野良猫グルさまと黒さん

ずいぶん前からグルを保護したいと思っていました。
でも、野良のままのほうが幸せかもしれないし、何年も毎朝、グルの世話をしている
猫ボランティアさんたちにどう切り出せばいいかわからなかったし、
また、保護したら、しばらくはうちにいてあげないといけないのに、なかなかまとまった
時間が取れないしで、ずっと悩んでいました。

でも、いつグルが保護を必要としても大丈夫なように、ケージは買っていたのです。
三段タワーの2メートル越えのものを。グルは、成猫なので。
保護用の洗濯ネットやキャリーバックも、手に入れていました。

で、土曜日に、グルに会いにいきました。
ある程度、意思疎通が出来ているので、一方的に捕まえるのではなく、納得して
来てほしいと思ったのです。
「グル、うちに来る?」
「ニャー」

どうやら、うちに来るのは構わないけれど、洗濯ネットも、キャリーバックもお断りみたいです。
まあ、そりゃ、そうですね。見慣れないし、大きいし、怖いよね。

さらに、まるでお返事のように、マーキングツアーが始まりました。
メス猫なのに、あちこちにおしっこをして回るんですよ。いちいち、私に魅せるのです。
20メートルくらい、飛び飛びに臭いづけをして、最後には大までしました。
うっ、そこ、あなたのトイレでしたか!!!

これは、「私は、ココにいたいの」という意志表示だと思いまして。
グルは、ある程度慣れていますし、洗濯ネットで保護しようとして、拒否られてからも、
しばらくすると、気を取り直したようにまた、近くに来てくれるので、捕まえようと思えば
捕まえられます。抱けるのです。
ただ、強引に連れてきても、これまで積み上げた信頼関係が壊れ、
夜鳴きがひどくなるだけでしょうから、「グルのイヤなことはしないよ」って言って別れました。

で、もうひとつの気がかりを解消しに行ったのです。
実は、木曜日に旦那がこんなメールをしてきたのです。
「会社に子猫がいる。死にそう」って。
わかります? 黒いの、いるの。
黒猫

「捕まえて連れてきて」
「ムリだよー」

旦那の会社の人が数人、捕獲に当たってくれましたが、猫7匹の多頭飼いの男性ですら、
シャーシャー言われて、近寄れなかったんですって。
近づくと、逃げちゃうんですって。
ただ、旦那の会社の敷地には、にゃんこ先生というデカい猫がいて、その子のために
猫エサはあるので,少し分けてあげたら、金曜日にはちょこっと食べたそうです。
黒
ただ、そのときの会社の人達の見立ては、「この猫、今晩持たないかも」だったそうです。

土曜日、「黒猫さん、どうした?」って聞いたら、「いる」とのこと。
「連れてきて」
「無理」
非協力的です。で、こんなことを言ってました。

「オレ、なんで子猫がいるって言っちゃったんだろう? 羨ましがらせたかったんだろうなあ」
会社から帰ってきたのに、また行くハメになって、旦那がぼやいていました。
私は、子猫だけなら、別にそれで終わるけれど、「死にそう」に反応したんですよ~。

土曜出勤になっちゃった旦那のお尻を叩いて、夕方うちを出ました。
ところが、とっぷりと日が暮れてしまい、「闇の中で、黒猫を探すゲーム」になりました。
絶対、無理じゃん!!!

ところが!
こんなに逃げ腰の旦那なのに、「猫、猫」って呼びかけると、出てきましたよ!
「みゃー」
えー??? なんなの? 猫使いなの?
で、元気そうですが、とにかく、小っちゃいのです。これ、保護しないとダメでしょ。

初めは、手で捕まえようとしたのですが、なにしろ暗いし、大きさがよくわからないしで、
無理と判断。
じゃあ、キャリーバックの中にご飯作戦だ!と思い、カリカリとミルクを入れて誘導しました。

野良猫 黒

が、一回、失敗しました。
うわー、猫は同じ手にはひっかからないと言いますよね?
しかし、なんとしても、きょう、捕まえないと、次はもっと知恵がついて用心深くなっちゃいます。

旦那の会社の人が焼き魚を持って、やってきました。
わざわざ、にゃんこ先生のために持ってきているそうです。
「妻です」と暗闇で挨拶して……。
ちょっと焼き魚を分けてもらいました。
キャリーバックのワナ作戦、テイク2です!

相当用心深くなっていて、私が話しかけると沈黙になります。
ふと、「そうだ、猫の鳴き真似、私うまかったじゃん!」と思い出し、
20年ぶりくらいにやってみました。
「にやおん、にやおん」
「ミー」
お、返事をしますぞ。脈アリ!

まんまとキャリーバッグの奥に入ったので、すかさず、横に倒し、
もうミルクもカリカリも猫もエサ入れも揉みくちゃですが、
さっとキャリーバックの口を閉め、捕獲成功です。

折り畳み式のソフトキャリーバックなので、全部ジッパーで
閉じないと自立しないのですが、
「闇で黒猫を探すゲーム」だったからこそ、こちらの手が見えず、
うまくいったような気がします。

というわけで、黒(仮)が、うちの子になりました。

黒

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