ステーションギャラリーと三菱一号美術館

昨日、一昨日とのぞきました。

■ステーションギャラリー

「エミール・クラウスとベルギーの印象派」が、開催中です。
エミール・クラウスは、少し前に、Bunkamuraの「フランドルの光」展で
日本に紹介された画家さんで、どうも、そのときに記憶にひっかかっていたようです。
柔らかくて、優しい景色が広がります。光のとらえ方がすごいです。

が、私はエミール・クラウス作品よりも、一緒に並んでいる別のものに目を奪われ、
幸せな気持ちになりました。
1枚は、入ってすぐに飾られているギュスタヴ・ド・スメット『果樹園の羊』。
ポーラ美術館の所蔵品です。さすがポーラ、いいものをさりげなく、お持ちです。
パッチワークみたいに、なんだかモコモコして見えるのです。
モコモコ、モコモコ、口の中で唱えながら、ご機嫌で見て回りました。

これで、動物スイッチが入ってしまったのか、もう一枚、「いいなあ」は、
児島虎次郎『春の光』。こちらは、山羊です。

もう動物園にでも、行きなさいよと自分につっこみたくなる感想ですね。

東京駅にくっついている美術館なので、アクセスは良好です。
丸の内北口の改札を出ると、すぐにあります。
ただ、中は、右側の壁に沿って進むだけの順路なのですが、これが少々
飲みこみにくく、年配の方が数人遭難していました(笑)。

ただ、二階は、そのわかりにくさが、立体的に迫ってきて……。
エミール・クラウスの作品が屋外の風景がメインなせいもありますが、
ちょっとした森みたいになっていました。わくわくします。
ひとつだけ残念なのは、せっかくモネが飾られていて、それが、
エミール・クラウスと同じ題材ならば、なぜ、並べないのでしょう?
簡単に戻れる造りじゃないのに、「44の作品と同じ題材である」なんて、
書かれても。どうするの? 戻るの???
これは、並べるべきじゃないでしょうかねえ? でも、並べたら、
ちょっとトーンが変わっちゃうのかしら?
せめて、同じ階に置けばいいのにって思いました。。
空間的な制約なんでしょうね。3階に飾るべき絵がサイズの関係で、
エミール・クラウススペースに落ちていたりしましたから。

最近、人に指摘されて、「ああ、そうかも」って思ったのですが、
私、空間にうるさいみたいです。
居心地のよさとか、動線のよしあしとか、妙に気になります。
ステーションギャラリー、3階から2階に下りる螺旋階段のライトが
ちょっと素敵なので、ぜひ、機会があったら、ご覧ください。

7/15まで。入場料は1000円。なんと、suicaも使えます!

■三菱一号館美術館

こちらは、浮世絵~珠玉の斉藤コレクション~を開催中です。

元神奈川県議会議員・参議院議員の斉藤文夫さんのコレクションの中から
よりすぐりを三期にわけて公開するそうです。
昨日、うかがったのは、その第一期。
私は日本画がわからないのですが、ビギナーにもわかりやすい、
浮世絵の変遷みたいなのがダイジェストで並んでいる感じでしょうか?
ビギナーなので、音声ガイドも借りました。
斉藤さんのコメントが、なんだかいいんですよ。
非常にかわいらしいのです。元参議院の先生をつかまえて、何を言う!ですが。
「蒐集は創作」、「世界にひとつしかないものが」、そんな言葉が耳に残ります。

一枚、ものすごく気になる作品があり、それが、絶対にポストカードとかには
ならない種類のもののため、図録も買いました。
わからないのに、なぜ、こんなにお金を使っているのでしょう?

でも、絵師が不詳の作品ですから、ここで何もしないと、もう一生会えないわけです。
絵って、そういう側面もありますよね。
ある意味、絵師がわからないのに、この企画展に出てくるってことは、かなり
すごいのかもしれません。
作品ナンバーTI-2 「延宝美人立姿図」
色味は地味なのですが、とにかく、気を惹きます。なんでしょう???

