DEDICATED 2016-DEATH-「ハムレット」

ハムレット

久しぶりに、首藤康之さんを見に行きました。ハムレットが坊主頭なのが謎でしたが、なかなかよいステージでした。

中村恩恵さんと質感が合わない気がして、数年見るのを辞めていたのですが、今回は非常にバランスがよい気がします。

ハムレットとガートルートというのが、イメージに合うからかもしれません。首藤さんは硬質、中村さんは柔らかい印象があり、どうも異次元な気がして、ずっとダメだったのですが、今回はよいです。

オフェーリアのターンは、ガートルートの二役、光と影、二面性と解釈すれば、イケます。初めて心穏やかに、このふたりのステージを見ることが出来ました。

作品としては、後半が惜しいです。だって、一番美しいのが、オフェーリア溺死のシーンなんですもん。

そこが白眉で、あとは、普通にまとまってしまい、デュエット、少なくとも、私には需要がないぞと思ってしまいました。誤解しないでくださいね、デュエットがイヤなんじゃなく、「オフェーリアの死のシーンで完結」が余韻が残り、素敵だと感じるせいですよ~。

戯曲だと、ガートルートの説明で終了ですもんね。オフェーリアの死は。大事なキーですが、悲劇を生き、破滅へ転がり落ちていくハムレットにとっては、絶望のひとつでしかないはずで。

前半の凝縮は、オフェーリア死んじゃったよデュエットダンスで緩んだ後、単なる物語回収に変わっていきます。

80分出ずっぱりの首藤さんに無理を言いたくありませんが、オフェーリアの死のターンに匹敵するハムレット苦悩のダンスがあってもよかったんじゃないかと思います。踊らなくても、なにか絵になるシーンがあれば! 後半がより締まるでしょう。

構成に、もう一工夫というか。

前半、いろんな要素を叩き込み、かつ、非常にコンパクトにまとめ、オフェーリアの死が忘れがたく美しかっただけに、デュエットは冗長(キレイでしたけどね)、その後のはしょり方が惜しいと感じます。

中村さんは、包容力と母性のダンサーさんで、大人だからこそ、悪女や愚かな女も似合うんですね。ガートルートは、すごく良くて、いままで私の中で座りが悪かったものが、やっとすっきり収まりました。

裸で勝負出来ちゃう女の子たち、体で勝負するダンサーさん。「快楽の館」の後、「鍵のかかった部屋」を挟み、ダンス公演は、いろいろ考えさせられました。

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