おかえりウルトラブック&バルテュス展

本日は、初校を届けに行ってきました。
もうちょっと早く終わっていたら、宅急便でよかったと思うのですが、予想よりも時間がかかっちゃって!

また、すんなり届けられたらよかったのですが、変な時間に歯医者が入っているんですよー。
結構、遅めのお届けになりました。スミマセン。

さて、お届けの後で、バルテュス展に行ってきました。
久しぶりの美術鑑賞です。

バルテュス、きちんと見たのは初めてなんですけれど、いやー、問題児ですねえ。
『夢見るテレーズ』、『決して来ない時』……。
自分の娘預けて、あんな絵を描かれたら、親だったら、怒りますよ(笑)。
『決して来ない時』はさー、ギリセーフでも、ほぼ別バージョンっぽい『猫と裸婦』でしょー?
えー、モデルちゃんのお父さん、だいじょうぶ???
『鏡の国のアリス』も、関係性がもう!!! え、そのピエール・レリスとやらは、公認だったの? モデルのベティは、どんなコなの???
あとね、『美しい日々』は、前からぼんやり知っていて。きょう、初めて、「あ、ナイフじゃなくて、手鏡なんだ!」と思いました。私の中の脳内バルテュスも、相当ヤバいです(笑)。
モデルとの関係性で、うーむと思ったのは、義理の姪かなー?
義理の姪に、胸はだけさせたのかー! 表情、かなりビミョーですよね???

少女が大人になる過渡期を愛して、だから、日本人妻なのかなー???
でも、二度目の奥様は、非常にしっとりしていて、それでも、海外の方から見たら、永遠の少女なのかしら??? 「浮世絵」の文字には、クスッとしました。きっと、みなさん、クスッとしますよね?

全体を通して、売れっ子カメラマン、それも、ヌードグラビアを撮る大家に近いのかなーって思いました。画家のそれというよりは、カメラマンに近いというか。
いや、うまいんですけれど、切り取り方がセンセーショナルで。

11歳で才能が認められるほど、早熟。タンスとか、中国の人形とか、アレ、14歳のときの作品ですよ? 中二で、あんなの作れないから!
嵐が丘の挿絵なんて、ホント、ピッタリ! すっかり忘れていたけど、ヒースクリフ、確かにこんなコだったなーって思い出しました。

個人的には、そんなに好きな画風じゃないです。
きっと、数年前なら「キライ」って言っていたと思います。
今は、「面白い」に変わりました。好みって、変わるんですねえ!

なんかね、男性客が鑑賞しているときは、「邪魔しないようにしよう」って思っちゃう展示でしたよ。←変な気を遣い過ぎ!
ホントは、絵を見ているお客様の表情の変化、観察したかったです。いやー、バルテュス、刺激的で、面白かったです!

で、ウルトラブックが戻ってきました。おかえり、ウルトラブック!
一ヶ月近く、入院でしたが、大勢に影響がないという!!! あああ!!! あんまりなので、あとでアメブロでも書くのにつかいまーす。

 

 

 

ザ・ビューティフル&100人の魔女展

贅沢な一日でした!!!

表参道のPinpoint Galleryで、「100人の魔女展」を、
丸の内の三菱一号館美術館で、「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」展を見てきました。

うっとり!!!

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おそらく、次回サポーターに入るでしょう。
私は、好きです。「ザ・ビューティフル」展の世界。
バーン=ジョーンズも、いっぱいだし、アルバート・ムーアの「真夏」で終わる構成も、ぐっときます。空間的に、めちゃ好み! 5月6日まで。

100人の魔女展は、予想よりもあっさりしていました。
もうちょっと、重さというか、物語性というか、怖さを求めていたみたいです。
でも、いまどきの魔女は、あっさりでいいのかもしれません。こちらは、22日まで。

イヴ・チュリエス チョコレート カカオサンパカ

おいしいものシリーズ。
いただきもののイヴ・チュリエス。
ひとめぼれしたウエストのチョコレートつきリーフパイ。
カカオサンパカのマダレナ、イビサの塩入チョコレートケーキ。

マンゴーカレー

千疋屋さんのマンゴーカレー。久しぶりにいただきまして、幸せでした。
今週末も、雪予報ですね。みなさま、暖かく、お過ごしください。

 

 

 

カイユボット展へ

ブリヂストン美術館で開催されている「カイユボット展」へ行ってきました。
会期後半、29日まです。ギリギリの滑り込みといったところでしょうか?

