ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション

先日、美大出の友人にしみじみ言われました。
「なんで、そんなに見に行くの?」
なんででしょう? ホントは、画家になりたかったのでしょうか?
デッサンで脱落しておりますが。
というわけで、余裕が戻った途端、行くのは、美術館なのです。

行く前にあまりにもおなかが空いていて、ドゥ マゴ パリに行ったら、美術展タイアップのお料理がカツレツでした!!! おお、カツレツ! しかし、気分じゃなかったので違うものにしましたが。そうか、カツレツ。どうも、カツレツに目がいきます。そして、その度にマスタードが隠れている、あるいは、ついていない……で、「うーむ」となります。

ドゥ マゴ パリのカツレツは、パンが別(と聞こえた気がしますが、写真にありますね)で、1730円です。で、写真をジロジロ見て見ますと、やっぱり、カラシはないように見えます。ないのでしょう。きっと。
もうこの際、出会ったら、無条件でカツレツを頼む人になっちゃえばいいんじゃないかしら?
いや、それはどうだろう?と思いつつ、やっと本題です。

『ミラノポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション』の公式サイトの説明によると、「ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリが先祖代々の素晴らしい財産を受け継ぎ」とありますが、会場では、先祖から受け継いだ美術品はもちろんあるけれど、「美しいものを集め、邸宅を美術館にする」という強い意志で蒐集されたような印象を受けたのですが。
最初に集めたのが、甲冑だそうで。展示されているのは、甲冑コレクションのほんの一部。
ヨーロッパでもっとも美しい邸宅美術館といわれるポルディ・ペッツォーリ美術館には、ものすごい数の甲冑が並んでいるとか。

タピストリーから、15、16世紀の絵画、ブロンズ像、ヴェネチアン・グラスが並びます。
余談ですが、ヴェネチアン・グラスを見て、「あ、ヴェネチアングラスだ!」ってすぐに見分けられるのは、UKAI箱根ガラスの森美術館のおかげだと改めて思いました。たくさん見せていただいたから、ちゃんと見分けられるんですよね。ありがたいです。

『ミラノポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション』で、もっとも心に残ったのは、金色の地球儀型卓上時計です。12星座があしらわれているところが気に入りました。
というか、あの並びにあるすべての品にため息が出ます。美しい。

絵画で心に残ったのは、こんな感じです。

クラナッハ(父)の「洗礼者ヨハネ」と「無原罪の御宿りの聖母と幼子イエス、二人の天使」。キレイ、キレイ。欲しい、欲しい!
ラファエッロ・サンツィオに帰属するという「フランシェスコ会派聖人たちが描かれた宗教行列用十字架」。いいものに見えてしまいます。暗示にかかりやすいのでしょうか?
「聖カタリナの絵」が何枚か出ていました。アンドレア・ソラーリオ、ピエトロ・ロレンツェッティ、ベルゴニョーネ、いずれも、美しくかったです。カタリナのシンボルの車輪、ちょっとひっかります。車輪からはタロットカードの運命の輪しか連想しませんが。なんでしょうね?
「アルテミジア」も、キレイでした。このお話は、初めて知った気がします。

当展の看板、ポッライウォーロの「貴婦人の肖像」は、存在感バッチリ。
横顔の貴婦人は凛として、何百年もの間、ありとあらゆる人の好機の視線をはねのける美しさを宿しています。
サンドロ・ボッティチェッリ「死せるキリストへの哀悼」も、画家の心境の変化が伝わってきて、貴重な体験となります。だって、「ヴィーナスの誕生」が、「死せるキリストの哀悼」になるんですよ? コレクションに加わったタイミングも、なかなか興味深いです。

不思議だったのは、ドメニコ・ティントレット帰属「ある収集家の肖像(?)」です。
見た瞬間、「知っている!」と思いました。「また、お会いしましたね」と。
でも、本展示は、すべて日本初公開のはずですから、この絵を見ているはずがありません。
似たモデルの絵をどこか見たことがある……ということでしょうか?
背景には見覚えがないので、この絵ではないですね。でも、なぜか「知っている」のです。
それとも、前世かなにかで、この収集家さんと知り合いだったのでしょうか?
うむ。謎です。
ジャン・ジャコモ氏亡き後のコレクションは、微妙にトーンが違っていて、個人的にはそんなに惹かれなかったのですが、邸宅美術館の紹介画像の中で、「なんだ、あれは?」と思ったジュゼッペ・モルテーニ「レベッカ」が日本に来ていたのは、ちょっと嬉しかったです。
「おー、実物だ!!!」

しかし、貴族らしく生きるというのは大変なことです。
うなるほどのお金、地位、名声。
美術館を作ろう、そして、邸宅を解放しようと思いつき、実行するまでに、どれほどの苦労があったのでしょうか? お金の苦労はなかったとしても、いろいろな輩が集まってくるでしょう。
その中で、正しいものを選ぶ選択眼が必要だし、コレクションを構成する基準も持たないといけません。いいアドバイザーがいたとしても、丸投げには出来ないから、教養と審美眼が試されます。
「帰属作品」が多いというのは、選ぶ目が確かだったということですよねー。
おそらく、コレクションに加わった段階では、誰の作品かいまひとつハッキリしなくて、現代の科学で「高い確率で、大家のもの」ということになったわけですよね。
蒐集家にとっては、ちょっとした誉れではないかと思ったりしました。きっと、「いいと思ったから、買っただけ」くらいの感覚だと想像するのですが。

貴族って、大変ですねー。

ただの偶然ですが、邸宅が美術館として公開されたのは、1881年4月25日なのですね。
うかがったのが、2014年4月25日というのは、ちょっと嬉しい気がします。
誕生日占いブログを書いていると、どうも日付に敏感になっていけませんね。

いっぱい書いちゃいました。たぶん、私は、好きなんでしょう。この時代が。
願わくば、いつかミラノの邸宅美術館におじゃまできますように!

ザ・ミュージアムでは、5月25日まで。
その後、あべのハルカスに巡回するようです。5月31日~7月21日。

 

 

 

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