菱川師宣、鈴木春信(菊見の男女はいけないと思うの)と順に見ていき、
歌麿で足が止まります。
異端というか、鬼才というか。へええええ!!!
鳳凰を背負った「松葉屋 粧ひ 代々春 初船」に度胆を抜かれ、
「青楼十二時 続」の艶っぽさにやられ……。

山姥と金太郎の絵もあり、これは、二度目のサインだと思いました。
この前、河鍋暁斎にもあって、金太郎を育てたのは、山姥説を
知ったのです。
こういうマメ知識が積もると、教養になるんでしょうか?
能の「山姥」を見なさいよってことでしょうか??? まあ、いいか。

で、いろいろ見ていると、だんだん歌舞伎が見たくなってくるわけです。
まんまと、江戸庶民と同じ心理に!!!
テレビとか、そういうのがない時代なら、もう通ってますね。間違いなく!

非常に珍しく、世界に流出しないように、斉藤さんがご購入になったという
鈴木晴信の「風流やつし七小町」は、見せ方がちょっと……。
二列に並べてあるのですが、ケースの奥に置かれちゃうと、ちゃんと
見えないんですよ。えーって、感じ。
横長のケースに並べてくださいよぉぉぉぉ!!!

最近、よく思うのですが、美術館は、何センチの身長の人を
基準に展示しているのでしょうか???
縦に並べられちゃうと、見えないですよ!!!
どうも三菱一号館は、長身の人が決定権を持っている気がしますね。
バーン=ジョーンズのときに、郡山と見比べたのですが、断然、
郡山が見やすいわけ。
「あ、高さか!!!」と気づきました。
三菱一号館、天井が高いから、バランスを取ってしまうのでしょうけど、
ちびのことも、考えてください。ホント、お願いします!!!
珍しいものは、二段にしないでください。
ホント、お願いしますよぉぉぉ。

斉藤コレクションは、川崎・砂子(いさご)の里資料館で無料で
見ることが出来るそうです。でも、今回並んでいるものに会うためには、
相当通わないとダメなんじゃないでしょうか?
第一期は、7/15まで。

第二期は7/17-8/11、北斎・広重の登場ーツーリズムの発展です。

美術愛好家のブログみたいになっていますね(笑)。

 

 

「もののあわれ」と日本の美

サントリー美術館へ行ってきました。
お目当ては、「もののあわれ」と日本の美という美術展です。
え、また?

そう思われるのも、無理はありません。
数えてみましたよ。私も!

新国立「貴婦人と一角獣」
芸大「夏目漱石の美術世界展」
三井「河鍋暁斎の能・狂言画展」
出光「源氏絵と伊勢絵 描かれた恋物語」展
大倉「大倉コレクションの精華Ⅰ」
三菱一号「クラーク・コレクション」
東博「大神社展 後期」
山種「百花繚乱」
ザ・ミュージアム「アントニオ・ロペス」
江戸博「江戸絵画の奇跡」
弥生「魔性の女」
サントリー「もののあわれ」と日本の美

たぶん、頭がおかしいのです。
なぜ、一ヶ月もしないうちに、12本も美術展を
見ているのでしょう。
どこの美術関係者でしょう?

さておき。
もののあわれ展、よかったです。
つい最近、見た岩佐又兵衛の野々宮の源氏があったのには、
ちょっと笑ってしまいましたが。
出光での公開が終わって、サントリーに出たようです。
これでは、源氏の追っかけです。

日本人でよかったなあと思える美術展でした。
特に、月のコーナーが美しいったら!

個人的には、鈴木基一の「四季歌意図巻」が響きました。
美しい!!!
京都の細見美術館の所蔵品だそうなので、
いつか四季バージョンすべてを拝見したいと思います。

日本美術は、さっぱりわからないのですが、さすがに
9軒も見て回りますと……。
わからないなりに、わかってくるというか。
いやー、もののあわれ、楽しかったです。素敵でした!

