オペラ『死の都』へ

原作は、『死都ブリュージュ』。
ローデン・バック作、1892年。

愛する妻に先立たれた男は、妻との思い出の地・ブリュージュで思い出の中に生きてます。日々の日課は、妻を思い出すことだけ。沈黙と憂鬱に閉ざされたブリュージュは、不幸なやもめにピッタリな街でした。
そんなある日、亡くなった妻そっくりの女を見かけて……。

オペラは、『死の都』と名前を変え、1920年に初演。
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト作曲。初演時、23歳だったそうです。うー!
パウル・ショット台本。コルンゴルドとその父の手によるそうです。

仕事は、しゃれにならないし、花粉だし……。

状況としては、「諦めなさい」なのですが。
どうしても見たくて。だって、『死都ブリュージュ』、好きなのです。
オペラを聞く習慣なんてないのですけれど、これは、絶対に行きたい、ダメだ、でも、ほとんどかからない演目らしい、評判は上々、行きたい、やっぱり、行きたい!!!行っちゃえー!で、千秋楽に、行っちゃいました!

フィンランド国立歌劇場からのプロダクション・レンタル、新制作モノ。
パウルは、トルステン・ケール。
マリエッタ/マリーの声は、ミーガン・ミラー。

これ、よかったです!!!
面白かったんです。

死の都

ジャーヌは、マリエッタになって、魅力を増しました。
やや肉欲、享楽主義のきらいはあるけれど、ほとんど純粋な愛情、キャラクターに見えましたが。それは、ミーガン・ミラーさんの個性なのでしょうか?

原作の持つ陰鬱さ、迷路や影の中に生きるような重い空気は、オペラになって消えてしまうのですが、でも、この翻案は、見事です! ちょっと嫉妬しましたよ。

また、装置が美しい!!!!
八百屋になっているステージに、左右から舞台奥に向かって、透明感のある陳列棚が奥まっていく感じで伸びていて。
すべて、亡くなった妻の愛用品コレクションなわけですが、これが、2幕では、街の明かりに変化します。
で、私の感覚が正しければ、奥に広がる空間は、1幕では、ほとんどブラインドのような感じで室内を表し、2幕では、横から眺めた灯りがともる街並みとなり、さらに三幕では、上からの鳥瞰図に変わったように見えました。
キレイ!!!

美術は、エス・デヴリン。いろいろ手がけている方のようです。

原作のニュアンスをバッサリと削ったことで、現代にも通じる価値観に昇華されました。なるほどなー。
袋小路に閉じ込められたような物語が、新しいドアを開く喪失と回復がテーマになっていくのです。なるほどなー!!

イイモノを見られました!!!
これを何かに生かさなくては!!!(え? 占い???)。

オペラパレスで売っていたオリジナルカクテルおいしかったです。
ダークチェリーに赤ワイン、クランベリーに、生クリーム。白と赤。美しい時間でした。

オペラだから高いんだけど、でも、国立劇場だから比較的安く、でも、まあ、ちょっと「おっとと」と思うような値段ではありました。前過ぎると、字幕が厳しいことに気づきましたが、適度に後ろだったので無問題。楽しかったです!

 

 

 

 

 

 

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