心穏やかな金曜日

昨日、美術展5つハシゴという、大変贅沢な、大変アホな、どうかしている
企画を実行に移したおかげで、きょうは、スッキリしております。

昨日も書いたのですけれど、まず、運慶の菩薩像にやられました。
「あなたね、慈悲ですよ。そして、寛容ね。生きるということは、悲しいことですよ」

博物館展示で、魂を抜かれているはずなのに、びんびんと伝わるものがあります。
また、運慶のお父さまの作品も味わい深くてよいですねー。

相変わらず、仏教アンテナ、寺アンテナはないのですが、でも、今回は「去ね」言われなくて
よかったなあと思いました。前に、仁王像に「去ね!」言われた気がしたので。
あれ、薬師寺展だったかな?
ああ、興福寺属性なのかな? あるいは、私?(結構な対立があると、現地で教わりました)

あ、ボストンが飛びました。
んー、ボストンはねー、入場の段階で行列が出来ていて、鑑賞のコンディションがよくないんですよ。
でも、会期終了間際だから、これは、のんびりしていた私の責任です。

展示も、少々、凡庸でした。
全部、どこかで見たことがあるような気がしてしまって。
南宋の龍の絵だけ、真剣に見ました。

で、楽しみにしていたマジカルアジアは、常設展示に色をつけたようなものでした。
基本、遺跡からの発掘モノなので、非常に疲れるんですよ。
で、ビンビンくるのが、墓絡みのものばかり。
友人に、旅に出ると墓に呼ばれる子がいて、報告を聞くたびにからかっているのですけれど、
私も、あまり友人のコトを笑えないみたいです。
「ん?」って思うと、墓なわけ。
剣を見ると、戦いの終わりを連想します。疲れ切って帰ってきた戦士たちのイメージ。

本当は、ボストンとマジカルアジアだけのつもりでしたが、
お口直しに、突っ込んだのがフランス人間国宝展でした。

これは、大当たり!

まず、会場に流れる音楽、照明が尋常ではありません。建物全体に響く水琴窟のようなBGM。
これがもう、墓石、棺、墓門、ミイラに呼ばれて、グッタリの体に沁みるのです。
墓ばっかだから、左の肩が重くてイヤで、ブンブン腕を振りながら歩いていたのですが、
あまりの清らかさ、美しさに、いつのまにか邪は抜けたようです。

焼き物、アジアがベースなのでしょうけれど、フランスの洗練ですよ。
で、建物の美しさ!
表慶館、初めてじゃないはずだけど……で、記憶を探ったら、
踊るサティロスでした。

調べたらねー、2005年ですって。12年前!!!
マジか!!!

で、踊るサティロスで、辻口博啓さんの一粒1000円のショコラがコラボしていて、
清水の舞台から飛び降りるつもりで買ったのを思い出します。
うーん、私の脳みそ、もうちょっといいこと覚えていればいいのにね!
でも、まあ、素敵な企画でした。

入ったことがあるのに、建物の記憶がないのは当然で、下のスペースで展示していて、
人がいっぱいで、空間的な良さなんて、さっぱりわからなかったのです。

が、今回は、本当に素敵ですから!!
光と影、音、美しいカーブを描く階段、階段の中段から振り返ってみてくださいね。
そこに、炎のような赤と、黒の中に浮かぶ青がきらめきます。
上に上がると、部屋一面の白。
どの壁紙にしようかしら?
オブジェと家具はすごいのでしょうが、よくわからないので、スルーです(見る目がなくてすまん)。

心が弾むのは、扇と傘のコーナーで。
でも、これ、ちょっと悔しい気がするんですよね。
結構、折り紙のバリエーションでしょう?
その後の折布も含めて。
日本の職人さん、アーティストさんたち、技術はあるはずでしょう?
でも、奇抜なもの、独創的なものを持つ文化がないのよね。我が国には!

めっちゃ、もったいない!

エンボスの美しさ、羽根細工、そして、波や風を連想させるガラスで終わります。
最後のガラスは、美しいけれど、まあ、ボストン展の仲間でありきたりっちゃありきたり。
でも、全体のイメージで、非常によくまとまっていて、これは、企画者の勝利です。

心が洗われました。
菩薩の慈悲、包容から、フランスの威信とプライド、美意識に洗練。
ちょいと高次の自分に引き上げられたというか。

で、樋上公実子さんからご案内をいただいたので、ギャラリーへ。
初めてのギャラリーで、「小伝馬町ってどこ?」の世界でしたが、
非常に力のある場所だと伝わってきました。
少女たちがいっぱい。
なんとなくですが、もうちょっと方向性が絞られているともっとよかったかなー?
清らかさと棘、和と洋が混在でした。
樋上さんの作品の中では、青い海のドレスの波が心に残りました。

全体だと、和風の着物の子の後ろに鳥居がある絵が妙にひっかかりましたが、
それは、「恵比寿神社が近いんだ。べったら祭なんだ」があったせいかもしれません。
メインの4階よりも3階のほうが、空間的には落ち着く気がしました。
おそらく、作品の方向性が揃っているせいだと思います。

壁によって、絵のタイプが変わればいいのかなあ?
でも、それも、つまらないかもだから、きっとプロが並べた現在の形がベストなのでしょう。
「こでんまちょう」なんですね。昨日、初めて知りました。
帰りは、新日本橋に歩くつもりが、三越に向かっていて、焦りました。
どうも疲れが限界だったっぽいです。

そうそう、面白かったのは、微妙に日本橋界隈で迷子になっている時に
ご注文いただいた仕事、きょう、もう公開されるんですって!
半日で納品した私も私ですが、即日公開のクライアントもクライアント。
ちょっとスピード感があって面白いですね。
それは、こちらです。

ペットトゥモロー「あなたが猫になるなら、どんな毛並みがいい?」心理テスト

お楽しみいただけると幸いですニャー。

 

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