 

「江戸絵画の奇跡展」へ。

image

アート攻めです。こんなにフラフラで、仕事は大丈夫なのでしょうか?
誰もがナゾに思うところですが、本人が一番強く感じております。
「あなた、だいじょうぶ?」

まあ、行っちゃったものは仕方がない。江戸東京博物館、両国です。

江戸博 image

暑いけれど、風が心地よいです。

今、かかっているのは、ファインバーグ・コレクション
「江戸絵画の奇跡展」です。
ファインバーグ夫妻は、1970年代からコレクションを始めたそうです。
わずか40年ちょっとで、今回400点もの日本絵画をお里帰りさせるほど
集めてしまったわけです。
すごいですよね。今回公開されているのが、400点。もちろん、
もっとお持ちでしょう?
「これは、ちょっと貸せないわ」のお宝も絶対にあるでしょう。
それは、どんな絵なのかしら? お話だけでも、聞いてみたい
気がしますね(見せてとは言わない奥ゆかしさ?)。

ご挨拶文に、「私たちにはわずかなお金しかなく」とありましたが、
これは、本当にわずかなお金で、一大コレクションになるまで
稼ぎましたという意味なのか、ただの謙遜なのか、どちらなのでしょうね?
でも、いずれにしても、日本人以上に、日本文化、絵画を愛してくださって、
素晴らしいことだと思います。

平日昼ですが、わりとお客さんは入っていました。
美術展に行くたびに細かくアラ探しをして文句を言っている気もしますが、
きょうは違いますよ!
だって、すごく素敵なご夫妻がいらしたのです。

旦那様が車いすに乗っていらっしゃいました。
奥様が押していて、その動きが非常に遠慮深く、他の人の邪魔にならないように
気を使って動いているのがわかるのです。
「あれは、酒井抱一の12ヵ月の掛物だけど、あなた見る?」
奥様がおっしゃいます。
「見てみようか」

ニュアンスが伝わるでしょうか?

別の絵の前では、旦那様が「これは、素晴らしいね」とおっしゃいます。
奥様が「そうね」とお答えになって。

空気感が素晴らしくて、優しくて、なんだかずっとくっついて
お話を聞いていたい気がしましたが、それでは、ストーカーです(笑)。
非常に、優しい気持ちになれました。

きょうは、もうひとつ、発見もありまして。
えっと、江戸の絵って、元気ですね!

終盤、歌川豊春「遊女と禿図」がありまして。
禿を連れた遊女の立ち姿なのですが、
粋で美しいわけです。
で、この絵に加えられている賛が効いています。
「鬼の名と きけとうつくし 百合の花
外面似菩薩
内心如夜叉」
なに、平成の世まで、美女の悪口を伝えているのやら。
もうおかしくて、おかしくて。

日本人コレクターのご厚意で再会したという
伊藤若冲の「菊図」も、印象深いです。
おそらく、3枚の連作の菊の絵。
日本人コレクターは、中央をお持ちです。
で、素人目にも、状態が違います。
制作時期は同じでしょうから、保存条件とか、
まあ、いろいろあるのでしょう。
作品鑑賞というよりも、現実的なことを考えてしまいました。

ともかく、江戸は元気! イキがいいです。

美術館の外に出たら、こんな風に光が差していました。

image 美しい季節ですね。

魔性の女挿絵展

弥生美術館  1903786786_189s

弥生美術館で開催中の「魔性の女挿絵展」へ行ってきました。
チロッとのぞくだけのつもりが、ドハマリしました。
未だ大正ロマンから戻って来られません。

図録代わりに、「魔性の女挿絵集」も出ております。
もれなく、買いました。1680円です。

静御前に、玉藻。地獄太夫に、お七にお伝、紫の女王。そして、人魚……。
惑わしのまなざし。
うっとりします。
月曜定休、30日まで。一般800円です。オススメします。

併設カフェで、コーヒーつきのカレーセットをいただきました。

東大構内

アメブロにも載せた東大構内の大きな木。
本当に美しく、力強く、うっとりです。

 

 

 

