だだ漏れくん

なんだか、キツいことを言っているな。
言われている人、大丈夫かな?

あまりかかわりあいになりたくなかったのですが、改札を抜けて、階段を下りてもずっと続いていたので、妙に気になり、勇気を振り絞って、振り返ってみました。
すると、男性が一人しかいませんでした。

え?

つまり、ひとり言。その人は、1人でキツい口調で話し続けていたのです。
「だから、お前はダメなんだよ」的なことをブツブツと。

呆然とする私を追い越し、その人は駅の自転車置き場へと向かいます。
行先は一緒だったので、適度に距離を取りながら、少し観察してみました。

身なりは、地味だけど、別に問題はありません。
若干気になるのは、背負っていたリュックのポケットのファスナーが開いていることくらい。
黙っていれば、普通の人です。

つらいんだろうなあと、素朴に思いました。さびしいんだろうなあとも思いました。
でも、仮に話し相手になっても、会話が成立するか、際どいところです。

なんとなくですが、こういう人が増えている気がするんですよね。
ブツブツ言わなくても、トゲトゲしている人はものすごく多くて。
チェッと舌打ちせんばかりの人、絶対に譲らない人、押しのける人、ブロックかけて、隣に他人を寄せ付けない人。
大丈夫なのかなあ? 今の日本。
日本って、こんな国じゃなかったはずなんですけれど。

かくいう私も、先月はまったく余裕がなくて、能面みたいに無表情で街にいました。
意識を他人に向けず、自己主張だけして。主に、駅で。
先に並んでいますから、この手すりは私が使いますから……みたいな?
強気で挑めば、関わると面倒くさい人って思われて、周りも譲ってくれますから。
先に不機嫌を仕掛けて、もろもろを蹴散らしていました。
でも、そうすると、移動時間は、単なるつなぎ時間にしかならないんですよね。
自分も全然、幸せじゃありません。ずっとキリキリ、ピリピリしているのです。

最近、少しだけ、心に余裕が生まれ、人間らしさが戻ってきたので、ニッコリ笑うを心がけるようにしています。すると、やっぱり、相手も笑ってくれるというか、そこまでいかなくても、お互い様ムードが生まれて、空間がやわらぐというか。キリキリより、よっぽどいいですね。

なかなか難しいことですけれど。

要は、器なのかなって思うのです。
みんな、つらいことも、イヤなことも、心配も、不安もあるけれど、それをそう感じさせない人は、魅力的ですよね。一緒にいると、安心できて、勇気が湧いてきて、やれるって思わせちゃう人って、一定数いらして。そういう人は、大きい器の持ち主です。
ゆとりがあり、キリキリ、ピリピリはしていなくて、ニッコリしていると感じるのです。

みんながニッコリしていれば、きっと自分に「だからお前はダメなんだ」なんて言わなくて済むはずで。

あのだだ漏れくんも、ご自身を責めずに過ごせるようになるといいのですが。

ほんのちょっとのことだと思うのですが、そのちょっとがうまくできなかったりしますよね。
忙しかったり、疲れていたりすると。せめて、気づいたときくらいは、優しい人でいたいなあと思うのです。

 

 

 

 

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