新国立バレエ団『不思議の国のアリス』

新国立劇場、本日スタートの新国立バレエ団『不思議の国のアリス』を見ました。

これ、多幸感、ハンパないですよ!

チケット買いすぎて、節約気分になり、ついD席にしましたが、大後悔しました。ケチってはいけなかった!

見られれば、いいや〜じゃなかった!

ちゃんと見たかったあ! 4倍払うべきでした。ばかばか、私のばか!

まー、前も、ペンギンカフェにドハマりしましたからな。ピーターラビットも、見るべきなんですよ。中身が子供なんですよ。

が、いいですよ。かわいいです。キュートです。チャーミングです!

アリスの国に、敬意を払って!

再演したら、観るとよいです。

アリス好きなら、ニヤニヤ、ぷぷぷ、ですよ。

幸せになれます。

また、トランプの数字とか、よく考えられてますよ。うまいなー! 感心、感動、プロの仕事、真心、遊び心。

しゃべる花に、フラミンゴクロケット、イカれたハートのクイーンに、気だるいいも虫。チェシャ猫の笑顔だけが残るのも、再現されます。天才か?

幸福になれます。幸せです。

 

感動の法則 スペイン国立バレエ団Aプロ

昨日は、スペイン国立バレエ団、ルーベンス展を見ました。

まず、心に残っているほうからお話しますと、スペイン国立バレエ団なのですが、
感動は、非常にデリケートなものだと思いました。

Aプログラムの構成は、一幕が30分、二幕60分。
一幕は、3部構成で古典寄り、二幕は通しの「アレント」。

アレント、二回目じゃないかなーって思うのですが、前回は、「あ、もう私が好きなスペイン国立バレエ団はないんだ!」って打ちのめされたので、あまり記憶に残っていなくて、昨日も後半、椅子が出てきて、「ああ、コレ、見たよねえ」とやっとつながりました。

アントニオ・ナハーロ氏が再生したスペイン国立バレエ団は、ちょいと洗練され過ぎれているのだと思います。だから、拍手は鳴りやまないけれど、スタンディングにはつながらない。感動に届かないわけではないのですが、見ているうちに、なんだか終息に向かうのです。シューッとしぼんでしまいます。

ひとつは、「ダンサーが椅子を手で動かしながら踊るの、かっこ悪いなあ」と思ってしまうことでしょう。前回も、「あの椅子、なんとかならないのかね?」と思った記憶があり、それで「ああ、コレ、二回目か」と気づいたのですが。本当に、「ボレロ」が「ボレロ」じゃなくなったショックは大きすぎて、あんまり覚えていないという! どんだけ、ショックだったか! で、ナハーロ氏の講演も聞きに行ったんでした。気持ちの整理をつけるために。

数年のうちに来日してくれるスペイン国立バレエ団のボレロは、私にとって定点内省演目だったんですよね。じわじわと高まる旋律の中で、「今の自分、この前、このボレロを見た時からのこと」を振り返る大事な作品でした。好きなカンパニーなんですよ。

芸術監督がナハーロ氏に代わって、演目の入れ替えが起こって、私の足場が崩れてしまいました。今どきの振り付け、ああ、きっとスペインのナイトシーンはこっちよりなんだろうなあと思わせる空気、センスの良さ、彼は天才なのでしょう。ただ、これまでの演目をスパッと切って、「新生」としても、根幹みたいなのがどうも揺らいで見えて仕方がないのです。

変な言い方なんだけど、古典的なベルばらをやらない宝塚みたいな感じ?
ベルばらなんて、もうお腹いっぱいだし、私はもう一生分観た気もしますが、「もう昔の演出では、やらないんだって」って言われたら、相当驚きます。古臭く、「少しも早く」な世界だけど、アレはアレでいいわけで。今風のベルばらになって、大変スタイリッシュになりました的な展開かなー? お約束の「フランス万歳」、「女王なのです」が崩される感じ?

このハズし、新解釈が、ツボに入れば、「わーお!」ですが、どうも「うん、おしゃれだねえ。でも、スペイン国立バレエ団じゃなくていいよねえ」みたいな思いが残るんですよね。

昨日、「おお、さすが大ベテランの矜持!」は、フランシスコ・ベラスコ氏で、彼の中には、古き良きスピリットが健在で、本当に素晴らしかったです。
二幕も、わりとテンションはキープされていくのですが、途中、飽きが来るというか、感情の高まりが平坦に落ちていきます。

「もう一回見たい! 追加で買っちゃう?」が、「うーん、《サラサードのサパテアード》は席が下がっても見たいし、素晴らしいだろうけれど、メインの《アレント》は、まあ、もういいかなあ」と妙に冷静になってしまって。歌舞伎のように一幕見があったら、公演中、毎日通ってしまいそう。立ち見でもいい。

Bプロももちろん見ますが、さーて、どうなるでしょう?
前回の来日公演でショック過ぎて、意識が飛んでしまったイケメン半裸のお兄ちゃんの《ボレロ》をちゃんと見ようが、今回のテーマですが。

で、東京文化会館は素晴らしいですね。見やすい!
今回、どんな天の配剤か、最前列だったんですね。「足元見切れないかな?」とオーチャードホールのトラウマでドキドキしていましたが、視界は最高でした。結構、見ながら、ウルウルしていました。ああ、私、ここ数年で一番幸せかもしれない……、ただ、見ているうちに、ウルウルが引っ込むわけですが。

うまくいえないんだけど、「待ってました」、「たっぷり」みたいなのがないんだよなあ。「待ってました」も、「たっぷり」も、昭和の伝統、スピリットなのかもですが、スタイリッシュ過ぎて、おいてけぼりにされる感じ?

