猫の去勢手術

昨日は、猫の去勢手術でした。
オス猫なので、手術自体は簡単なのですが、やはり麻酔が心配でした。
また、術後の万一を考えて、平日の実施としたため、私が病院に搬送しないと
行けなくて、それも懸念事項でした。

おかげさまで、無事に終わりました。
頑張ったご褒美に鶏のササミで満腹になった猫は、夜中1時になって
やっといつも通りに旦那の布団の上に眠りに行きました。

これで想定される黒猫さんの試練は、終わったのです。
あとは、入浴問題が残っておりますが、まあ、それは、また落ち着いてから。

獣医がまた、いいかげんで。
「この前から僕にシャーって言うようになっちゃったから、検査は麻酔をかけてからやります」
え???
手術より、麻酔が心配ですって! 人間でも事故が起こるのに!
しかし、もう仕方ないので、「よろしくお願いします」ってしてきました。

引き取りに行ったら、「この子、本当に8月生まれですか?」と言われました。
「先生のお見立てですよ?」

何ヲ言ッテイルノダロウ?
「歯の様子から見て、まもなく一歳ってところじゃないかと」

……ですよね!
8月上旬生まれの獅子座の子にしては、サイズが違うって思っていました。
おそらく、今年の春生まれだろうと。
「精巣が大きくなっていました。だから、痛むんじゃないかな?」

オイオイ、アナタガ、「まだ半年前だから、去勢は年明けくらいで」ト、言ッタンデスヨ?
素人の飼い主が「イヤ、コノ子ハ、少ナクトモ6月生マレダカラ、年内ガイイ」と頼んだんですよ?

最初、1.4キロしかなくて、それで、先生も、「生後2ヶ月半、3ヶ月弱」なんて見立てたのでしょうが、
生後4~5ヶ月、ことによったら生後半年と考えると、本当に栄養失調だったのでしょう。
保護しなければ、死んでいたかもしれません。運が強いですね。黒猫さん。

何はともあれ、スプレー行為が始まる前に去勢が出来てよかったです。
去勢したせいか、手術にびっくりしたせいか、顔の形も子猫に戻っています。
オス猫は自分を誇示させるために、顔がタテガミみたいに生えるそうですが、
おっさんくさい四角い顔から、子猫っぽい三角フェイスに戻っていました。

手術のために猫を獣医に預けて、一回家に戻ったところ、「不在感」があり、非常に驚きました。
「うちに、猫がいない!」
当たり前です、自分で連れて行ったのですから。
でも、もういるのが当然なので。
お風呂に入れば、バスマットの前で待っているし、トイレに入れば下のスキマから手が出るし、
油断すると、すぐにパソコンの上に乗るし、用事もないのにニャーニャー呼ぶし……。
猫のいない家は、空っぽでした。

秋に魔女様たちのお知り合いの方が、「今は猫がいない生活です」とおっしゃっていたのですが、
どうやって慣れたのか、想像もつきません。
何匹も多頭飼いをなさっていたのに、今は飼っていないのだそうです。
猫のほうが、人間よりも短命ですから、10年、15年、20年後、ペットロスはやってきます。
もしかしたら、去勢手術の事故で命を落とす可能性もありました。
合わせて、いろいろ覚悟をしつつ、人間の都合で大事な生殖機能を奪われてしまった生き物と
向き合い、大事にしていかなければいけないと思いました。

そして、TNR活動についても考えてしまいました。
野良猫を増やさないためには、不妊手術の必要が言われていますが、費用負担を減らすために、
飼い猫では安全を踏まえて実施されるいくつかのステップが省かれます。
麻酔、体の一部を摘出という大きな試練を味わうのに、そこ、省略でいいのかなあと。
経験豊富な獣医さんたちだから、大丈夫なのかもしれませんが、飼い猫に注ぐ愛情と心配を
野良猫に対しても持ってしまいます。

ああ、思い出しました。この前からのひっかかり、ココにもあるんですよ。
モノのたとえみたいな感じなのでしょうけれど、NPOの方の説明の中で
「万一、懐妊しちゃっていたら、掻爬するから」という話も出て、
「そしたら、プラス2000円ね」って言われてショックだったんです。堕胎が前提なんですよ。
妊娠しているなら、せめて生ませてあげましょうよ。そこで、数匹増えても、せっかく宿った命を
奪っていいものかどうか。いや、キャパオーバーなのは、もうわかっているのですけれど。

去勢手術、たいへんだったね、おつかれさまと、飼い猫をいたわり、特別に鶏のササミを山盛りにして出して、
猫が気が済むまで暖めた部屋で添い寝して……、やっと落ち着いて日常に戻る……みたいなことは、
野良猫さんにはないわけです。
のんきに暮らしていたところ、トラップにかかって一晩そのままで。エサはもらえるけれど、自由は奪われて。
翌日は有無を言わさずに手術、即日返されて、またトラップの中で一晩過ごして、
抗生剤とか飲まされて、また、元いた場所に帰されて……。手順は飲み込みましたが、不憫さで胸が痛いです。

ちょっと、私、無理かもしれません。
飼い猫に対しては、「あなたの大事なタマタマをもらったけれど、ずっと大事にするね。一緒にいようね」って
言ってあげられるけれど、野良猫さんたち、また、過酷な環境に戻るわけですよ。
寒さがあり、暑さがあり、敵意ある人間や車やダニやなんやらいろいろあり……。
種族を守る本能の繁殖機能、そんなに簡単に奪っていいものかどうか。いや、増えたら、困るんだけど。
困るけれど、それは、人間の都合だったりするわけで。
こんなこと言い出したら、「大丈夫よ! 猫は強いから」とか力強く励まされちゃうと思うのですが、
考えちゃいます。ホント。

たぶん、この問題に答えなんてないのでしょう。
当座は、飼い猫が無事に帰ってきてくれたことを喜んで。野良猫さんたちのことを考えて、考えて。

きょうは、スキマ時間にグルやチビ猫に会いに行くこともできたのですが、自重しました。
世の中には、ちゃんと習慣を変えずにいろいろな問題に立ち向かえる人もいるのだと思いますが、私は
基本、ひとつのことでいっぱいになっちゃうみたいです。

チビ猫とキジちゃん、セットで母と弟が飼ってくれるといいのですが。
一昨日の法事の後、見せてみたのですが、反応は微妙でした。
「野良猫、懐くの?」「二匹一緒じゃ大変じゃん」みたいなレベルで。
「チビ猫だけならいい」とかね。
でも、母よ、猫はすぐに大きくなるから! おそらく、チビ猫よりもキジちゃんのほうが性格何倍もいいから!

「飼うなら、この二匹はセットにしてあげて。引き離したら、かわいそう。本当に仲良しだから!」って主張したら、
「考えておく」と実質ノーと言ってました。
まあ、うちの家族に、野良猫を家猫に変える忍耐力や愛はないかもしれません。うん、わかっていました。

最初から仲良し猫なら、多頭飼いのほうが楽なのですが、そこは、伝わりません。
噛み癖がなくなるし、勝手に遊んでくれるし、いいことづくめなんですけれどねえ。
うちの実家に行く可能性は、0.5%くらいでしょうかね。あーあ。馴染む確率は、さらに下がるので、
うかつに押し付けられません。うーむむ。

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