つくづく、自分が平凡な鑑賞力の持ち主だと再認識しました。ターナー展では、イイナと思うものが、イヤホンガイドに取り上げられ、クリアファイルになっていました。
「バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨」1798年、23歳。
ファンタジーの世界のような虹。
なんだか聖地に行きあったように、はっとします。
23歳! 妬けますよ。
「レグルス」1828年、53歳。
古代ローマの将軍、マルクス・アティリウス・レグルスが失明する前に見た最後の光。
順路に従い、右から近づき、混雑で止まりました。
圧倒的な光!
私に向かって一直線に届く光がありました。すごい!
やっと正面に立ち、また、そこでも、一直線に届く光を浴びます。
ひゃー! どんな描き方したら、こんな光源を宿せるのでしょう?
残酷な失明の刑、しかし、その光の美しさ! 圧倒的なパワー!
「戦争、流刑者とカサ貝」1842年、67歳。
赤、赤、赤。
おもちゃの兵隊のようなナポレオン、赤、赤、赤。
絶望と孤独、栄光と失墜、野望と挫折。
赤、赤、赤の中に、ナポレオン。
「平和ー水葬」と対になる作品と言われているそうですが、今の私には、ナポレオンの赤しか響きません。
赤、赤、赤、足元に広がる水、飲み込む水、水面に写る影。哀しくも、完結した世界。
唯一、グッズになかったのは、こちら。
「村、夕暮れ(サミュエル・ロジャーズの『詩集』のための挿絵)」1830-183年頃、55-57歳。
こちら、挿絵ですから(笑)。グッズにはならないですよね。
しかし、右端にある木がいいんです。星の王子様のバオバブの木を連想しました。
ターナーは、「カレーマニア」とからかわれていたそうで。
クロームイエローを好み、多用していたからだそうですが。
二度と忘れないエピソードですよね、カレーマニア!
混雑の中でも、やけに読みやすい場所に書いてありましたよ。
あ!
ひとつ、気になりました。
混雑時、作品正面に陣取り、サイドの説明読むのは、あんまりじゃないですかね?
横着せず、場所を後ろの人に譲れば?と何度も感じました。
作品を前に、首は横、ずいぶんな扱いではないかと。
三人並んで、首が横には、呆れるより笑いたくなりました。いい展示の仕方があるといいですね。