友枝昭世さんが見たくて、今年は観月能に行こうと決めたのが8月8日。
おそらく、7月末日発売のチケットの戻りをタイミングよく買えたのだと思います。すっかり忘れていて、「ハッ!」となって、のぞいたら、買えました。
それでも、B席でしたけれど。
とりあえず、大人気でチケットは瞬殺です。
前回、厳島神社に行ったのは、2008年11月23日。珍しく、旦那と行きました。
めっちゃ混んでいた記憶がありますが、無理もないですね。紅葉ハイシーズンです。無茶していたなあ、昔の私。
その時、出来なかったことをやろうと思ったのです。
1.弥山に登る
2.宮島に泊まる
3.生ガキとあなご飯を食べる
途中、人と一緒に行ったのにソロだった高尾山登山が挟まったので、
「弥山に登ろう」と気持ちが傾きました。
あ、ロープウェーがあるのです。弥山には。
そこから、めっちゃ本気を出しまして。
モンベルへ行き、登山靴とストック、トレッキングポール、靴下を買い、
もう一度行き、畳めるリュックと手袋を買い、
Amazonでヘッドライトの代わりになるミニ懐中電灯を買い、
さらに、旦那にヘッドライトも借りました。ふー。
ただ、「本当に登るの?」の決心がつかず、
だって、朝3時起きで、ほぼ半日移動、夜はお能ですよ? 間に山を挟むのって、ちょっと無謀ですよね。
新幹線は9時で予約をしていました。が、無事に3時に起きられたので、
品川始発に変更しました。

本当は、広電に乗りたかったのですが、今回は往復JRで。


この時点で11時ちょい前、ホテルに荷物を預けて、登山モードになって、
厳島神社は遥拝で、紅葉谷コ-スを目指します。
途中、ローブウェーの分岐があるので、相当迷いました。
「行きをロープウェー、帰りを歩くでもいいのでは?」と。
でも、ここで日和ると、一生登れない気がして。
今回は、「途中で折り返してもよい」ことにして行きました。

インバウンドな方々に励まされつつ、なんとか登頂。
これねー、ロープウェー合流後がキツいです。
「もう終わり」って思っちゃった後から、40分くらい歩くし、
人が増えるのに、山のマナーではなくて、観光客=お客様意識の人ばかりになるせい。

うかうかしていたら、14時近くになったので(だいぶ時間がかかっております)
帰りはロープウェーで下りました。
大鳥居の干潮に滑り込み、下を歩き、
ホテルでチェックインして、焼き牡蠣を食べに行き、
また、ホテルに戻って、ざっと温泉に入ったら、もうお能の開場時間です。

登山&温泉で感覚が狂ってしまい、いっぱい防寒着持ってきたのに、
うっかり薄着で行ってしまいました。もらったパンプを背中に、
もらったカイロをお尻に入れて、ギリギリでした。アホ、私。
お能は本当に素晴らしかったです。
ただ、観客のモードが全然ケのままで、ハレにならない。
つまり、ノイズが多いのです。
野外で寒い、おそらく、そんなにお能を見てはいらっしゃらない方がほとんどなのでしょう。
毎年、観月能はご覧になっているかもしれませんが。
仕舞が始まっているのに、遅れてきて、「どこですか?」と声に出して聞いてしまうお客様。後ろを無神経に歩く人たち、回廊なので地震のように響きます。
後半、冷えてきたため、服を着る衣擦れの音。
シテが幕の向こうに消えた途端、帰り支度をする人たち。
嘘でしょ?と思いました。
せっかくの、「静寂」「波の音」「夜」が成立するシチューエションなのに。
本当にもったいないと思いました。ちょっとだけ、集中しようよ、そしたら、素晴らしいよ?
でも、これ、毎年こうなんだろうなあ。
観客の意識が「お能」ではなく、「寒さ」「早く帰らなきゃ」にある以上、
どうにもならないですね。野外だから無理もない。
でも、これ、「残念」というだけで、「仕方がないこと」と考えが変わりました。
奇跡のような一瞬、「静寂」をシェアできる舞台は揃っているけれど、
きっとそんなことは起こらない。
あるいは、S席なら、気にならないかな? わからないけれど。
B席は、ちょうどお幕の正面、だいぶ、上手寄りでしたし、
柱の陰、男性の後ろだったのに、キレイに見えました。

いろいろ思ったのは、「神様のお導き」なんだなってこと。
当日券も売っていたし、途中ツアーのSに乗り換えも考えたのですが、
なぜかログインできなくて。
「じゃあ、Bでいいか」って思って座ったら、よかったのです。
幕の正面すぎて、橋がかりがないかと思ったら、ありました。
へええ!!!

20:20終演予定が20:10には終わったので、
ギリギリ宿の夕食にも間に合いました。
お昼、おにぎり一個だけだったので、めっちゃ食べました。
30分とは思えない勢い。
きっとホテルの人は呆れれたでしょうが、人には事情があるのですよ。ホホホ。