頭が仕事に戻ってきません。完全に魅了されてしまいました。
まずいですねえ。

怜倫楽遊

日曜日の午後は、怜楽舎の第十一回雅楽演奏会を聴きに行きました。

第一部
平調音取
秋燕子 皇麞一具 芝祐靖補曲
遊声、破、颯踏、
急(明治撰定譜)
舞楽  抜頭(ばとう) 右方

第二部
紫御殿物語 伊左治 直作曲 <委嘱初演>

こんな構成でした。
第一部の秋燕子は、時の流れの中で失われた曲を再現しようとする
試み……と解釈してよいのかどうか。
理解が足らなくて、申し訳ないのですが。
美しく、雄大で、気持ちがのんびりといたしました。

休憩時間に、友人夫妻、龍笛の先生にロビーで久しぶりにお会いして、
わくわく嬉しくなり、幸せな気持ちになりました。

二部は、雅楽器による現代音楽で、「おー、そんな音も!」とか、
「どうやって出しているんだろう?」とかもあって、
面白かったです。

今、日記を書くためにパンフレットを改めてみて、
「あれ? 細かい章の説明がちゃんと載っているじゃない!」と
いまさら気づきました。読みながら、聞きたかった気もします。
でも、客電絞られていたので、読めなかったと思いますが。

音楽に詳しい先輩によると、「客席は、有名な作曲家だらけだったよ」とのこと。
知らないって、困りますね。まあ、私はそういう人生でよいのです。ハイ。
四谷で、先輩や友人夫妻とゴハンを食べて、ニコニコ帰りました。

うーん、文化的な毎日です!
この1週間だけでも、美術展5本、映画1本、雅楽演奏会2本です。
ハッキリ言って詰め込み過ぎで、まったく消化が追いついておりません。
やれやれで、ございます。

大倉コレクションの精華Ⅰ
奇跡のクラークコレクション
国宝大神社展
アントニオ・ロペス展
百花繚乱

5月は、これにあと4本プラス。
貴婦人と一角獣
河鍋暁齋の能・狂言画
夏目漱石の美術世界展
源氏絵と伊勢絵 描かれた恋物語

なんで、こんなに精力的に見て回っているのでしょ?
章月綾乃、着地点はどこなのでしょう? ねえ?

山種美術館

週明け、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
最近は、日中の温度差が激しいですよね。
昨日は昼間は汗ばむ陽気でしたが、夜になり寒くて震えました。

で、そんな暑さの中、移転後の山種美術館に初めていきました。

とにかく、おしゃれです。
しかし!!! なんですか、あのわかりにくさは!

自動ドアをくぐって、すぐに受付があり、もぎりがあり、
展示室に行くための階段があります。
ここまでは、流れるようにスムーズ。

しかし、下に降りてから「あれ、ロッカーは?」となります。
また、階段を上がって、「あの、ロッカーは?」と聞いたら、
「右手にございます」で、もぎりのところを出て、
映像見せているスペースを超えて、どんどん行って右に
曲がったら、そこは、トイレでした。え?

戻ってみたら、映像スペースの手前のうす暗がりが
ロッカーでした。
で、鞄の中からお財布とiphoneを出そうとしたら、
iphoneがまぎれて、見つかりません。
暗くて、わかんないわけ。

仕方ないから、映像スペースまで戻って、人のスキマを
縫って荷物を置いて、中を確認して、やっと発見。
やっと、ロッカーに入れて、半券見せて、また、
展示室に行きました。

すると……。

まったく覚えられない「順路」がありました。
1番からまっすぐに進み、あるところまできたら、
Uターンして、また進んで、くるっと戻ってみたいな
変な図が貼られていました。

じっと眺めましたが、どう頑張っても、覚えられそうにありません。
見切り発車で動きました。

壁がつながっているところまでしかわかりません。
あとは、ちょこっと書いてある矢印に気づいたら、そこで
進路を変える感じ?

