八月納涼歌舞伎『日本振袖始』『火の鳥』

パーソナルトレーニーングのトレーナーさんが「『火の鳥』を見たくて」とおっしゃるので、私もつい、チェックしたら、うっかり戻りのチケットを見てしまい、でも、競り負けたのです。
いや、16,000円の席だと、ちょっとどこか気になるじゃないですか。
で、「(席を)自分で選ぶ」にしたら、一瞬で消えました。

次に6,000円も出て、これも競り負け、17,000円、特等席が出たので、ついうっかり手を出しました。9列目でした。

『日本振袖始』

まったくノーチェックでいきましたが、非常によかったです。
七之助さんは、美しいし、米吉さんは可憐ですね。
なにしろ、お席がよいでしょう?
すっぽんから七之助さんが上がってきて、パッとにらむ延長上にいて、
「ああ、もうきょうは、これでモトが取れた」と思いました。

すっかり話が抜けていて、出雲の話、八岐大蛇か!で、めっちゃテンションが上がりました。で、これ、昔、見たことがありますね。後半、覚えがあります。3階とか、そういうところから見ていたと思います。

最初は、岩長姫なんですねえ。ああ、これも嬉しい。全然、わかんなかったけど。「美女にも、美丈夫にも、大蛇にもなっていく」
本当に歌舞伎のサービス精神は素晴らしく、毒にやられて、花道でもだえるシーンも、客席中央がメインなんだけど、ちゃんと桟敷側にも向きます。

また、途中、三味線独奏のシーン(お二人いらしたかなあ?)では、お囃子方をカーテンで隠します。
わあ、これは、素晴らしい配慮だと思いました。
わざわざ独奏いれなくてもいいと思うんだけど、いれるのが玉様なんですねえ。
どうしても、入れたかったんでしょうねえ。

非常にケレンミがあって、わかりやすく、よいお話でした。もう一回見たい。

岩長姫実は八岐大蛇
稲田姫
素盞嗚尊
七之助
米吉
染五郎

『火の鳥』

これを見るために大枚をはたいたのに、睡魔が襲ってきて、どうにもなりません。
なにしろ、紙芝居仕様です。千夜一夜物語みたいな。

ウミヒコ、ヤマヒコが火の鳥を探しに行くだけの物語、
んーっと、青い鳥をちょっと思い出しました。鳥つながり。

別に何も悪くないんだけど、あまりの平坦さに眠気がくるわけ。
眠くて、眠くて仕方なくて、ウトウトするけれど、場面が変わっていなくて。
やっと玉様が出来てきたら、基本羽ばたいているだけ。
バレエダンサーつき。
ちょっと世界平和を語って、クレーンでフライングして去って行かれました。

なるほど、昔なら歌舞伎座にはかけられなかった自主公演が今はもう誰も止められないのでしょうね。

一晩寝たら、だいぶ整理されて、わかってきました。
これは、玉三郎さんの理想の具現化なのでしょう。
今、美しいと思うもの、見る価値があると感じる物を舞台に上げていらっしゃるのでしょう。

旅する映像美は、素晴らしかったです。
場面がどんどん変わっていく。非常にスマートだったし、洗練された映像でした。

ただなあ、本当に申し訳ないのですが、そういうのを芝居で見せてきたのが、伝統芸能じゃないのかなあ?と思ってしまい……。

映像に頼らない仕掛けで、あれこれ、やってきたこと。
たとえば、お岩さんの仕掛けなんて、めいっぱい考えられて、今でも「へえ」ってなるようなこと。あのあたりも、デジタル処理しちゃえばいいってこと?みたいになってしまって。

きっと、新作歌舞伎はそういうの、いいことになっているのでしょうねえ。
だいぶ、このあたりで、振り落とされ、リンゴの場面は悪くないけれど、本当に眠くて眠くて仕方がなくて。ウトウト、ウトウト、あ、玉様出てきた……。

まあいいや。玉様が考える美に触れるための17,000円だったということで。
個人的には、3階席で、めでたい焼き買えるほうがよかったかも。
(なんでめでたい焼き、1階じゃないんだろう?)

あ、あと羽根は、持ち帰ろうとすると、かかりの人にめっちゃ怒られますよ。手出し無用です。

火の鳥
ヤマヒコ
ウミヒコ
イワガネ
重臣
大王
玉三郎
染五郎
團子
新悟
亀鶴
幸四郎
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2025年8月9日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