駅ナカの書店で、見つけました。文庫版です。
もともとは、2010年に出版されたそうです。
内容は、内田樹氏と釈徹宗氏の2005年9月から半年、
神戸女学院で行われた講義の記録です。
読めば、目からウロコが何枚も落ちます。
ポロポロポロポロ、そうだったのか!!!と。
特に、都心部で占いがはやる理由、いかにも納得しました。
私が対面占いに踏みきれないのには、理由がありまして、
占いは、呪いだという思いがあるからです。
「こうなるでしょう」と言われたら、高い確率で、
そっちにひっぱられてしまいます。
雑誌やwebは、「読まない」選択もありますし、
音で聴くわけではないから、自分で選ぶことも出来ます。
だから、私の占いを読み、それを指針にするかどうかは、
読者さんの判断であり、考えひとつなのです。
しかし、対面となると、影響力が強くなります。
昔から人の相談に乗ることが多いのですが、
ある時期、的外れになることが続きました。
それは、20代のころ。
話していて、助言が上滑りになっていくのがわかりました。
なぜか理由を考えてみたら、私のやり方を相談者は
実行できないのです。
最初の一歩は踏み出せます。これまでのパターンとは違うから、
ここである種の「手ごたえ」はあります。
ところが、二歩目にどうしたらいいのかわからなくなるのです。
アドバイザーである私は、そばにいません。
人の性格、価値観、行動パターンを無視してはいけないと学びました。
さらに、年を重ねると、上滑り感が消えてきました。
今は、ほどよい聞き手になれている気がします。
本書の中では、宗教的な縛りが消えた分、占いで縛っているのでは
ないかと語られていました。そうかもしれません。
「今年は大殺界だから」
「ある先生によると、私は〇〇歳まで、ダメらしいよ」
そう言い切る友人の気持ちを変えることは、非常に難しいのです。
たとえば、大殺界なんて、ただの空亡ですから、どうってことはないし、
空亡の意味を広げていけば、天井知らずにのびる可能性だって
あるわけです。でも、細木先生の物語がお気に召している以上、
その人は、細木先生の世界観で生きていくことになるのでしょう。
いつのまにか、暗示にかかって、その通りに生きてしまう、そして、
それが「当たる」ということになるならば、なんとマヌケな話でしょうか?
細木先生はすごい方だと思うし、おそらく、もう一度ブームがくると
私は踏んでいるのですが、それでも、それをうのみにする友人が
気の毒に思えてなりません。
自分の人生なのに、考えること、感じることを放棄してはいけません。
占い師ごときに、ゆだねてはいけないのです。
(ええ、私は、占いを書くことが生業ですが、何か?)
本書の中で、村上春樹氏に関する部分も、面白かったです。
へえ、そんな風に世界を見ていらっしゃるんだ!!!
個人的な興味はさほどないため、こういう形で伝え知る側面は
非常に新鮮です。
「誰にでも出来ることだから」
私にも、出来るかもしれません。これまで使ってなかっただけで。
もしかしたら、こちらをお読みくださっているあなたにも。
なんのこと?
そう思われたら、ぜひ、本書をお買い求めください。いい本なんですよ。
頼まれてもいないのに、宣伝文を書いているのです。
だって、600円払ったくらいでは、絶対に聞けない、
教えてもらえない知識、視点が満載なんですよ。びっくりしますよ。
新興宗教の大きな流れ、特に、日本人の5人に1人は、大本の関係者というのは、
初耳で、まあ、無知なだけですが、驚き、妙に納得いたしました。
靖国神社に関しても、ひとつ、クリアになりました。
そういう、「なにかありそう」「でも、誰に聞けばいいの?」
「ちょっとヤバそうで、聞けない」ことの手掛かりが惜しみなく出されていて。
私には、とてもよい一冊でした。
いずれにしても、人の考えですから、偏りもあります。
それでも、自分を作る上で、何をよしとし、何を切り捨てるかの
指針になってくれる一冊だと思うのです。
自分の仕事に落とし込んでいけば、こんなことを考えます。
縛りではない占い。
鏡のように、相談者がご自身を見つめ、答えを見つけて
お帰りになれる対面占い。
それなら、やってみたい気がしますね。