明日、宮田まゆみ先生のコンサートがあります。
「宮田まゆみ 『調子・入調』全曲演奏」

これは、聞き逃せないでしょう!

しかし、聞く準備は出来ていません。
せめて、「あ、今、あのあたりだ」くらいわかる感じでうかがいたかったのです。
だから、コンサートに合わせて、暗譜したいなーって思っていたのですが、
暗譜どころか、笙に触ることもありませんでしたよ!!! ああああ!
まあ、時間なかったですね。気力もなかったです。

きょうは、無理やり時間を作って、久しぶりに笙を温めました。
吹きました。
やばい! 笙を習い始めたころに、必死で暗譜したのに、
キレイさっぱり忘れています。
もう前世の記憶くらい遠いのです。

面白いなーって思うのは、当時、本当に難しかった
盤渉調のパートだけは、ぼんやり指が覚えていることでしょうか。
出来ないから繰り返し、繰り返し稽古して、
他は忘れているのに、そこだけ、とりあえず、指が動きます。
まあ、動いたからって、吹けるわけじゃないわけですよ?
もうヘタでねー。こっちに天分はない気がしますね。
あまりに調子っぱずれなので、外で幸せそうに歌っていた鳥が鳴き止んだという!
うまい方が吹けば、鳥も一緒に歌ってくれるらしいのに。ごめんよ、小鳥さん。

まあ、万年初心者ですから、致し方ない。

それでも、久しぶりに数時間向き合いまして、ちょっと楽しくなりました。
で、久しぶりに吹いたせいで、指がつりそうになりました。
いろいろなことを思い出しました。
笙を始めたきっかけ、その流れで、蹴鞠で遊んだこと。
調子を吹きたくて(明日聞く曲です)、毎日バカみたいに
ひとりで稽古したこと。その結果、間違えて覚えたこと。
神社のこと。奈良のこと。

近鉄からメールが来て、「お客様は5年ご利用がありません」って
ありました。
5年前は、近鉄線をよく利用していて、最近はまったく
行っていないということ。

大きなうねりの中で、変わらないつもりが変わっていき、
終わったつもりが終わらなかったりして、みんな、一続きなのかもしれないと
ぼんやり考えながら、笙を吹きました。
「え、なにこれ」
「あれー、こうだっけ?」とか、楽譜を見ながら、大格闘しつつ……。

平調の調子は、いつも雨を連想します。
双調の調子は、春の訪れ。雪解けの音、風の音、曙の光。
黄鐘調の調子は、きょう吹いて、「湖っぽい」と感じました。
音を確かめつつのイメージ、ぼんやりと浮かぶ感覚です。
明日また、違う風景が見えるような気がします。宮田先生の笙の音は、空から星のかけらが
キラキラ落ちてくるような気がするのです。

もう絶対に覚えられないので、素直に諦めました。
今の私には、簡単にさらうだけで、「よくがんばりました」です。いや、「もう少しがんばりましょう」か?
明日は「キレイだなあ」って聞き惚れるだけでよしとするつもりでいます。
笙を毎日吹ける人生がいいような気がしますね。出来ることなら、ね。

このエントリーをはてなブックマークに追加