山種美術館

週明け、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
最近は、日中の温度差が激しいですよね。
昨日は昼間は汗ばむ陽気でしたが、夜になり寒くて震えました。

で、そんな暑さの中、移転後の山種美術館に初めていきました。

とにかく、おしゃれです。
しかし!!! なんですか、あのわかりにくさは!

自動ドアをくぐって、すぐに受付があり、もぎりがあり、
展示室に行くための階段があります。
ここまでは、流れるようにスムーズ。

しかし、下に降りてから「あれ、ロッカーは?」となります。
また、階段を上がって、「あの、ロッカーは?」と聞いたら、
「右手にございます」で、もぎりのところを出て、
映像見せているスペースを超えて、どんどん行って右に
曲がったら、そこは、トイレでした。え?

戻ってみたら、映像スペースの手前のうす暗がりが
ロッカーでした。
で、鞄の中からお財布とiphoneを出そうとしたら、
iphoneがまぎれて、見つかりません。
暗くて、わかんないわけ。

仕方ないから、映像スペースまで戻って、人のスキマを
縫って荷物を置いて、中を確認して、やっと発見。
やっと、ロッカーに入れて、半券見せて、また、
展示室に行きました。

すると……。

まったく覚えられない「順路」がありました。
1番からまっすぐに進み、あるところまできたら、
Uターンして、また進んで、くるっと戻ってみたいな
変な図が貼られていました。

じっと眺めましたが、どう頑張っても、覚えられそうにありません。
見切り発車で動きました。

壁がつながっているところまでしかわかりません。
あとは、ちょこっと書いてある矢印に気づいたら、そこで
進路を変える感じ?

どこの誰ですか、こんなバカな仕掛けを押し付けるのは?
だって、良識がありそうな年配の男性が悪気なく、
逆流したり、お育ちのよさそうな奥様が「えっと、次は?」って
してましたよ? 私だけじゃないんですよ。

なぜ、こんなに人の生理を無視した造りなのでしょう?
所蔵作品から察するに、主なターゲットは年配の方でしょう?
なのに、なぜ、こんなバカげた仕掛けなのですか?

美術館は、美意識のかたまりみたいなものですから、
野暮を排したい気持ちはよくわかります。
でも、人の生理を無視した造りにしてまでやることでしょうか?
金沢の21世紀美術館は極限までこだわっていますが、
順路は自然にわかりますよ。わかるように作っていますよ。

リピーターなら、「それが山種流」「山種は、こう見るのよ」で、
かえってハクがつくというか、暗黙の了解で、特権気分で
いいのかもしれませんが、一見の人間に不親切な造りは、
本当にどうかと思います。

案の定、帰りも、もう配置を忘れて、
ロッカーから荷物を出そうと、トイレに直進しちゃいました。
感覚的に、位置が逆なんですよ。
で、ロッカースペース、必要以上に照明をしぼりすぎ。
そのくせ、ロッカーを開けると、全面に
「お忘れ物がないように!」みたいな注意書きがあるのです。
私、あちこち行っていますが、こんなバカな注意書きがある
コインロッカー見たことないです。
たいていは、自然に、中が見渡せますから。
ロッカースペースの照明を絞っているから、中が見えにくいわけ。

ロッカー閉めれば、文字は見えないから、見えないところは、
ガンガン書くみたいないやらしさを感じました。
本当は、荷物を整理する台が欲しいところですよ。
気の利いた美術館には、おいてあります。
で、ロッカー近くに台がある美術館で、戸惑うことはまずありません。
というか、こんなに頭を使わせる美術館は初めてかも?

でも、もう設計段階で「気取り」を取ったわけですから、
持病もちみたいなものですよね。
ロッカーも、照明を明るくしたら、目立ってしまって
ムードが壊れます。スペースがないから、整理台なんて無理でしょう。
トイレの位置も変えられません。
絶対に覚えられない順路も、きっと毎回似たような感じなのでしょう。
お客さんが慣れるしかないんですよね。

でもねえ。
絵を見に来ているのに、順路を気にしないといけないなんて、本当に
バカな話ですよ。
集中力が途切れちゃうでしょ?
えっと、次はどこ?みたいに。
気にしなくていいなら、適当に見ますけれど、そうすると、
うっかり逆流する迷惑な人になっちゃうわけです。
客層もよく、ありがちなガラスケースの鑑賞者の映り込みもなく、
展示室の照明も絞られ、絵が浮き立つように見えて、
非常に心地よいのです。
それだけに、「えっと、次は?」が、どうもそぐいません。

なぜ、あの造りにしたのですか、山種美術館さん!!!

何を見たかよりも、なぜこの造りなの?が残った訪問となりました。

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