映画22『ミラクルシティコザ』

面白いというレビューで見に行きました。
着想はいい、でも、うまくハマっていない印象です。

1.タイプスリップ×入れ替わり

ありふれた設定だけど、孫とじいちゃんという関係性、
親和性と距離感の説得力はすごい。
そこまではいい。

2.かっこいいじいちゃん×ださいオレ

ここで、軸がズレる。
明らかに、魅せる力があるのは、じいちゃんなんだけど、
ださいオレ、孫が主演のはず。
が、ビジュアル的にも、知名度的にも、歌唱力的にも
若かりし頃のじいちゃん桐谷健太さんが主演になるわけですよ。
ココでずれちゃう。

ださい今のオレも、歌える人にしないと、この話、もったいない。成立しない。

3.過去へのリスペクトが足らない

たとえば、昔の髪型。
「当時、コレだったからやりましょう」的なのが伝わってきちゃう。
そうじゃないじゃん、「かっこいいからロングヘア」なんだよ!!!

伝えたいのは、入れ替わりの面白さじゃないでしょ?
昔のコザって、すげえところだったんだよ!でしょ?
なんで、ちゃらちゃらお茶を濁しているんだよ!

「やべえよ、あいつ」のセリフで私は一気に冷めました。
言わないから、「ヤバい」は江戸時代にまで語源が遡れる言葉だけど、
70年代の日本語にないから!

ヤバいって、もっと後に出てくる言葉で、最初は使うと親に怒られたわけ。
沖縄返還が1975年、私が7歳のころなのですが、当時なら、
「あいつおかしいよ」とか、「狂っている」「くるくるぱー」的な言葉です。
ヤバいはない!

同様に、ポールダンスも、棒に巻き付いているだけで、「おお!」って言われている時代だったから、低い位置で逆さまになっているなんて、「あの頃」じゃないわけ。

洗練が狙いじゃないよね? あくどさ、雑多な感じが狙いなんだよね?
だから、羽根の女の子がいるんだよね?
なのに、なんてもったいないことをするんだろう?

言葉で入れない、視覚で入れない。

いちいち「歌のターンです」で、桐谷さん待ちしないといけないから、
話が進まないし、ぐちゃぐちゃする。

後半の「平成、令和のなあなあ」が「昭和」に通じないというのは、よかったです。でも、そこを際立たせるには、もっと細かい所に気を遣わないともったいない。

ばあちゃん、最終的にどうなったのか、気になるし、
じいちゃんがわざわざ居残って何をしたかったのか、さっぱりわからない。

それに、面白い桐谷健太さんを見せたいはわかるけれど、それが繰り返し繰り返しずっと続いていく意味があるのだろうか? イケメンは心までイケメンなんだよねは、わかったけど、対比として、ださいオレも、中身がイケメンが入ったら、イケメンになるをやらないとダメだし。

すごい説得力でしたけれどね、桐谷健太さん。
確かに、「この人は、モテる」は、わかった。
が、それだけに、もっとやりようがあったんじゃないかな?

コザの怒り、コザの熱、もっと伝えられたんじゃないかな?
そして、後半の紫のターンで、「ああ、きっとこれなんだな」ってわかるんじゃドキュメンタリー撮ればいいって話になっちゃうから。

これ、「ライダース・オブ・ジャスティス」と続けてみるつもりで、うちを出損ねて、別の日の鑑賞になったんだけど、ホント、同じ日に観なくてよかったわ。
余韻がぐじゃぐじゃになって、怒ったと思う(この作品だけなら、怒るというよりも「あーあ、もったいない」ですね)。なるほどな、人生にムダはない。

2022年映画
1.マクベス2.ヴォイス・オブ・ラブ3.決戦は日曜日4.明け方の若者たち5.ジャネット6.ジャンヌ7.エル プラネタ8.真夜中乙女戦争9.コーダ あいのうた10.劇場版 呪術廻戦 0、フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊11.ハウス・オブ・グッチ12.キングスマン:ファースト・エージェント13.大怪獣のあとしまつ14.355 15.【NTL】『ロミオとジュリエット』16.アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行! 17.ウエスト・サイド・ストーリー18.鹿の王 ユナと約束の旅19.ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート20.ちょっと思い出しただけ21.ライダース・オブ・ジャスティス22.ミラクルシティコザ

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