2024映画13「違国日記」

まず、最初に。私は、「原作好き過ぎ」勢です。

フェードインから始まる作品。もやもやした世界がリアルに変わる感じは、大変期待が持てます。へえ、この子が朝ちゃん、ちょっと幼い印象だけど、どうだろうなあくらいからスタート。

まず、原作好きは「盥」待ちをするでしょう。
両親を亡くして、葬儀の席で親戚が「どうするの、この子」ってなるシーン。

が、ここでいきなり説明台詞が来た!

あ、これ、ダメだ、帰ったほうがいいかも。

絶望を救ったのは、新垣結衣さんの「朝」というセリフ。
そこから、早瀬憩さんが「朝」なりました。なんて見事な!

居ずまいを正して見ることにして。
槙生ちゃんの部屋、いいじゃん。そうだね、そんな感じだよね。

でも、「盥」で説明台詞が入る仕様は、止めようがありません。
どんどん似て非なる世界に変わっていきます。

なまじ原作に寄せようとしているから、パチモンみたいな仕上がりに。
余計なことすんな、出来ないなら手を出すな。

朝の10代感じは、よく出ていて。早瀬憩さんのキャラをよく被せてリアルに仕上がっています。
が、これは、パラレルワールドですね。

後半1時間、「帰ろうかなあ」「一応、どう落とすか見るか」で、参加はしたのですが、エンドロールと共に席を立ちました。
繰り返します。原作、好き過ぎ勢です。

「盥回し」がわからない客は切り捨てろ!
わかんないなりに、なんか残って、調べる人はいるだろうさ。
説明台詞を入れたいなら、場面変えてからしやがれ。

タイトルの意味も、原作第一巻で早々に書かれていて。
そこ、拾わないで、わかる人にはわかるするなら、
「たらいまわし」もわかる人にはわかるでいいじゃんか。

もしかしたら、監督も逆らえないような、すごく上のほうから、
「ここ、わからないから、説明いれたほうがよくない?」的な指示があったのかもしれないけれど、そこは、作品世界を守ってくれ。
朝の頭に浮かぶということが、大事なんだから!
終電ギリギリで、急いでいるのに、見終わってすぐに原作11巻のラストを読み直し、心を立て直しました。

プリンスの映画でも、たいして文句を言わない私が、NOを言うのは、原作が好きだから。わざわざやるなら、「ああ、映像化ってすごい」って思わせて。
オープニングのフェードインがよかったみたいに。
「あの世界をこうやって描くなんて」を見せて。それが、原作ありの仕事です。

でも、ジブリのゲオ戦記よりは罪が軽い。全然、許容範囲。

あ、でも、バカみたいに長かった。付け足したところを全部カットして、縮めても全然問題ないと思う。「違国日記」を使ってご自身が言いたかったことは、別作品にするべきだよ。別作品としてなら、「リリカルだね」ってきっと好意的に見れるから。

1.オッペンハイマー2.PERFECT DAYS3.プリシラ4.ソウルフルワールド5.マリウポリの20日間6.関心領域7.NTLワーニャ8.バティモン5 望まれざる者9.ドライブアウェイ・ドールズ10.マッドマックス:フュリオサ11.プリンス ビューティフル・ストレンジ12.恋するプリテンダー13.違国日記

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2024年6月13日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