「足らないのは、お互いさまだ。やりくりしながら生き延びるしかねえ。あっちを引いてこっちを足してするうちに、話がねじ曲がっちまうこともあらあな。だが、今は、まっすぐに正す余裕はねえ。だから、まるっと飲み込むよ。泥も被るよ。オレが悪者で構わねえ。それで、場が収まるなら、構わねえ。縁がありゃ、筋道が通るかもしれねえし、なきゃないで、それはそれ。いちいち話さねえとわかってもらえねえのが、切ねえときもあるんだよ。なら、言わねえで、泥被るよ。あいつは情け知らず、不義理のはみ出し者、鼻つまみ者で、構わねえ。構わねえよ。それも、オレだしな。あるいは、そいつが本当のオレで、ここにいるオレは、まがいもんかもしれねえな」