「覚悟が決まるまでは動かないほうがいい」
リリースか、保護かで悩む私に、森冬生先生がアドバイスをくださいました。
私は、グルさまと一緒に暮らしたいのです。
もし、昨日リリースしていたら、今頃探しに行っているでしょう。会えるまで、ずっと探し続けるでしょう。
ただ、迷いは残ります。
あの美しい夕焼け、海をグルさまから奪ってしまったこと。
たいして絡んでいなかったけれど、むしろ、邪魔にしていたけれど、お腹を痛めて生んだ子供たち、娘猫たちと引き離してしまったこと。
うちには、先住猫がいること。
幸い、先住猫は能天気で「おばちゃん、どうして出てこないの?」を毎日繰り返しています。
大きさが倍くらい違いますから、グルさまも相当怖いでしょう。
でもなあ、世間には、ワンコと暮らす猫もいますしね。
ゾウを手懐けて、戦争に駆り出した人たちもいますしね。
旦那には言われました。
「オレ、動物病院でびっくりしたんだよ。『リリースしたほうがいいですか?』って意味がわからなくて。飼う覚悟がないのに、連れて来ちゃったの? じゃあ、何も言えないやって」
言ってよ!!!
覚悟はあるんですよ。グルさまと黒猫さんの幸せを両立するためには
何でもしますよ。
ただ、迷いもあるんですよ。
放っておけばよかったのかな? それで、体が本格的に壊れて、死に至っても、
それがグルさまの運命かな?って。
でも、茂みの中でずっと喘鳴を繰り返していて、まるで土鳩がいるみたいになっていて、
私が行くと、嬉しそうに駆けつけてくれて……。
毎日30分は、尻トンして……。
これから冬で。お外は寒くて。咳をしていて。ボランティアさんは、フードを持っていくだけで。
今も、本棚の中に、土鳩がいます。グルグル、グルグル。
きょうも寒いね、グルさま。フードと水と猫草、またたびケリケリは用意したから、
ゆっくりしてね。トイレは、もうわかったね。
この先、何カ月、何年でも、家庭内野良猫でいいからね。
どうしても帰りたいなら、連れて行くから、出て来てね。
私の夢は暖かい部屋、ホットカーペットの上でグルさまトントンすることです。
キャットタワーの上、黒猫さん。旦那もぼーっと寝ています。
平和な冬の一日。それが、私の夢です。