2023映画37「福田村事件」

関東大震災の際に、井戸に毒を投げ込んだ的な疑いをかけられ、朝鮮人たちが殺されたという史実は知っていました。

この映画は、朝鮮人と間違われ、日本人が殺されたというもの。

ちょっとココで、勘違いが挟まってしまったんですよねー。
映画好きの歯医者さんと「福田村事件、見ないとですよねー」って話して、
「あれ、千葉の話らしいよ」
「本当ですか? 日本全国で、殺戮(く、普通に出ない。さくりく、ね)あったのかと思ってましたよー」というやりとりで、ミスリードされてしまい、

まあ、私の勝手な思い込み、勘違いなのですけれど。

朝鮮人の人がひどいめにあってしまう映画だと思い込んで鑑賞に臨みました。

だから、相当エグいだろうと覚悟して。
井戸にうかつに近づいて誤解されちゃうのかなーとか、
そういう心構えで映画館に行って。
フタを開けてみたら、「あれ???」みたいな。

映画としては、どうだろうなあ。
なんか全体にとってつけたような感じがあって。

ただ、あの子、よかったなー。
集団殺戮のきっかけになったコ、最初から一人異次元で。
一人不穏。
でも、主要キャストに名前がないからわかんないなー。
あなた、どなた?(パンフ買え)

これ、肩透かしだんですよね。
もっと恐ろしいと構えていたから、非常に牧歌的で、
演劇的で。

セックスに光を当てすぎて、色ボケしちゃっているのがひとつ。
んな、あっちこっちでやりまくらなくて結構ですよ。
切羽詰まった感じ、止むに止まれぬ感じをもっと出して欲しいが一つ。

だって、なんで止まれないのか、さっぱりわからないから。
「やってはならないけれど、まあ、こういうことはあるかもしれない」と
思わせるまでの殺気と緊張感がない。

ひとつは、エキストラの人数かもしれないし。
狂気を宿せる役者を「殺される側」「止める側」に置いちゃったせいかもしれない。
もっと殺る側がギラつかないと、みんな、理性が残っているもん。
まあ、令和の人間だしね、仕方ないかもだけど。
でも、「殺す側」と「殺される側」のキャスト入れ替えたら、たぶん、違うぜ?

善意の村人でいいけれど、それが豹変する恐ろしさがないと、
セリフだけが一人歩きするよねえ。
まあ、それくらいでいいのかもだけどさ。

怖くて忘れられない一作になる要素があったけれど、見たことを忘れそう。
ああ、名前がわからない女の子とか、田中麗奈さんの存在の軽やかさ、
東出さんは、本当にもったいないよねえとか(まあ、売れっ子ではあるか)、
その辺は断片的に残るかもなー。
行商チームは、やりがいがある役だよねえとかね。

ともあれ、いろいろ小綺麗に作り過ぎよね。「え、お前も庇うの?」みたいな。
そこ、キャットファイトの泥仕合でよかったんじゃないの? 「えー、最後にそれ、持ってくる?」みたいな。まあ、そういう”演劇的な作品”です。ハイ。

1.SHE SAID/シー・セッド その名を暴け2.恋のいばら3.ノースマン 導かれし復讐者4.モリコーネ 映画が恋した音楽家5.エンドロールのつづき6.キャバレー7.ヒットラーのための虐殺会議8.ヘアー9.バビロン10.エゴイスト11.君の名前で僕を呼んで12.BLUE GIANT13.別れる決心14.#マンホール15.Sin Clock16.バイオレント・ナイト17.エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス18.フェイブルマンズ19.湯道20.マジック・マイク ラストダンス 21.パリタクシー22.ロストケア23.TAR/ター24.最後まで行く25.ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー26.シン・仮面ライダー27.ウーマン・トーキング 私たちの選択28.65/シックスティ・ファイブ29.青いカフタンの仕立て屋30.ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE31.古の王子と3つの花32.君たちはどう生きるか 33.バービー34.アステロイド・シティ35.ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇36.名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 37.福田村事件

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年10月15日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