どこの誰ですか、こんなバカな仕掛けを押し付けるのは?
だって、良識がありそうな年配の男性が悪気なく、
逆流したり、お育ちのよさそうな奥様が「えっと、次は?」って
してましたよ? 私だけじゃないんですよ。

なぜ、こんなに人の生理を無視した造りなのでしょう?
所蔵作品から察するに、主なターゲットは年配の方でしょう?
なのに、なぜ、こんなバカげた仕掛けなのですか?

美術館は、美意識のかたまりみたいなものですから、
野暮を排したい気持ちはよくわかります。
でも、人の生理を無視した造りにしてまでやることでしょうか?
金沢の21世紀美術館は極限までこだわっていますが、
順路は自然にわかりますよ。わかるように作っていますよ。

リピーターなら、「それが山種流」「山種は、こう見るのよ」で、
かえってハクがつくというか、暗黙の了解で、特権気分で
いいのかもしれませんが、一見の人間に不親切な造りは、
本当にどうかと思います。

案の定、帰りも、もう配置を忘れて、
ロッカーから荷物を出そうと、トイレに直進しちゃいました。
感覚的に、位置が逆なんですよ。
で、ロッカースペース、必要以上に照明をしぼりすぎ。
そのくせ、ロッカーを開けると、全面に
「お忘れ物がないように!」みたいな注意書きがあるのです。
私、あちこち行っていますが、こんなバカな注意書きがある
コインロッカー見たことないです。
たいていは、自然に、中が見渡せますから。
ロッカースペースの照明を絞っているから、中が見えにくいわけ。

ロッカー閉めれば、文字は見えないから、見えないところは、
ガンガン書くみたいないやらしさを感じました。
本当は、荷物を整理する台が欲しいところですよ。
気の利いた美術館には、おいてあります。
で、ロッカー近くに台がある美術館で、戸惑うことはまずありません。
というか、こんなに頭を使わせる美術館は初めてかも?

でも、もう設計段階で「気取り」を取ったわけですから、
持病もちみたいなものですよね。
ロッカーも、照明を明るくしたら、目立ってしまって
ムードが壊れます。スペースがないから、整理台なんて無理でしょう。
トイレの位置も変えられません。
絶対に覚えられない順路も、きっと毎回似たような感じなのでしょう。
お客さんが慣れるしかないんですよね。

でもねえ。
絵を見に来ているのに、順路を気にしないといけないなんて、本当に
バカな話ですよ。
集中力が途切れちゃうでしょ?
えっと、次はどこ?みたいに。
気にしなくていいなら、適当に見ますけれど、そうすると、
うっかり逆流する迷惑な人になっちゃうわけです。
客層もよく、ありがちなガラスケースの鑑賞者の映り込みもなく、
展示室の照明も絞られ、絵が浮き立つように見えて、
非常に心地よいのです。
それだけに、「えっと、次は?」が、どうもそぐいません。

なぜ、あの造りにしたのですか、山種美術館さん!!!

何を見たかよりも、なぜこの造りなの?が残った訪問となりました。

一ヶ月一年考。

最近、桑原正守氏の著書を読んでいます。きょうは、『強運を呼び込むツキまくりの法則』を読みきりました。
ためになることがいっぱいなんですが、中でも響いたのは、「一ヶ月を一年と思って行動する」です。
なるほど〜!