ブリヂストン美術館

この企画展で初めて意識したと思います。ギュスターブ・カイユボット。
説明をきちんと読んだわけではないのですが、弟さんが撮った写真と組み合わせて展示されていて、カイユボットが生きた時代の断片が伝わってきます。

厳格で、静かで、豊かなご実家。
変わりゆく街、美しい自然。

嬉しくなって、3周もして。ちびくろさんぼのトラみたいですね。ぐるぐる。
2周半で、ふと、おなかいっぱいになりました。
ああ、もういいやと。

カイユボットの作品群の中で見ると、ブリヂストン美術館の所蔵品が映えます。また、うまく絞って見せていますよね。そして、ピアノ!!!
まさか、絵の中にあるものとほぼ同モデルが日本にあって、それを貸し出してくださる奇特な方がいらっしゃるとは!!! びっくり、びっくり、ひたすらびっくりです。

珍しく、「好き!」と絵葉書が一致しました。
『見下ろした大通り』
2、3階くらいから見下ろした風景です。丸くレンガで囲まれ、植えられた一本の街路樹、隣にベンチ、行きかう人々の絵です。木から伸びた枝が画面の2/3を覆っています。
眺めていると、丸の内の三菱一号館付近を連想させるあたり、東京の街づくり、成功していますねー。

『セーヌのプティ・ブラ、アルジャントゥイユ、陽光』
長いタイトルだなあ。
こちらは、ありがちな田園風景です。住んだら、退屈しそうなくらいの田舎。
でも、とにかく、懐かしくて。子供時代、こんな環境で過ごせたら、いい大人になれる木がします。
「あの子のことは、放っておきなさい。好きにさせておくといいよ」
そんなことを言ってくれるおばあちゃんが住んでいそうな風景です。

さりげなく並んでいるブリヂストン所蔵のクロード・モネの『アルジャントゥイユの洪水』、『アルジャントゥイユ』
1872-3年、1874年の作品。モネが32、3歳、34歳のころの作品です。
これは、いきなり妬きました。
こんな風に描ける人がいたら、描きたいと思えるかどうか!

ゴッホの作品もありまして。
これは、見た瞬間、こんな言葉が浮かびましたよ。
「あの人がまともだったころ」
1886年、『モンマルトルの風車』。ゴッホ33歳。
アルル時代が1888年から、サンレミの精神病院は1889年5月からということなので、当たらずも遠からず。だんだん見る目が出来てきたということでしょうか?

そして、おなじみのエジプトコーナー。聖猫の前では、毎回足が止まってしまうのですが、昨日はふと、「この猫、何色だったんだろう?」が浮かびました。
黒?
いや、白? なんだか白って気がします。あるいは、金色???
黄金の猫、もしかしたら?

愚にもつかないことを思い浮かべつつ、幸せなひとときを過ごせました。

古代譜

古代譜と名付けられた時計は、悠久の時を刻む。描かれた女性は、貝の一部のようにも、人魚のようにも見える。曲線、ただ、ただ、曲線。

豊かな髪は、時計の側面にもこぼれ、ゆるやかに広がっている。貝なのか、尾なのか、こちらもまた、豊かに膨らんでいる。
彼女は、まぶたを閉じ、微睡んでいる。もし、瞳を開けたら?
彼女は、くちびるを閉じ、沈黙を守る。もし、話しかけたら?

