ふたつの講演会

昨日一昨日と、二日連続で講演会にお邪魔しました。

一昨日は、丸の内アートサロンへ。
『クラーク美術館とアメリカにおける近代美術コレクションについて〜奇跡のクラーク・コレクション展開催によせて〜』
講師は、三菱一号館美術館の館長 高橋明也氏です。

日本の近代フランス絵画のコレクションは、世界的にも珍しいそうです。印象派などを好んで集めているのは、アメリカと日本くらいではないかとおっしゃっていました。国立西洋、ブリジストン、ポーラ、大原など。
ただ、絵を見るのが好きなだけの私には、衝撃でした。なんだか、印象派があるのが、当たり前のように感じていた気がします。

アメリカのビッグコレクターたちは、うなるほどの資金力で、好みの絵画を集めます。
今回のクラークコレクションも、お爺様がシンガーミシンで財を成した方だそうです。
フランスの近代絵画に絞って、ご夫婦で集められたこと、特に、ルノアールが素晴らしいこと。また、美術館がニューヨークからも、やたら遠い郊外に建てられたことなどが特徴だそうです。
これは、クラーク氏が二度の世界大戦を経験しているせいで、大都市でコレクションを置き、戦火による焼失を恐れたためと考えられています。

いまでこそ、印象派は、当たり前のように存在していますが、当時は、非常に革命的なことだったそうです。政治的革命が起こり、産業革命と続き、それが、絵画の世界では、印象派という動きにつながっていきます。
高橋氏は、「目と手の民主主義」という表現をなさっていました。

きょうから三菱一号館美術館で開催されるクラークコレクションは、日本初公開の作品でいっぱいです。あとで、のぞきに行ってきます!

昨日は、セルバンテス文化センター東京へ。
アントニオ・ナハーロ氏『ダンスに捧ぐ人生』。そう、スペイン国立バレエ団の芸術監督さんです。

セルバンテス文化センターは、スペイン政府により設立された施設だそうです。ずっと気になっていましたが、今回初めてうかがえました。
セルバンテス文化センター東京の館長さんが聞き手となり、対談が始まります。

35歳という若さ。
ご自身もダンサーなのに、芸術監督という大任を果たすために踊れないジレンマ。
スペイン国立バレエ団だからこそ、やりたいことがあり、同時に批判も甘んじて受けないといけない現実が伝わってきました。

スペイン舞踊は、フラメンコだけではないから、いろいろ融合させ、多様性を見せたいと考えているのに、それは、フラメンコを壊すことではないかと批判も生まれているようです。

鬼才と持ち上げられ、フィギュアスケートの振付でも成功をおさめ、脚光を浴び、でも、批判もついて回るわけです。

「チャンスが来たときに、準備はできていた。プロのスポーツ選手が、いつでも試合に出られるように」
「作品を作るためには、長時間が必要だ」
「スペイン国立バレエ団では、いろいろなスペインのダンスをショーケースのように、見せたい」
「ダンサーたちと一緒にいる」

アントニオ・ナハーロ氏の言葉の中で、記憶に残ったフレーズです。

丸の内アートサロンでは、日本語なのにヒアリングが難しかったり、セルバンテス文化センター東京では、同時通訳イヤホンをお借りしての走り書きメモを頼りに書き起こしているため、聞き間違い、ニュアンス間違いがあるかもしれません。なんとなく、ムードだけ、お汲み取りくださいね。

高橋明也氏、アントニオ・ナハーロ氏が対峙している世界を、少しだけ垣間見れた二日間でした。

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