感動の法則 スペイン国立バレエ団Aプロ

昨日は、スペイン国立バレエ団、ルーベンス展を見ました。

まず、心に残っているほうからお話しますと、スペイン国立バレエ団なのですが、
感動は、非常にデリケートなものだと思いました。

Aプログラムの構成は、一幕が30分、二幕60分。
一幕は、3部構成で古典寄り、二幕は通しの「アレント」。

アレント、二回目じゃないかなーって思うのですが、前回は、「あ、もう私が好きなスペイン国立バレエ団はないんだ!」って打ちのめされたので、あまり記憶に残っていなくて、昨日も後半、椅子が出てきて、「ああ、コレ、見たよねえ」とやっとつながりました。

アントニオ・ナハーロ氏が再生したスペイン国立バレエ団は、ちょいと洗練され過ぎれているのだと思います。だから、拍手は鳴りやまないけれど、スタンディングにはつながらない。感動に届かないわけではないのですが、見ているうちに、なんだか終息に向かうのです。シューッとしぼんでしまいます。

ひとつは、「ダンサーが椅子を手で動かしながら踊るの、かっこ悪いなあ」と思ってしまうことでしょう。前回も、「あの椅子、なんとかならないのかね?」と思った記憶があり、それで「ああ、コレ、二回目か」と気づいたのですが。本当に、「ボレロ」が「ボレロ」じゃなくなったショックは大きすぎて、あんまり覚えていないという! どんだけ、ショックだったか! で、ナハーロ氏の講演も聞きに行ったんでした。気持ちの整理をつけるために。

数年のうちに来日してくれるスペイン国立バレエ団のボレロは、私にとって定点内省演目だったんですよね。じわじわと高まる旋律の中で、「今の自分、この前、このボレロを見た時からのこと」を振り返る大事な作品でした。好きなカンパニーなんですよ。

芸術監督がナハーロ氏に代わって、演目の入れ替えが起こって、私の足場が崩れてしまいました。今どきの振り付け、ああ、きっとスペインのナイトシーンはこっちよりなんだろうなあと思わせる空気、センスの良さ、彼は天才なのでしょう。ただ、これまでの演目をスパッと切って、「新生」としても、根幹みたいなのがどうも揺らいで見えて仕方がないのです。

変な言い方なんだけど、古典的なベルばらをやらない宝塚みたいな感じ?
ベルばらなんて、もうお腹いっぱいだし、私はもう一生分観た気もしますが、「もう昔の演出では、やらないんだって」って言われたら、相当驚きます。古臭く、「少しも早く」な世界だけど、アレはアレでいいわけで。今風のベルばらになって、大変スタイリッシュになりました的な展開かなー? お約束の「フランス万歳」、「女王なのです」が崩される感じ?

このハズし、新解釈が、ツボに入れば、「わーお!」ですが、どうも「うん、おしゃれだねえ。でも、スペイン国立バレエ団じゃなくていいよねえ」みたいな思いが残るんですよね。

昨日、「おお、さすが大ベテランの矜持!」は、フランシスコ・ベラスコ氏で、彼の中には、古き良きスピリットが健在で、本当に素晴らしかったです。
二幕も、わりとテンションはキープされていくのですが、途中、飽きが来るというか、感情の高まりが平坦に落ちていきます。

「もう一回見たい! 追加で買っちゃう?」が、「うーん、《サラサードのサパテアード》は席が下がっても見たいし、素晴らしいだろうけれど、メインの《アレント》は、まあ、もういいかなあ」と妙に冷静になってしまって。歌舞伎のように一幕見があったら、公演中、毎日通ってしまいそう。立ち見でもいい。

Bプロももちろん見ますが、さーて、どうなるでしょう?
前回の来日公演でショック過ぎて、意識が飛んでしまったイケメン半裸のお兄ちゃんの《ボレロ》をちゃんと見ようが、今回のテーマですが。

で、東京文化会館は素晴らしいですね。見やすい!
今回、どんな天の配剤か、最前列だったんですね。「足元見切れないかな?」とオーチャードホールのトラウマでドキドキしていましたが、視界は最高でした。結構、見ながら、ウルウルしていました。ああ、私、ここ数年で一番幸せかもしれない……、ただ、見ているうちに、ウルウルが引っ込むわけですが。

うまくいえないんだけど、「待ってました」、「たっぷり」みたいなのがないんだよなあ。「待ってました」も、「たっぷり」も、昭和の伝統、スピリットなのかもですが、スタイリッシュ過ぎて、おいてけぼりにされる感じ?

ただね、私にもわかりますよ。
《アレント》と《メディア》、《ボレロ》の世界観は合わないと。
壊さないと、次へ行けない。

芸術監督、コロコロコロコロ変わっていますから、これだけ長く、この重責を背負うのはすごいことなのでしょう。若き天才は、ハラを括っているわけです。

だから、私も、古き良きものを残して、10年後、20年後でいいから見せて欲しいという思いは持ちつつ、でも、もうやらなくてもいいよとも思うんです。

でも、代わりに、ガツンとくるのをくれよ!と思います。
待つから、日本に来てくれたら、必ず、行くから。

足らないんのは、カタルシス。ボレロの反復を捨てたんだから、代わりに持ってこい、「ああ、時代は変わっていくのだ」と納得させるだけのものを見せてくれ。

愛しているんですよ。スペイン国立バレエ団を。
感謝しているんですよ。ずっと私の戻る場所だったから。
郡舞なのに、それぞれのタイミングで踊る自由さ、それでいて、音は揃う、ビッと締まる小気味の良さ、カタルシス。

Bプロは、どうでしょうか? 私も、ハラを括って見に行きます。

 

 

 

 

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