 

彼女に見つめられたら?
彼女と会話が出来たら?
うねりは、右巻き。くるんと右巻き。曲線は、永遠。くるんと永遠。

 

見えない瞳は、何色?
聞こえない声は、どんな声?

 

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そんなことを考えながら、拝見しました。美しい『古代譜』の彼女には、青山のPinpointGalleryで、会えます。クリスマスまで。

 

 

甘味保証

甘味保証

昨日、我が家に届いた封書は、こんなシールで封されていました。

甘味保証??? 頭の中が?でいっぱいになりながら、中を見て、笑い転げました。
郵便受けの前で大笑いする中年女、かなりシュールです。ご近所の人、おっかなびっくりでしょうねえ。まあ、今に始まったことじゃないですけれど。

ちいさな時計展

お、「ちいさな時計展」の告知ハガキです。右のキツネさんもいいなーって思いましたが、この白いのは、欲しいかも!とよく見たら……。

宇野亜喜良さん作。「天使の時間 悪魔の時間」だそうです。こ、これは、買えまい!!!

メルヘンの散歩道をひっくり返してみますと。

やなせたかし記念館NEWS

やなせたかし記念館NEWSでした。中には、見覚えのある樋上公実子さんの絵が!!!

おー、こんなに貴重なモノをいただいてよいのでしょうか?
コレクターズアイテムでは??? わーい!

樋上さんの夢、100号の絵だけで構成された個展、きっといつか実現するのでしょう。
そのときは、よりすぐりの甘味をお持ちしなくては!
しかし、天下のグルメ、スイーツ番長、生半可なものではダメでしょうねえ。何がいいかなー?

やなせたかしさんといえば、秋にエジプトへ帰る友人と物産館めぐりをしたときに、高知館で「やなせたかしさんありがとう」寄せ書きがありまして、ちょっと感動いたしました。
なにか書きたい気もしましたが、私ごときが何を伝えるのかという問題があり、心の中でご冥福を祈って失礼したのですが。ずっと、心に残っていて、今回、樋上さんと一緒に我が家にアンパンマンがやってきました。嬉しいです。あ、だから、甘味保証? いや、違うよ!

樋上公実子さんも参加され、章月が欲しいと思った宇野亜喜良さんの時計が見られるのは、「ちいさな時計展」。青山のPinpointGalleryにて、来週月曜日16日からクリスマスまで開催されるそうです。日曜日はお休み、土曜日と最終日は17時まで。11:00から19:00。自分のためのメモ書きでした。

それと、もうひとつ、別件で。
昨日いただいたかわいい企画。

1月31日(金)19時から、祖師ヶ谷大蔵Cafe Muriwui (カフェ・ムリウイ)にて。
『中村さんちのお正月』

これはもう、タイトル勝ちでしょー。
笛吹の中村香奈子さん、笙の中村華子さん、篳篥の中村仁美さんによる
「中村さん」によるお正月。投げ銭に、ワンドリンクオーダーでOKとは、交通費考えてもお得です!!! おっとっと、びっくり!
中村さん、これじゃ、誰だかわからない! 中村仁美さんによる「すべてよし笛」の演奏もあるそうで。すべてよし笛って、何? 何? なあに?

かわいいことを思いつくなー。なんだか、ここんところ、疲れてどうにもならなかったのですが、元気になりましたよ!!!

楽しみが増えました!

「モネ、風景をみる眼」展へ行きました

汐留で長くやっていた『ルオーとモロー』、さらに、千葉市美術館の『ルオー展』をまんまと見逃しました!
ルオーも、モローも、好きなのに!

