もうちょっと書いておくか。
んとね。猥雑さとか、やるせなさとか、そういうのが全然ないんだよ。せっかく、新宿歌舞伎町でやるのに、妙に漂白されて、すっきりしている。
でも、60年代の空気、私が体験したのは、80年代リバイバルみたいな世界だったけれどを、今、見せられたら、びっくりしちゃうからな。
まず、ボクシングに夢なんてみないでしょう? 21世紀の人間は。
でも、男たちが血を流しながら戦う姿に興奮し、賭けて一喜一憂し、絶対勝者に夢をみた時代は確かにあったのだ。
うちの父は、こういうのに弱くて、プロレスやら競馬やら、いかがわしい世界に属していた。家庭内暴力があり、それを助長していたのが、被害者に見えていた母だったって仕掛けがあって。その辺が私の昭和なんだけど。
そういう泥臭さ、垢抜けなさに、寺山ワールドは通じている。
やがて、奇形の人たち、SMや性倒錯の世界なんかも含んで、淫靡で混沌とした世界が新宿の演劇だった。
まあ、対して、2026年の主人公の清潔なこと!
大変な長身イケメン。
んー、1965年、どんなキャスティングだったのかな???
「グラマー」も言葉が一人歩きしていて。
2026年のヒロインは、大変勝気で元気が良い。
レモネード云々あたりまでは、大変説得力がある。
が、二役目が「ん???」「んー???」になるわけ。
クリーンなんだよね。たぶん、二人とも。
なんか違う感じがしてならないんだけど、じゃあ、誰ならいいのさ?はわかんないわけ。アングラの女優さんって、いまどきのミュージカル畑の人たちとは違う気がするからなあ。
見ながら思ったのは、「こんな中途半端なことせんで、
もっとショーアップすればいいのに」だった。
ポールダンサーぶちこむとか、ストリップ入れるとか、なんかそっち。
トップレスなんだと思うんだよ。ドハデな毛皮とか、ファー体に巻き付けて、男に馬乗りするような夜の世界なんだよなあ。
言葉を奪われて、人生が変わる。
ヒロインの設定は、見ながら「なるほど、そういうのは面白いかもね」のひらめきがまんま、ネタバレで、寺山さんの手中にハマっていて、自分が残念でした。
まあ、でもね、60年代風でやられたら、熱出しちゃったかもしれないから、これはこれでいいのかもしれないね。年を取ったなあ。私も。