2025映画19「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」

神田祭、室町一丁目祭で、山車が町内を練り歩くというのがあるのですが、前回、ベタに張り付いて、写真を撮りまくったこともあり、今回は、最初だけ見て、それから考えようと思いました。

折悪しく、雨も降ってきて、相当悩んだのですが、日比谷シャンテシネマでトークショーつきの回を見ることにしました。

リー・ミラー、全然知らなくて。
シビル・ウォー アメリカ最後の日」のモデルになったリー・ミラー。

戦場カメラマンなのですが、その前は、ヴォーグのトップモデル、
マン・レイの恋人、ミューズ、共同制作者、シュールレアリスムのアーティスト、ファッションカメラマン、ル・コルドン・ブルーのシェフ、そして、母にもなって。

本当に一人の人生の話?なのですが、映画の中では、「戦場に行く直前」と「戦場」、老齢期に絞られます。

感想がいつになく、丁寧でしょう?
すごく響いたのです。リー・ミラーさんは、美貌と才能、頭脳に恵まれ、恋多き人生を送るのですが、その根底にあるのは、ある種の衝動で、「こうしなきゃいけない」で突き進んでいきます。結果、第二次大戦の暗い影の部分に光を当てることに。

8年をかけて製作された作品だけあって、脚本がよく練り込まれています。
私に響いたのは、「消えちゃったの」です。
そうか、リアルタイムだとそういう感じかと。

私たちは、知識として、ナチスドイツが何をしたのかを知っています。
なぜか、私は「目を逸らしてはいけない」気がして、ナチス映画はわりと見ているのですが。2018年からだから、たいしたことはないけれど、何本も見た中で、「消えちゃった」の視点はなかった気がするんですよね。

また、後半のクライマックスで、ちょっと「関心領域」みのあるシーンもあって。時間したら、ほんの数秒なのですが、よく入れたなと思いました。ぞっとしました。

2025年に観た映画の中で、個人的にはベストワンです。とにかく考えさせられる、軸が自分に戻ってくるので、本当にありがたい、よく作ってくださったと思います。

いろいろ報われないことが多い世の中ですが、リー・ミラーさんの不遇っぷりを思うと、耐えられる気がしますね。彼女はいろいろ持っていて、ハタから見たら、恵まれていて、でも、本当に欲しい物は手に入らずに、結果、人の闇を暴くことになり、世界に訴えようとしたら、退けられたわけで。

クレジットを奪われ続ける人生って、どれほどの痛みなのだろうか。
もう慣れた、そんなものよ、なのか。
恥知らず、今に思い知ることになる、なのか。

ね、私の中からいろいろ引き出してくれるでしょう?

トークショーも、楽しかったです。みなさん、いろいろご存じで。
知識の裏打ちがないと、成立しないのが、映画の仕事だなと思いました。

シュールな記念撮影タイム


5/9(金)公開|映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』公式サイト

2025年映画
1.劇映画 孤独のグルメ 2.アーサーズ・ウイスキー3.ショウタイムセブン4.デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ『マクベス』5.ANORA アノーラ6.F1ow 7.名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN8.アンジーのBARで逢いましょう9.教皇選挙10.BETTER MAN/ベター・マン11.白雪姫12.アマチュア13. ウィキッド ふたりの魔女14.シンシン SING SING15.マインクラフト/ザ・ムービー16.未完成の映画17.パリピ孔明 THE MOVIE18.アンジェントルメン 19.リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界

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2025年5月11日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