新宿伊勢丹に大人のための学びの場「オトマナ」がオープンした。案内を見て、そそられたのは、49講座中4講座。ところが、いずれも絶望的に日程が合わない。日曜開催は、主婦には難しい。かといって、平日開催でも、家の用事とぶつかったら、諦めるしかない。いくらよさそうでも、木曜夜もありえない。唯一、隔週の月曜開催の<元『ニューズウィーク日本版』編集長に学ぶ「伝わる」文章の書き方>に行けそうなので、申し込んでみた。
第一回に参加してみて、一番驚いたのは、受講用の机の立派さだった。一般的なセミナーでは、長机を数人でシェア、あるいは、簡易テーブルつきの椅子というのが定番だが、たいてい受講者の生理に合っていない。どれほど資料を広げても、十分にノートが取れる広さが確保されていること、手荷物置き場までついていることに素直に感心する。もっとも、これは、ラインナップの中にアクセサリー作りの講座などがあるからかもしれないが。
添削つきということで、事前にテーマが与えられていたのだが、これが非常に曖昧な指示で何を書けばいいのかわからなかった。考えるより埋めればよしと割り切り、さくっと出したが、「マニュアルを書いているよう」という評が返ってくる。もっと、個人の視点を! 突き詰めれば、それに尽きるわけだが、それなら、最初の指示をそう出して欲しいと思った。ただ、私以外の受講者は、一様に個人の体験を書いている。ここが興味深い。
一体、どこでズレが生じたのか。よくよく考えてみれば、私の普段の仕事は、個人の体験には触れない。占いの原稿や心理テストの解説には、不要な要素なのだ。もちろん、文章を書くための視点は私のものだ。占いの基本となる星の解釈や想定される未来予想図、提示する選択肢の幅には、独自の世界がなくてはならない。他の占い師と同じでは、存在価値がないだろう。占いを生業にして20年を超え、無意識の制御があったということだ。
講座は淡々と進み、定刻通りに終了する。進行役の他にも送り出しに3人が待機していて、受講者に変わってエレベーターを呼び、深々と頭を下げる。見慣れた百貨店のサービスが待っていた。自分が何をしていて、どこにいるのかがわからなくなる。私が申し込んでいるのは、全6回のうち前期3回。よい機会なので、この先も感想を課題となっている千文字に納めて綴ってみようと思う。果たして、文章の書き方は、上達するだろうか。