で、悔しくて、こちらは、さっさと覗きました。
『モネ、風景をみる眼』

もね

 

しかし、モネは個人蔵、西洋美術館寄託作品以外、見ておりました。
まあね、私、ポーラ美術館のファンなんで(笑)。

かわりに、違う画家さんが魅力的に見えました。ルドンに、ピサロ、牧歌的なピサロは、新鮮でした。
あと、ゴッホ!薔薇の絵、キレイ!
ロダンがゴロゴロあったのは、あれは、モネとロダン展の再現サービスではないかと想像いたしました。キャプション全部読んだわけじゃないので、ウソかもですけれど。
ムダに空間が広かったけれど、モノは、モネ。年末に向けて、どんどん混むのでしょうね。きっと。

そして、そんな余韻をぶっ飛ばしたのは、常設企画展のムンクでした。

すごいですよ!
モネでふにゃふにゃした後だからこそ、スペイン前衛で頭がむにゃむにゃするからこそ、ムンクが、来ますよ!
特に、『アルファとオメガ』、鋼の錬金術師も真っ青の鬱展開!なに、ハガレン連想してんのさ!ですが。底のなさが、なんか近い気がするんですよね。

モチーフは、アダムとイブなんでしょう。
女のオメガが、男のアルファをくすぐって起こすところから、愛は始まります。愛、確かにあったのに、やはり、蛇が出てくるあたりで、おかしくなります。

蛇は、アルファに殺されます。そのシーンのオメガが、ぞっとします。
あんた、なにしてるのさ? そして、オメガは少しずつ、道を踏み外していくのです。

ムンクが、精神病院に入院したときに、治療を兼ねて描かれた作品だそうです。最後なほうでは、叫びに似た構図も出てきます。圧巻!

いいものを見せていただきました。
ん? 私、モネを見に行ったんだよね???

まあ、こんなこともありますね。ぜひ、常設のムンクも、お忘れなく!
あ、先にムンクがいいかも?
もしかしたら、ムンク→モネが、正しいかもしれません。でも、ぜひ、ご覧いただきたいです。鬱展開が、イイんです! おすすめします!

秋、上野

追記。

ルドンの「ブルターニュの海」は、2008年にすでに惚れておりまして。
惚れ直しました。やっぱり、色つきルドン、素敵です。
色つき時代あってよかった!!!

そして、『アルファとオメガ』は、去年5月にオペラが来ていたんですねー。
ぐぐったら、酷評にぶつかりましたが、でも、聴いてみたかったし、見て見たかったなー。
あーあ、教養がないと、損するなー。今なら、絶対チケット取ったのに!!!

 

 

 

 

 

 

 

天上の舞、飛天の美

サントリー美術館で開催中の「平等院鳳凰堂平成修理完成記念『天上の舞、飛天の美』」を見てきました。

国宝が展示されているのですが、別格ですね!
さすが国の宝です!!!

最近、こういうワナにハマりやすいのですが、たまたま講演会の日で、非常に混んでおりました。なので、せっかくイヤホンガイドを借りたのに、最後まで聞けなかったという!!!
それでも、非常に刺激的な展覧会となりました。

見ながら、「形としては、セイレーンだよねえ」って思っておりました。
セイレーンは、西洋では誘惑、死へいざなうもの。
対して、飛天は、極楽浄土の象徴だったりします。

笑っちゃったのは、こちら。
あちこちに、笙があって、嬉しかったので、会場限定のコレを買いました。

笙???

えっと、コレ、ナニ????

これ、1100円もするんですよー。
で、吹き口すらないって、どういうことですか! あまりにも雑で笑っちゃいました。
ミュージアムショップの限定グッズ、もうちょっとなんとかならなかったのでしょうか?

