すごく素敵なご夫妻がいらしたのです。
旦那様が車いすに乗っていらっしゃいました。
奥様が押していて、その動きが非常に遠慮深く、他の人の邪魔にならないように
気を使って動いているのがわかるのです。
「あれは、酒井抱一の12ヵ月の掛物だけど、あなた見る?」
奥様がおっしゃいます。
「見てみようか」
ニュアンスが伝わるでしょうか?
別の絵の前では、旦那様が「これは、素晴らしいね」とおっしゃいます。
奥様が「そうね」とお答えになって。
空気感が素晴らしくて、優しくて、なんだかずっとくっついて
お話を聞いていたい気がしましたが、それでは、ストーカーです(笑)。
非常に、優しい気持ちになれました。
きょうは、もうひとつ、発見もありまして。
えっと、江戸の絵って、元気ですね!
終盤、歌川豊春「遊女と禿図」がありまして。
禿を連れた遊女の立ち姿なのですが、
粋で美しいわけです。
で、この絵に加えられている賛が効いています。
「鬼の名と きけとうつくし 百合の花
外面似菩薩
内心如夜叉」
なに、平成の世まで、美女の悪口を伝えているのやら。
もうおかしくて、おかしくて。
日本人コレクターのご厚意で再会したという
伊藤若冲の「菊図」も、印象深いです。
おそらく、3枚の連作の菊の絵。
日本人コレクターは、中央をお持ちです。
で、素人目にも、状態が違います。
制作時期は同じでしょうから、保存条件とか、
まあ、いろいろあるのでしょう。
作品鑑賞というよりも、現実的なことを考えてしまいました。
ともかく、江戸は元気! イキがいいです。
美術館の外に出たら、こんな風に光が差していました。