『三菱一号館美術館名品選2013』展へ

『三菱一号館美術館名品選2013−近代ヘの眼差し 印象派と世紀末美術−』展へ行ってきました。

きょうは、19時から館長の高橋明也さんの関連アートセミナーがあったので、その前に見たいと思ったのです。でも、仕事をして、モタモタしていたら、閉館30分前というギリギリのかけこみになりました。

で、この企画展、結構微妙で。
新しい美術館ですから、それほど所蔵品があるわけでもなく、また、これまでの企画展でかなり出しちゃっているため、「お、また、君か」みたいな顔見知り感が満載なわけです。

これねー、ちょっと深いテーマになってきちゃうんですけれど。
顔見知り作品でも、油彩とポスターなどの印刷したグラフィックでは、だいぶ印象が変わっちゃう気がするんですよね。

きょうの高橋さんのお話に、「グラフィックは低く見られているけれど、芸術性は非常に高い」というようなくだりがありまして、ホント、それはそうだと思うんですけれどね。
でも、広告を目的にしたポスターって、インパクトありきだったりするじゃないですか。
あと、挿絵は、やはりこじんまりしていますよね。手元で見るものですから。
だから、なんか「知っている感」、「見たことある感」が油絵なんかよりも、より強く出ちゃうというか。えっと、私が言いたいこと伝わります???

「おお、ルドンくん、元気かね?」
「ロートレックくん、また、登場かい。頑張っているなあ」
そんな感じで、ね。ちょっと、鑑賞って感じにはなりにくいというか。
あ、好みもあります。絶対にあります。

私はルドンの黒よりも、色が入った時代が好きだし、同じグラフィックでも、過日の鹿島茂さんのコレクションは、また見たいと思うし、絶対好みがあると思うんですよね。あと、頻度もあるかなー? ルドンも、ロートレックも、ついこの間見た感じですからね。これが、数年くらい経つと、「おお、貴重なモノを!!!」と感動するかもなんですが。スミマセン、贅沢で。

なんかねー、30分しか見てないのに、次に行かれなくても、まあいいかくらいの軽さがあるんですよねえ。
だって、来年、ヴァロットン展来るし、そこで、もっといろいろ見られるわけですし。
きょうのアートセミナーも、後半は、ほぼヴァロットン展の宣伝っぽくて、ちょっと面白かったんですけれど。

ロートレックは、ロートレック本人が手元に置いていたもので、質も状態も非常によく、ヴァロットンの版画も、世界的に見ても揃っているのだそうです。他にも、レスタンプ・オリジナルとか、モーリス・ドニの『アムール』の連作とか、ボナールの置き物など、貴重な展示もあるのです(一応、話はマジメに聞いていたらしい)。

『アムール』は、一枚だけモデルの女性が乳房を出している構図があって、妙に唐突でドキドキしました。他は、非常にプラトニックな印象を受けるのです。なぜ、一枚だけ、セミヌードなんでしょう?

アートセミナーは、モネの人間関係が普通じゃなかったこと、ヨーロッパには、日本のような山岳信仰はなかったことなど、「へー」がありました。

個人的には、あんまりひっかからなかった企画展なのですが、一枚、気に入った絵があります。
アンリ・プテ『パリの女』。
なんかいいんですよ。ちょうど、おしゃべりしている女性たちが陣取っていて、よく見えなかったのですけれど。

あー、あと所蔵品展なら、この前浮世絵のスキマで出た硫酸魔の絵、また見たかったです。
アレ、好きです。え、趣味が変???

そうそう、ポール・ヴェルレーヌの詩に、ピエール・ボナールの挿絵がついた『平行して』という本は、復刻本が展示してあり、手に取って見てよい……ということになっているみたいです。
いまのところ。手袋が横にあるので、それつけて、丁寧に見てくださいって感じらしいですが。
ただ、「ご自由にご覧ください」だと、数日でボロボロになってしまい、かといって、見てもらえないのはせっかく用意したのに、ちょっとさびしいみたいなジレンマがあるようです。

きょうは、男性が手袋をしてみていらっしゃいました。ただ、結構時間がかかっていたので、
「次のときでいっか」と私はパスしたのです。次回行ったら、「やっぱ、見るのなし」になっていたらどうしましょう? まあ、ありえなくもないですね。

しかし、年パスがなくなってしまうのは、本当に残念です。
企画展の回数から考えると、今の倍額になるサポーター・システムは、ちょっと考えてしまいますね。招待券もらっても、別にあげる人いないし、そんなに毎回、1894カフェで飲み食いしないですし。
お友達とアートを見るのが習慣なんですぅとか、パートナーと行く美術館巡りが趣味での人にはよいかもしれませんが、私は基本、ひとりで行くので。
三菱一号館だけは、来年も年パス買おうって思っていたのですが、どう考えても、一般券を買ったほうが安くあがりそうです。5000円っていうのが、結構ギリギリのラインなんですよね。
「ザ・ビューティフル」を10回行くつもりで買うかもしれませんが、でもなあ、バーン=ジョーンズ展でも、10回見たら、ヘロヘロでしたしねー。

年パスで、10000円で見放題、モトが取れそうなのは、トーハクくらいじゃないでしょうか?
トーハクなら、それくらいしても、迷わずに買います。今の企画展一回ずつ、展示替えは無効は、微妙に使いにくいから、一年で脱落しましたけれど。

まあ、だから、「サポーター」なんですよね。うーん、三菱一号館さんには、いっぱい見せていただいたから恩返ししたい気持ちもありますが、でもなあ、やっぱりちょっと高いし、招待券余らせそうだし、踏みきれないかもしれません。きっと、私みたいな感じの人、多いんじゃないでしょうか? まあ、来月まで年パス有効なので、ちょっと考えてみますよ。

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加