でも、買った私、スゴイぞ! たぶん、笙だと思います。おそらく。
明後日、稽古でみんなに見せびらかそうかと。

「なんで買った?」と顔に書いてあるサマが浮かびます。ハイ。

鹿島茂氏講演会 「画家たちの愛した19世紀末パリの風俗」

鹿島茂氏講演会 「画家たちの愛した19世紀末パリの風俗」を聴講してきました。

楽しみにしていたのですが、残念なことに体力は限界で、ぼんやり聞く感じになってしまいました。

それでも、1860年にパリの市街が広がったこと。モンマルトル、モンパルナスの成り立ちなどをつかめたように感じます。

「繁華街盛衰の法則」は、納得しました。繁華街が繁栄しすぎると地価が上がり、上がりきると、もう銀行しか土地を買えなくなり、そこは、銀行街になることになると。えっと、間違って解釈していたら、すみません。ちょいと通常の半分くらいの能力しかない状態デス。

カフェ、キャバレー、ミュージックホールの違い、カフェから生まれた雑誌のプレスブーム、娼婦やお妾さんたちのことなど、「へええ」がいっぱいでした。
断片的な知識があっても、つながっていないというか。こうやってお話をうかがうと、どこにポイントを絞って見ればいいのかがわかって、グッと面白くなりますね。

鹿島先生の「風俗美術史」は、すごく大事な側面なのだと理解しました。

アンケートを書くときに何も思い浮かばなかったのですが、これ、レジュメみたいなのをもらえたら、もっと理解が深まった気がいたします。
たとえば、パリの地図。
たとえば、人の名前。

メモ書き程度でいいんですよね。それが、あとから調べる手立てになりますから。
学者の方は、ご自身が知識があるから、とにかく早口です。机があって授業を聞く体制でも追い切れないのに、アートセミナーって、たいてい、椅子だけなので。不自然な体制の中で、「なんとかとなんとかとなんとかと」みたいなのだと、もう最初と最後だけ残って、いざメモを見ると、なんだかわからないことになっています。日本語なのに、ヒアリングが出来なかったりしてねー。

でも、コレ、私だけじゃないと思うんですよね。普段から、「この世界が好きで、コレしか考えてないんです」って人は、一握りじゃないかと思うのです。やっぱり、「きょうは、仕事なんとか抜けられたなー」とか、「明日の約束どうしようか」とかの中で、「アートセミナーに行きましょ」って感じの人が大半だと思うんですよね。そこに、ポンッと専門用語を投げても、受け止めきれないじゃないかなーと。あるいは、バカは私だけなのかなー??? みなさん、美大卒並みの知識があるのかなー???

つらつら考えると、郡山市立美術館のバーン=ジョーンズ展の学芸員さんによるセミナーの資料は、素晴らしかったですねー。モノクロでしたが、ちゃんと図版もついていて!
あれが最高級として、そこまでじゃなくてもいいので。
ホント、たとえば、当時のパリの地図だけでもスライドで見せるとか、なにかあれば、もっと立体的にいろいろ残ったような気がしますねー。

まあね、無料セミナーですから、「んなこと、やってられるかい!」だとは思うのですが。

そうそう、無料セミナーだったので、参加費代わりに、こちらを会場で購入致しました。

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あ、もうひとつ言えば、書籍販売の位置、アレじゃダメでしょー。

セミナー開始前は、あの場所でいいと思うんですけれど、終了後、ドアを片方しか開けなくて、その手前で販売してたら、「なんだろう?」って思っても、立ち止まれませんよ。他のお客さんの迷惑になりますし。
それに、アンケートを渡すために手に持っているわけですから、手がふさがっちゃっているわけ。どんな本かな???って思っても、物理的に手に取れません。
私、一度ドアの外に出て、アンケート渡して手ぶらになって、人の流れが途切れるのを待って、戻って本を買ったんですよー!!!

それでもね、こういう場合は、書店ではなく、イベント会場で買わないとね!!!
「会場で、いっぱい売れましたよ!」なら、鹿島先生も嬉しいでしょ。
きょうのセミナー、喜んでもらえたんだなーって思えますよねー。
でも、あの配置じゃ、ダメでしょう。気になりながらも、通り過ぎるしかないもの。もったいないなー!!! 鹿島先生のお話、面白かったですよー!!!

