2025映画33『生きがい IKIGAI/能登の声』

信頼できるクリエーターの作品が見たいと思い、
宮本亞門さんの北陸能登復興支援映画『 生きがい IKIGAI』を見に行きました。

非常に簡素な構成です。
ドキュメンタリーではなく、鹿賀丈史さんを起用してのフィクションで描くのは、いろいろ考えてのことなのだと感じました。
「うわ、この透明感、この安らぎはなんだ?」と思ったら、常盤貴子さんでした。

話は、なんてことなく、「え? もう?」というくらいさらっと終わります。
ショートムービーはダテじゃないです。28分。

エンドロールが流れると、今度は、メイキングちょいありのドキュメンタリーの部となっていくのですが、こちらも非常に簡素です。

でも、これ、輪島塗のレスキューをされている方の「能登の人はプライドが高い」という言葉を引き出せたから、それ以上はもういらない気がしますね。
加賀藩の誇りと自然の恵みが能登なのでしょう。

金沢に何度かお邪魔しているのに、能登には足を伸ばせずにいて、
それが本当に悔やまれます。もう車の免許がないとうかがえない場所になってしまったから。

非常によい作品だと思います。
簡素な優しさがあって、それは、非常にベタな手法で表現されるんだけど、
変に捻るよりもずっとよくて、ちょっと涙がこぼれて、私が泣くのは珍しいんだけど。まあ、見ていただけたら、「この辺で泣いたな?」はわかると思います。
というか、常盤貴子さんで泣ける。なんだ、あの安心感、素晴らしいな。
今、おいくつくらいなんだろう???
おお、53歳? うぉー、まったくわからん。40代に見える。!!!

空から降ってくるもの、武骨な急須と湯飲み、神社に転がっていた狛犬さん、狛犬さんにかかる雪、隆起した海岸線、敵を蹴散らす和太鼓……。
2024年元旦の震災から10ヶ月後の能登の風景。

宮本亞門さんが救い上げたのは、全体のほんの一部で、
長い物語には出来なかったのでしょう。でも、一幕物の演劇のような完成度の高さだと感じました。
また、同時上映されるドキュメンタリーの距離感もよいですね。
「再生」のターンが輪島塗で。
きっと、そこは撮らせてもらえたのでしょう。

記録を残すのって難しい。人の気持ちに寄り添うのも難しい。

キレイゴトと本音。触れる部分と触ってはいけない部分。
ちゃんと伝わるよい二部構成です。

2025年映画
1.劇映画 孤独のグルメ 2.アーサーズ・ウイスキー3.ショウタイムセブン4.デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ『マクベス』5.ANORA アノーラ6.F1ow 7.名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN8.アンジーのBARで逢いましょう9.教皇選挙10.BETTER MAN/ベター・マン11.白雪姫12.アマチュア13. ウィキッド ふたりの魔女14.シンシン SI・NG SING15.マインクラフト/ザ・ムービー16.未完成の映画17.パリピ孔明 THE MOVIE18.アンジェントルメン 19.リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界20.サブスタンス21.IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー22.たべっ子どうぶつ THE MOVIE 23.か「」く「」し「」ご「」と「24.ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング25.ビョーク コーニュコピア26.マリリン・モンロー 私の愛しかた27.来し方 行く末28.ぶぶ漬けどうどす29.リロ&スティッチ 30.ババンババンバンバンパイア31.F132.国宝33.生きがい IKIGAI/能登の声

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2025年7月14日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