“大丈夫”という言葉

大丈夫という言葉が会話に現れるとき、おそらく、状況は大丈夫ではないのでしょう。
けれど、「大丈夫」と答えることで、大丈夫になるのだと感じます。

どう考えても負担が大きい、いつもと違う、ダメージが予測される……けれど、「大丈夫」と口に出すことで、何とか乗り越えるという決意表明になります。

たまに、「大丈夫じゃない」と答える人もいますよね。
素直なSOSで、これはこれで、好感が持てます。

だって、大丈夫という言葉には、「それ以上、立ち入らないで」という意味もあるからです。ひとりで、なんとかするから。

“大丈夫”は、強くて、孤独な言葉だとするなら、実は、“大丈夫?”という呼びかけは、少し遠い言葉なのかもしれません。「大丈夫?」「大丈夫」までがワンセットで、呼びかけた本人が安心したいというか。
ただ、「大丈夫」で会話が打ち切られてしまうときは、気を付けないといけないと感じます。もうギリギリで、体面を取り繕うだけで、精一杯ですから。「大丈夫じゃない」よりも、ずっと大丈夫じゃない状況でしょう。

そんな中、“大丈夫!”という励ましは、悪くないかもしれません。
相手を支える力があるように感じます。
それは、「もし、大丈夫じゃなかったら、助けるから」という秘められたメッセージを感じ取るせいかもしれません。

あなたが大丈夫だと信じているから。
あなたが大丈夫だと知っているから。

きっと、大丈夫!

言葉は虚ろなものですが、空虚がある分、そこに思いを込められます。
思いがこもった言葉は強くて、人を支え、つなぎます。
からっぽな言葉と中身がぎっしり詰まった言葉をちゃんと聞き分けていきたい、選んで伝えたいと思う正月3日でございます。

 

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