ナポレオンの姪

きょうは、嬉しいことがありました。
ずっと、気になっていたナポレオンの姪の肖像画を見ることが出来たのです。

始まりは、損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の『トスカーナと近代絵画』でした。
そこで、解説にちょっとだけ出てくるのです。ナポレオンの姪のことが、チラッとだけ。
それは、嫁ぎ先のデミドフ家の邸宅の一部を映した絵で、なんともまあ、豪華絢爛です。

で、解説を読み、「え、ナポレオンの姪って、失脚後、大丈夫だったの???」と素朴な疑問がわきました。なにしろ、東京都美術館で開催中の『ターナー展』で見たナポレオンの寂寥感が忘れられなくて。

でも、「ナポレオンの姪」だと、検索にひっかかってこないんですね。
お詳しい方には、笑われてしまいそうですけれど、うまく見つけられませんでした。
忙しい時期だったこともあり、ここで追跡はストップ。でも、ずっと気になっていまして。

きょう、Bunkamuraのザ・ミュージアムで、いきなり、私の前に現れました。
非常にかわいらしく、華やかな絵で、花をバックに肩を出しているドレスが印象的でした。「叔父、ナポレオンがいなければ、私はオレンジ売りよ」とプルーストに語ったという逸話がついていました。

で、名前がわかったので、「マティルド」と「デミドフ家」で検索かけたら、あっけなくたどり着きました。

マチルド・ボナパルト!
今度は、ちゃんと彼女の半生が見えてきます。

たどり着くまで、長かった気がしますし、意外に早かった気もします。

ナポレオン失脚後は大丈夫だったのか勝手に心配していたのですけれど、彼女は失脚してから生まれたのですね。庶民が心配する必要なんてこれっぽっちもない華やかな人生を送られていましたよ。歴史を知らないって、困りますねー。しかし、叔父さんがいなくても、オレンジは売らないんじゃないかしら?

でも、こういうのも、楽しい経験ですね。
何かがひっかかって、でも、すぐにはわからなくて。
思いがけなく、答えが見つかって、嬉しいです!

それぞれの絵は、こんなラインナップです。

ジャン=パティスト・フォルトゥネ・ド・フルニエ
「サン・ドナート・イン・プルヴェローザにあるデミドフ家の別荘(ヴィラ)のサロン」

ルイ=ガブリエル=ウジェーヌ・イザベイ
「チュイルリー宮殿庭園のマティルド公女」

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
「戦争、流刑者とカサ貝」

同時期に開催された『ターナー展』と『トスカーナと近代美術』と『バルビゾンへの道 山寺後藤美術館コレクション展』ですが、私の中では、マチルド・ボナパルトに集約されました。

しかし、「チュイルリー宮殿庭園のマティルド公女」は、1855年の制作とあります。
マチルド、35歳??? えー、ホント??? もっと若く見えましたが。

余談ですが、『バルビゾンへの道 山寺後藤美術館コレクション展』では、ジョン・エヴァレット・ミレイの「クラリッサ」とシャルル・フランソワ・ペクリュの「貴婦人と犬」が気に入りました。

この「貴婦人と犬」の貴婦人みたいな女性になりたいなーって思います。
絶対、優しくてよい人っぽいんですが、しかし、あれだけ寛容な感じだと、ガマンすることも多そうな気がいたします。案外不幸かなー??? そんなことを考えつつ(また、余計なお世話!!!)、 とりあえず、お手本にするべく、ポストカードを買って帰ってきました!
マチルド公女のはなかったのですよ、残念無念。でも、この絵をラインナップに入れてくださってありがとうございます>関係者様。

「トスカーナと近代絵画」展へ

フィレンツェ ピッティ宮近代美術館コレクション「トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス」展を見に損保ジャパン東郷青児美術館へ行ってきました。

見る前からそんな気がしていましたが、予感的中です。
コレは、すごく好きな世界です。

まず、パキパキと構図が美しいのがイイです。
で、風景がいちいち懐かしい。そして、人物が、特に女性が存在感たっぷり!

