時間差《水妖》

橘小夢展から短い眠りを繰り返し、やっとひとつの思いが意識の上に浮かびあがってきました。

《水妖》は、人魚に蛇が絡みつく構図です。
これ、いずれも破滅への道ですよね。
人魚は力を奪われ、深海へ沈みますが、蛇はおそらく、地上の生き物でしょう。
どんな事情で絡みついたのか、そこはわかりませんが、海の中で、そうそう長くは生きられないはず。

似たような構図で、忘れがたいのは、《深海》。
エドワード・バーン=ジョーンズの作品です。

人魚が男性を海の底へ引きずりこむ図。
ぼんやりした記憶では、鎌倉で見たような気がするのですが、ネットで検索をかけると、
国立西洋美術館「ウィンスロップ・コレクション展」とひっかかってきます。
こちらも、行った記憶はあるのですが、詳細は思い出せません。

鎌倉の企画展は、非常に印象深かったのですが、記憶があいまいで、
ウォーターハウスの《嫉妬に燃えるキルケ》が出ていたのを思い出し、やっと辿れました。
1999年「水の物語—ヨーロッパ絵画にみる神話と象徴」神奈川県立近代美術館。
図録は、430円だったみたいです。買っておけよ、昔の私!

鎌倉に行ったのは、雨の日だったと記憶しています。
雨の日に水の物語を目指し、傘をさして歩いた記憶があります。
おそらく、荷物になるのがイヤで、買わなかったのだと思います。
当時は16年経っても忘れがたい企画展になるとは思いもしなかったのでしょう。
バカバカバカ、昔の私!

ウィンスロップ・コレクション展は、2002年の秋から冬にかけての公開だったようです。
1999年も、2002年も、もう遠いです。まあ、ごっちゃになっても仕方ないですね。
だいたいその辺りから、美術館に行くようになったので、その直前にあった
ラファエロ前派展は、見逃しているんですよね。

でも、《深海》って、違う和訳だったような?
これは、1994年の発行の画集でわかりました。《海の深淵》とあります。
そうそう、気持ち長めのタイトルでした。

話は橘小夢に戻ります。
《水妖》には、柔らかいふりがながふってあったけれど、なんだっけ?と
ずっと思い出せずにいたのですが、今、ふっと降りてきました。
そうそう、「すいよう」。

ただねー、こちらは初公開じゃないから、おそらく前にも見ているんですよね。
でも、それほど強く残っていなくて。
今回、妙に引っかかってくるのは、なぜでしょう?

深い海の底、沈んでいく2つの命。この辺に何か引っかかりがありそうです。

 

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