気になる方は、ぜひ、本書を。
ちょうど、明日から新しい月です。まず、プレ体験で、頑張ってみましょう。

きょうは、打ち合わせがありまして。その後、渋谷に出ました。
心理・占術研究家の天城映先生のパワーストーンのお店「あまき堂」におじゃましました。
たいへん、居心地がよく、でも、石ではなく、お塩をいただいて帰りました。
天城先生が合うものを見てくださいます。すごいぞー!
もうびっくりするくらい安いんですよ! よろしいのでしょうか?
それから、アントニオ・ロペス展、映画「ロイヤル・アフェア」を見てきました。
アントニオ・ロペス、いいですね。非常に丹念で、大胆で。
背筋が伸びます。
ロイヤル・アフェアは、幸運のコインにつられて前売りを買いまして。
なかなか行かれず、なんとか見られました。
非日常にトリップできます。18世紀デンマークです。ドレスに馬車にお城です。
で、丁寧に作られたいい作品です。
が、根本のとこで、「それをやったらおしまいじゃないか?」がつきまとうため、のめり込めません。
史実がベースだそうですが、デンマーク国民の中では、これはアリなんでしょうか、ナシなんでしょうか?
ちなみに、幸運のコインは、もう手元にありません。なんかね、50円玉と間違って、使った気配が〜。
思わず、知らず、偽金使いになってしまったようです。
なぜ、お財布に入れたのか、我ながら謎です。
しかし、いつ、どこで使ったのでしょう? 記憶にありません。非常に、まずいです。犯罪者ですよ、これじゃ。
きっと、地元で……だと思うのですが。
「偽50円つかまされた」の方、お声かけてください。もしかしたら、私が犯人かもしれませんっ。
さて、それはともかく、まもなく、6月です。
木星も、動きます。いい一ヶ月に致しましょう!

ホテルオークラ&コンラッド東京

朝から、ホテルオークラの大倉集古館へ行ってきました。
日曜終了の「館蔵品展『大倉コレクションの精華Ⅰ』中世・近世の絵画」をのぞいてきました。

大倉集古館

初めてうかがいましたが、素敵なコレクションですね。
1900年のパリ万博に出展したものをリアルに見られることが、なんだか不思議でした。
絵の中に、笙を見つけて、嬉しくなりました。
で、なぜ篳篥がないのかしら?とか、ちょっとマニアな視点で見ちゃいました。
また、酒井抱一が姫路城城主の息子さんだったと知り、いきなり親近感を覚えました。
姫路城、好きなんです。単純に美しさもありますが、むしろ、泉鏡花の「天守物語」の影響で。
ひとりで、天守物語の図書之助ごっこをしたことがあります。
これは、ものすごく大変でした。
えっと、物語の中で、図書之助は、何度もお城の中を登ったり、降りたりするのです。
普通の人は、まず、やりませんっ。でも、やると楽しい思い出になります。
モノ好きな方、ぜひ!
また、大倉喜八郎さんという人物のスケールの大きさに、ひたすらびっくりしました。
略歴、じっくり読み込んでしまいましたよ。
しかし、検索をかけると、死の商人という側面も出てきまして……なるほど。
良くも悪くも、時代を創った怪物ですね。それから、コンラッド東京へ。
コンラッド東京

もう落差が面白くて。

日本のホテル文化から海外資本のホテル文化へ。
比べると、コンラッド、えらく素っ気ないのですよ。しかし、この距離感もいいです。
どちらも魅惑的で、ちょっと楽しい経験となりました。

さらに、クラーク・コレクションを見納めに、三菱一号館美術館まで行きました。
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薔薇が満開です。

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紫陽花も色づき始めていました。キレイ、キレイ。

ただ、館内は、大混雑。
明日が最終日だけあり、ものすごい人に、びっくりしました。

そうそう、虎ノ門の金刀比羅様にも、ご挨拶しました。
結神社が気になり、御祭神をうかがったら、いろいろな
神様をお祀りしているそうです。そういう意味でも、結びのお社ですね。
気が向いて、おみくじを引いたら、大吉でした。

贅沢な、贅沢な一日でした。

 

 

土佐光吉没後400年記念 源氏絵と伊勢絵 描かれた恋物語

和歌文化が、仕事として私の人生に割り込んできたせいでしょうか?

これは、見ておきたいと思いました。
「源氏絵と伊勢絵」、きょうまでの企画展です。出光美術館でやっています。

金色の美術展です。
王朝の恋物語の絵巻物。
これまでは、正直、どれを見ても、ピンとこなくて、「ああ、あんなのね」で、
ずっと流してきました。が、改めて、見てみると、いろいろな発見があって、
非常に面白かったです。

特に、独特の構図。
渡り廊下と、部屋が描かれ、やんごとなき方々のお姿が描かれ……、
あのありがちなやつです。
でも、あれも、改めて考えてみると、すごい構図ですよね。
視点が天空にあるわけですから。
そんなところから、のぞけるはずもないのに、一体全体、誰が
最初に考えたのでしょう?

