先週見た『マーキュリー・ファー』で「なんで今、コレなんだよ」で白井晃さんへの失望が募り、さらに、ナショナルシアターの『ロミオとジュリエット』で「うーん、映像化前提だと凡庸になるのか」で演劇と映画の違いを知り、すごく楽しみにしていたスピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』が細かい所が「違う!」で細かく受け付けず、このところ、ずっとイライラしていました。
こういうのは、もうどうしようもないですよね。でも、これだけ続くと「うわ、世の中とズレているな」で、「ズレているのは、私? それとも、世界?」でグルグルしちゃうわけ。『マーキュリー・ファー』の鬱っぷりで、今、演劇全体がイヤになっちゃって、とばっちりで『ちょっと思い出しただけ』の演劇ターンがうざくて仕方ない、ええ、自分でもわかっています。これは八つ当たりだと。
『ウエスト・サイド・ストーリー』の解釈違いは、旧作を見直して、
「だよね! このシャーク団のこの振付は絶対に必要だよ」とか、
「クールの位置はココ! で、アクションは、たしなめられるのだ」とか、
自分の心に修正をかけて、なんとか立て直そうとしております。
私でもこんなに「うー」ってなるんだから、劇団四季とかで上演経験がある人たちはもっと違和感があるに違いないです。ただ、まあ、俳優さんやクリエーターさんならば、新しい表現、解釈でかえって興味を持てるかもしれず。ああ、踊れるってなんて羨ましいんだ。そして、スピルバーグ版に関しては、「チノを思って泣いちゃった」というレビューの人が大優勝ですよ。あの一文を読んで羨ましかったです。映画を見て心が動いた方がいい。これは、絶対! 私もチノで泣きたかったよ。
ミュージカル舞台の『ウエスト・サイド・ストーリー』はこの先やりづらいでしょうね。オリジナル映画のスタイルでナンバーが組まれているから、スピルバーグ版を見てきた客をどうさばくんだろう?? 今度は逆の違和感が生まれるぜ、ねー?
ということをウダウダウダウダ考えている中、
「映画、楽しい!」になったのが、この作品です。
面白かった!
初期設定は、超王道。ただ、出てくる人が、ちょっと変。
軍人と研究者の組み合わせで、どんどんズレていく。
「そっちか!」なハズし方がすごくうまい。
「警察は?」的なつっこみ所はあるんですよ。
でも、まあ、そこはいっか!って思えるのは、
キャラがブレずに、キャラ同士の化学反応で話が動いていくから。
これは、めっちゃスカッとしました。
私にとってのいい作品ってこういうの、なの。
あ、でも、最初につらつらつら書いたように、
「何を見ても世の中とズレている私」がいたからこそ、
「だよね、だよね、世界は面白いよね」が嬉しかったもあるかもしれません。
映画を映画館で見るを始めて、この前やっと400本を超えたところなのですが、
400本ちょっとを見て気づいたのは、
1.ちょっと変な映画が好き
2.アートやファッションのドキュメンタリーが好き
3.陰鬱な曇り空が似合いそうなクラッシックな世界が好き
この3つの傾向があるようです。
王道のシネコンよりも、ミニシアター。
まあ、鑑賞リストでバレているか。
スパイダーマンよりも、マッツ・ミケルセンを優先しますよ。
というクセがあることをお含みいただいて……
今年21本(フレンチ・ディスパッチをカウント)見た中で一番好きなのは、こちら「ライダース・オブ・ジャスティス」です。
人に勧めるなら「コーダ あいのうた」ですけれどねー。
いい作品ですよ。間違いない。
やっと心が落ち着きました。見られてよかったです。
かけてくださってありがとう、武蔵野館さん。
2022年映画
1.マクベス2.ヴォイス・オブ・ラブ3.決戦は日曜日4.明け方の若者たち5.ジャネット6.ジャンヌ7.エル プラネタ8.真夜中乙女戦争9.コーダ あいのうた10.劇場版 呪術廻戦 0、フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊11.ハウス・オブ・グッチ12.キングスマン:ファースト・エージェント13.大怪獣のあとしまつ14.355 15.【NTL】『ロミオとジュリエット』16.アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行! 17.ウエスト・サイド・ストーリー18.鹿の王 ユナと約束の旅19.ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート20.ちょっと思い出しただけ21.ライダース・オブ・ジャスティス22.ミラクルシティコザ