きょうも、スペイン国立バレエ団を見てきました。
プログラムは、先日とは、変わります。
◎ホタ〜スペインのオペラ『ラ・ドローレス』より
◎ファルーカ〜フラメンコ断章
◎ボレロ
◎メデア
今回、しみじみ思ったのは、20年経つと、人は入れ替わるのだということです。
ボレロが、若かったんですよ。
センターの男性ダンサーさんが、非常に端整でした。
プログラムを見てみたら、1990年生まれ。え? 23歳?
うわあ、本当に若い!
セルヒオ・ベルナル。
プロフィールがすごい。
さらに、明日はメデアのスピリットに入るのですね。ふむ、かなり踊れる方なんですね。
全体にすっきりした印象なんですよ。
オスカル・ヒメネスとかとは違って、最近の若者なんですね。ただずまいが。
で、すっきりした人がセンターだと、何が起こるかというと、ボレロの印象も、変わるんです。
これは、びっくりしました。スペイン国立バレエ団のボレロは、ダンサーの個性に左右される演目ではないと感じていたので。
明日、フランシスコ・ベラスコなので、そこに私が無意識に求めていたボレロがありそうな気がします。
しかし、スペイン国立バレエ団、よかったですね。
一時は、どうなるのかと、心配していました。
ボレロを見ていても、伝わってくるものが違います。一時期は、なんだか飽き飽きした空気があったりして。
宝塚でいうところのベルばらみたいなもので、踊り手としては、マンネリもあるのかなあ?と思っていました。
きょうは、「ボレロを踊るプライド、喜び、自負心」みたいなのが伝わってきて、なんだかよかったです。気構えは、やはり伝わりますよね。
ただ、「あ、真ん中、若いなあ。そうか、世代交代なんかもあるよねえ」とか思っていたら、すっかり冷静になってしまい、感動しそこねました。
あの若さには、「セビリア組曲」みたいな新しさが似合うかもしれません。
あるいは、数年後、また、彼で見てみたいです。
「メデア」は、マリベル・ガジュルド。
名前に覚えがあります。
たぶん、なんか見てます。でも、本当に素敵だと感じたのは、きょうが初めてかもしれません。
本当に、美しいメデアでした。完璧でした。
幕前のシーン、あんなに長かったでしたっけ?
鈴だけだった気もするのですが、スペイン国立バレエ団を見ている友達はいないので、誰にも確かめられません。
メデアは、色っぽく、力強く、魔女全開。
イアソンのフランシスコ・ベラスコ、クレオンのクリージョ、手堅く、かっこいいのです。
ファルーカも、センターが変わると、たぶん印象がガラリと変わるでしょう。
たぶん、すべて一期一会で。
今がずっと続くように思えても、実は、そうではなくて。
過去は、未来に上書きされ、世代は移り変わり、そういう一面が人生にはあり……。
20歳のころに、20年後の話をされても、ピンとこないと思いますが、40歳になると、20年後は、比較的リアルに感じられるようになりますよね。
今は、永遠には続かない。
だから、今を大事にする。
あるいは、今に絶望しない。
なんか、そんなことを考えながら、見ていました。
しかし、若き鬼才アントニオ・ナハーロは、バランスがいいです。
本当に、「参りました」という感じです。よく空中分解しそうだったカンパニーを立て直し、また、日本に来てくださいました。パチパチパチ!
そういえば、今回は男性ダンサーさんたちの頭ビシャの演出がない気がします。
あれ、廃れたのですか?
男性がくるくる回る度に、汗みたいに水飛ばすやつ。
ああ、わからないことがいっぱいです。でも、楽しいから、いいのです。
20年後も、見たいですね。
で、ボレロを見ながら、過去に思いを馳せたいです。