映画『さんかく窓の外は夜』

原作が好きです。全巻持っています。
平手友梨奈さんが非浦英莉可役というのは、ハマるだろうと思い、
見に行きました。

偶然、舞台挨拶もついてました。
岡田将生さんから、監督と他二人に花束。
志尊淳さんからみんなへお手紙。
いい現場だったのでしょう。

で、ここで「まーくん」呼びが耳に残ってしまって。

いや、ダメでしょ。
まーくんじゃないし! 心温まる挨拶だったけれど、
映画の世界に連れていってくれないとダメなんじゃないかな???
完全に、オフモードになってしまって。ファンにはいいのかな?

BLにしたくなかった。
そっちに寄せたくなかった、だから、カットした。
でも、そこは、切ってはいけない。
だって、すごく大事だから。

幽霊VS快感って、素晴らしい対比ですよ。
その説得力に、惚れ惚れしましたよ。
そして、快感を扱っていても、非常に抑制が効いている。
原作のバランス、素晴らしいんですよ。読者ならわかると思うのですが。
こんなところで声高に語りたくない。語らせないで。
さんかく窓の大事な要素をいとも簡単に切り捨て、何がしたかったの?

まあいいよ、そこは、なしでもいい。
で、気を取り直して見ていたんだけど……。

なんでこれだけキャストを揃えて、
昭和レトロをやりたかっただけなのかなー?
黄金町で撮りたいのは、監督の趣味なだけで、
必然性ないよねえ?
ああ、最初のつぎはぎのロケハンには感心しました。
映画撮る人は、風景知らないとダメなんだねって。
でも、その後の世界観が、全然、わかんない。
ただ、探偵物語とか、あの辺の時代のオマージュがやりたかっただけでは?
もっとありふれた世界、すぐそこにある風景、怖さだと思うんだけど。

原作の要素を切り落として、代わりに何を入れるのか。
もともと2時間で消化出来る話じゃない。
それはわかっているけれど。

非浦英莉可役って、不思議な明るさがあって、
それを平手さんで見たいと思って。
でも、ただの呪いの高校生だよねえ。あれじゃ。

コチラとアチラ。見える人と見えない人。信じるか信じないか。
そこを善悪の区別がない力のある人たちが、
この世のルールとか、良識とは違う感じで行き来していく、
そのズレとブレ、常識が揺さぶられるような面白さが、
全然ない!

簡単に言えば、監督との解釈違いなんですよね。
合わん。
なぜ、三角くんの役、志尊淳さんにしたのかなー?
彼でもいいけれど、なぜ、あれだけ体温を通わせてしまったのか。

見える人は、熱血キャラにはなりにくいと思うよ。
だって、見えるから。

子供頃から恐怖と絶望と優越感と疎外感がミックスになって、
やっと大人になって、処し方がわかってきて。

私も見えない人間だけどさ。
志尊淳さんは、たぶん、見えない人で。
これは、「彼女は夢で踊る」のストリッパー問題と同じで、
違うって感じちゃうと、もうずっと気になってしまう。

でも、見える人がキャスティングされたら、いろいろ大変かもしれないから、
これはこれでいいのかもしれず。岡田将生さんが見えるかどうかなんて、気にならないしなー。しかし、なんというか、三角くん役ならば、せめて、もう少し熱を押さえろと思ってしまうのです。原作から入っているから。そっちゃじゃねえよ。なんで、熱血くんなんだよ。体温高くないよ。そんなに。
志尊淳さんは、抑えた演技だって出来るだろうしな。

非浦英莉可を平手友梨奈さんというのは、本当に見たかったです。
でも、見て分かった。もっと違う役をやったほうがいいね。
ちゃんとかじ取りが出来る人につかないと、陰ばっか増えちゃう。

原作、命削って書いていることがわかるから。
映画は、別物と割り切った方がいいのかね???

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2021年1月23日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