最初の部屋は、クラシカル。悪くないです。
ナポレオンの姪が嫁いだといわれる邸宅の内装の絵は、ワクワクします。
天井に描かれているのは、ギリシャ神話がモチーフでしょうか? わりと見ていると思うのですが、「あれはアレね」が出来なくて、さびしかったです。もっと、勉強しなきゃなあ。
やはり、美術鑑賞は、教養があるとさらに奥行が出て楽しいですね。
しかし、ナポレオンの姪っこさん、どんな数奇な運命をたどったのでしょう?
気になります。

広いスペースへ進み、ジュゼッペ・アッパーティの風景が響きました。
片目を戦争で失って、左目だけで描いた作品だそうです。
左目だけで見て見ました(え、しない???)。とても切なくなりました。

ジュゼッペ・デ・ニッティスの「オファント川岸で」は、展示でぐっと引き立ちました。
いえ、単純に、ガラスなしなので、「これ以上近づかないでね」で、足元にロープが張ってあっただけなんですけれど、これが、絵の中の川の流れにリンクしてカーブしているのです。

幸運な偶然、あるいは、狙いました?
順路からいうと、手前が絵に近く、斜めに禁止区域が広がり、ある程度離れて見てねって感じなんですけれど、これが、絵の中の奥行と感覚が一緒で、非常にイイ感じです。
こんなことに喜ぶ客がいるとは、学芸員さんもびっくりかもですね。

シルヴェストロ・レーガの「婦人の肖像」。
写実が続く中、いきなり、顔なしです!!! ドキッとしましたさ。
これもまた、ドラマチックな一枚ですねえ。

アントニオ・チゼーリ「キリストの埋葬」。
履きものの有無で、社会的な地位などを表します。
マグダラのマリアなのでしょうか? 手前の女性の服装が、明らかに他の人と違います。
非常に陰惨な絵ですが、彼女の肌は、陶器のように美しいのです。
素朴な疑問なのですが、磔からおろされたとき、硬直はしてなかったのでしょうか?
キリストの腕の位置が妙に気になりまして。そこは、絵画の虚構でいいのかな。
で、今、初めて検索かけて、なぜ磔が死刑なのかを理解しました。
手足首を打ちつけられることで、体を支えられなくなって呼吸困難で死に至るのですね。
夜中に何、調べているんでしょうね?

ジョバンニ・コスティティ「物思いに耽る女性」。
風の星座生まれに違いないと思いました。
非常に、涼やかな感じが、風っぽいです。で、二巡して、天秤座じゃないかと思いました。
双子座にはない成熟があり、水瓶座ほど進歩的ではないからです。
三回見て、いや、蠍座の可能性もあると感じました。なに、モデルの生まれ星座当てをやっているのでしょう?
この絵の印象だと、天秤座の第三ディーク生まれかと。マニアすぎて、なんだかわからない視点ですね。わはは。

プリーモ・コンティ「自画像、ムンダと共に」。
ムンダは、画家の奥様です。
これはもう、タチが悪いって思いましたよ。
いえ、透明感があり、非常に魅力的な女性なのです。でも、実在したら、絶対ヤバいから!
こういうタイプが周りを不幸にしちゃうんですよぉぉぉ。
人妻なのに少女っぽくて、どこか遠くを見ていて。
身体全体で、「ここから連れ出して」って言っているみたい。そのくせ、うっかり恋しちゃった男が「一緒に行こう」と手を取っても、ガンとして、夫の元から去ろうとはしないんじゃないでしょうか?
誘惑するだけしておいて、そんなつもりはなかったと言い張るタイプというか。
え? ピュアな女性にしか見えない? うん、そうかも。

私にとって、「いい絵」は、こんな風にイメージが広がる絵なのです。
だから、この展覧会は非常にアタリでした!
めっちゃ空いていたのも贅沢の極み。素晴らしいひとときを過ごせました!