2023映画22「ロストケア」

主演のお二人、助演に至るまで、大変な怪演、好演。
基本的に、日本人はむやみに長生きし過ぎたと思っているので(自分も、自分の親も含めて、ね)、 松山ケンイチさん演じる斯波の瞳、何か光を当てて怪しく光らせているのですが、これがもう絶妙に美しい。対する検事である大友役の長澤まさみさんも、過去に見せていただいた作品の中でもダントツにキレイ。
この美しさが、介護の現実の醜さ、やるせなさとの対比になっています。

サイドストーリー的に捌く側の大友親子のやりとりが挟まれるのですが、ここがどうにも陳腐。母親役は、藤田弓子さんで不満のあろうはずがないのに、セリフが陳腐に流れていきます。何がいけないのかわからないが、結構大事なシーンだと思うのに、テンションが落ちてしまうし、「あー、ハイハイ」みたいに脳が処理しちゃうから、非常にもったいないと感じました。たぶん、大友検事はあんな安いセリフは吐かない。仮に原作にあのセリフがあっても、思い切って削ればいいのに。絵だけで伝わるよ。と、ここだけげんなりしました。

ともあれ、これは粗探しのようなもので、全体によい作品です。
もうちょい狂気に振ってもよかったかもしれないし、いや、この淡々とした感じで十分な気もするし。
大いなる共感をモラルを促す一声で水を差したバランスも素晴らしいです。

あと、同じ時間の上映を見ていたお客様の中に、自力で歩くのがやっとな女性が息子らしき人につきそってもらっていた姿は印象的でした。
見なければ!と思ったのですね。

『PLAN75』の時の「んなことはわかってんだよ、その先の話だろう!」的肩透かし感はなかったけれど、まあ、この作品も答えはないわけ。
究極のところ、国がもっと本気で老人ケアを考えないとこの国は亡びるってことだけが残って、なかなかよい鑑賞になったと思いました。

1.SHE SAID/シー・セッド その名を暴け2.恋のいばら3.ノースマン 導かれし復讐者4.モリコーネ 映画が恋した音楽家5.エンドロールのつづき6.キャバレー7.ヒットラーのための虐殺会議8.ヘアー9.バビロン10.エゴイスト11.君の名前で僕を呼んで12.BLUE GIANT13.別れる決心14.#マンホール15.Sin Clock16.バイオレント・ナイト17.エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス18.フェイブルマンズ19.湯道20.マジック・マイク ラストダンス 21.パリタクシー22.ロストケア

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2023年4月15日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