バカをさらすようで、やめておけって気もしますが、
もう少し続けますと、浮世絵も、よくわからないのです。
ただ、一枚だけ、「やられた」と思ったものはあります。
今はなきルイス・C・ティファニー美術館にあった浮世絵
コレクションの一枚です。
手前に、馬のお尻。相当アップです。で、遠景に、
なにか街並みがあったような???
あの構図を見たときに、大笑いしまして。
海を渡ったフランスで、そりゃ、どぎもを抜くよねって
思いました。馬のお尻に驚きすぎて、絵師の名前も
覚えていないのですが。
ルイス・C・ティファニー美術館は、本当にうっとりするような
美術館でした。箱根あたりにあったら、きっと人気スポットで、
永続したでしょうに。
地元の反発、こじれた感情も、さんざん聞かされましたけれど、
それでも、あれだけの空間、コレクション、本当に惜しいと思います。
私はもう一度、『鹿の窓』を見てみたいのですが、
次はないのかしら?

というわけで、意識は欧米に向いていまして、
日本の美術全般に弱いわけですが。
もうちょっと続けましょう。
今回の出光での企画展は、最後に「留守模様」コーナーが
用意されていました。
これが、まあ、美しく。深く、心に残ります。
見る人が見れば、道具立てだけで、「ああ、あの話のあのシーン」が
わかるわけです。
私? わからない、わからない(笑)。
しかし、非常に素敵でした。
酒井抱一は、おそらく、今年二回目の鑑賞で、やはり一回目のほうが
インパクトがありました。ただ、展示空間が広いため、横を歩くと、
さながら、自分が八ッ橋を渡っているような気分になれて
いいですね。

美術を読み解くには、教養や知識が必要ですよね。
ずいぶん前に、ダ・ヴィンチコードがはやりましたし、
鏡リュウジ氏もよくエッセイなどに書かれていますが、
本当に意匠を読み取ってこその鑑賞となります。
犬が忠誠を表すとか、花の意味とか、
絵画に織り込まれたものを読み取っていく力があると、
ものすごく楽しいものになりますよね。

そういう意味では、この前の
『貴婦人と一角獣』は、状態がいい昔のものが
きちんと残っていたというだけで、そこに象意は、
あまりないように見えたのですが。
たくさんの人が研究され、秘密があると考えて、
未だに謎が解けないわけで。

芸術新潮の関連記事を図書館で読んでみたのですが、
私も「本当に五感がテーマだろうか?」に賛成です。
五感を暗示させるなら、もっとハッキリと打ち出すだろうと
感じるのです。
また、これは新国立美術館の素晴らしい展示で理解が出来たのですが、
同じ意匠を繰り返しつかうこと、特に、うさぎがわかりやすいのですが、
6枚のタピスリの出来栄え、完成度にムラがあります。
同じデザインなのに、あまりにも、ニュアンスが変わってしまうのです。
そんな深い秘密を隠すなら、当代1の織物師を確保して、全編仕上げさせる
気もしなくはないのですが。
私が冨と名誉とありあまるお金と、そして、一族の秘密をかかえ、それを
織物にしたいと考える貴族なら、そのあたり、きちんと注文をつけます。
同じうさぎが、あれだけ違う顔になるのは、「おいおい、ちゃんとやってくれよ」の
世界ではないかと。獅子はなんだか寸詰まりだったり、一角獣がいきなり
太ったりもしていますから。で、全体に、少女趣味です。
結婚の祝いに用意された説がありますが、むしろ、子供部屋などにふさわしい
デザインじゃないかと思うのです。動物がいっぱい、乙女の純潔を象徴する
一角獣が家紋の入った旗を守って……。

簡単にいえば、「美しい」と思えなかったということかもしれません。
いや、キレイですよ。彩りも鮮やかで、魅力的です。
500年前の織物を今、日本で見られる幸せは感じます。
そこに壮大なロマンも読み取ります。
が、単純に、好みではないってことですよね。
動物たちがすごくかわいくて、グッズ売り場にあったノートは、今、
愛用しています。気に入っているのに、美しくないとは、
これいかに?

で、話がここでやっと源氏絵に戻ってきますが、源氏絵もまた、
少女趣味ですよね。女性好みといいますか。
もしかしたら、私は、もうちょっと力強く、荒々しいものが
好きなのかもしれません。
だから、留守模様、響きました。素敵でした。

源氏絵を見て、「ああ、あの場面ね!」と思えるくらい、
もう少し基礎知識をつけないといけないと感じました。
わからないまま、近々サントリー美術館にも行こうと思っています。

 

夏目漱石の美術世界展&河鍋暁斎の能・狂言画展

 

東京藝大の主さま

 

東京藝大美術館の出口におあします主さま。

圧倒されます。かっこいいです。

というわけで、きょうは、二本、美術展をハシゴしてきました。

■夏目漱石の美術世界展

こちらは、学芸員&岩波書店渾身の企画です!
私、別に夏目漱石のファンじゃないんですよ。
しかし、あきれるくらい優秀ですよ。彼は。
お札になっている人を捕まえて、何を言う?ですが。
本当に、すごい!

だって、私、きょう見た絵について、彼みたいに語れないですよ。
わずか二年の留学で、どれほどの濃さで海外の文化を吸収してきたのでしょう?

そりゃ、公費を使って勉強させる価値がありますよ。
しかし、美術評論は、どうかと思う内容です。
基本が好き、嫌いですから(笑)。

当代一の文化人に酷評された当時の画家さんたち、困ったでしょうねえ。
最初は、「ひどくない?」でしたが、だんだん、ツボってきまして。
最後には、「えー、もう漱石の美術評論ないの??」と禁断症状が出る始末!!!
だって、牛の模様、ぶちが気に入らないとか、そういうレベルなんですよ。
知らないでしょ? 夏目漱石がぶち好きかどうかなんて!
また、言い回しがかわいいんですよ。
「いけません」ときます。「いけません」って言われてもねえ?
なんか楽しくないですか? おかあさんみたいで。

相当、面白いですよ。この美術展。
夢十夜のネタバレもあったりして。

あらあら、これは、絵画からもらってきたのねとか。
でも、それでも、とにかく、すごいですよ。よくもまあ、ここまで
そろえたものです。関係各位の熱意、ご苦労が伝わってまいります。

イヤホンガイドは聞かなかったのですが、それでも、通常のキャプションに、
漱石の文章の抜粋がついてくるため、異常に時間がかかります。
普通の美術展みたいに、さらっと見ることもできますが、やはり、文章を
読み、しみじみ眺めるのが、ぜいたくの極みかと。
だって、きっと、発表当時の人は、何もわからないはずですよ。
「ターナーってなんだろう?」
で、今の私たちは、「ターナー? ああ、アレね」ってわかりますが、
でも、出てくるのは、「夏目漱石が見た『水の上を走る汽車のターナー』」なんです。
もうピンポイントなんですよ。
どれほど、大変だったでしょう? すごいなあ。

■河鍋暁斎の能・狂言画展

こちらは、下絵がすごいですよ。

惜しみなく、見せています。いや、美術館の企画で。
特に、『道成寺』の鐘の中の絵は、「おっ!」と目を引きました。
おそらく、普通なら外に出せない部分だと思うのですが。

きょうは、年間パスポートを作ったので、これは、また再訪いたします。

美術展ハシゴの後は、笙のお稽古でした。
きょうは、『伊勢の海』を習いました。うたえませんが。
奏でられもしません。ただ、習いました(笑)。

まあ、とにかく、夏目漱石の美術世界展、本当にオススメです。七夕までです。