ただね、私にもわかりますよ。
《アレント》と《メディア》、《ボレロ》の世界観は合わないと。
壊さないと、次へ行けない。

芸術監督、コロコロコロコロ変わっていますから、これだけ長く、この重責を背負うのはすごいことなのでしょう。若き天才は、ハラを括っているわけです。

だから、私も、古き良きものを残して、10年後、20年後でいいから見せて欲しいという思いは持ちつつ、でも、もうやらなくてもいいよとも思うんです。

でも、代わりに、ガツンとくるのをくれよ!と思います。
待つから、日本に来てくれたら、必ず、行くから。

足らないんのは、カタルシス。ボレロの反復を捨てたんだから、代わりに持ってこい、「ああ、時代は変わっていくのだ」と納得させるだけのものを見せてくれ。

愛しているんですよ。スペイン国立バレエ団を。
感謝しているんですよ。ずっと私の戻る場所だったから。
郡舞なのに、それぞれのタイミングで踊る自由さ、それでいて、音は揃う、ビッと締まる小気味の良さ、カタルシス。

Bプロは、どうでしょうか? 私も、ハラを括って見に行きます。

 

 

 

 

Bunkamuraの一日

ザ・ミュージアムからスタート。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」展に行きました。
レオ・レオニと聞いてもピンとこないかもしれませんが、
『スイミー』や『あおくんときいろちゃん』ときくと、
ああ、あれ!と浮かぶかもしれません。

文句なしに、かわいいです。
絵本と原画を一緒に見られるのも、心にくい演出です。
小さなお子様も「スイミー!」とか言いながら、
大変楽しそう。大きな大人も、子供に戻って、絵本を
広げています。

物販コーナーが、危険でした。
買っちゃいますよ〜! まずいですよー。
私は、カメレオンのファイルとカード、
そして、2014年のスケジュール帳をレジに持っていきました。
ゼンマイねずみのマスコットは、なんとか思いとどまりました。
あぶない、あぶない。

14時からは、オーチャードホールへ。
マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』を昼夜見るのです。
Wキャストで、昼がUKバージョン、夜はJPバージョンです。

マチネでは、なんだかよくわからなくて。
対して、ソワレは、わかりやすかったです。
これ、日本バージョンの主役、大貫勇輔さんの力が大きいです。
非常に繊細で、魅力的でした。これ、間違いなく、ハマり役ですよね。

見比べるために、わざと昼夜同じ席をとりました。予約の際、
「本当によろしいのですか?」と係の方に念を押されましたが、
これは大正解でした!
夜は、なんと、マシュー・ボーン氏やUKバージョンの主役コンビの並びでしたっ。
マシュー・ボーン氏に出すくらいですから、劇場が考えるベスト列ってことですよね。
オーチャードは、客席の床がフラットなんですよ。
前列だと、足が見切れます。ハンパな席は、前のお客様の頭で視界が潰れます。
後ろじゃ、表情がわかりません。

かなり研究して、泣きを見まくり、いろいろ試して、やっと正解が出ました!
ちなみに、11列です。11列から13列センターがベスト。おすすめです。
視力がいい方なら、さらに下がってもよいとおもいます。また、通路後ろの20列は、
当然見やすいんですが、あちらは、内部席のことが多い気がしますね。
サイドの通路側も悪くないですが、ちょっと角度がつきすぎちゃうんですよね。
実は、前方席でも一ヶ所、見やすい席が隠れています。穴場があります。
が、こちらはご自身で探してくださいね! ちなみに、オーチャードホール、
最前列は、案外ダメなんです。ステージが高いんですよね。

一体、ここまでにいくら払ったのでしょう???
見えなくて、休憩時間に後ろの席に変えてもらったこともありますよ。
オーチャード、いいホールなんですが、もう少し、客席に傾斜があればいいのにと
よく思います。

さて、肝心のステージは、スタイリッシュで、セクシーです。
日本バージョンを見たUKキャストの変化が気になります。

カメラマン役はね、こんなイメージでした。
UKバージョンは、「芸術」を撮るカメラマン。
JPバージョンは、「週刊誌のグラビア」を撮るカメラマン。
存在感や背負う物語が違って見えました。

アンサンブルが日本人なので、やはり日本バージョンのほうが
まとまりがあります。
大貫さんとUKカメラマンの絡みは見たい気もしますが、
ないものねだりはやめましょう。
もし、もう一度見るなら、UKバージョンです。なぜ、あんなに
わかりにくいのか、理由がわからないから、かえって気になります。
また、主役ふたりの空気感は、UKが私好みなのです。なんというか、
ちゃんと愛とか、特別な絆があるように見えますから。あ、役の上ですよ。
客席では、普通の距離感でした。

昼夜共、ドッペルゲンガー役の方々は、目をひきました。
日本バージョンのシンクロぶりは、かなり詰めたんじゃないでしょうか?
アンサンブル、ショートカットの女性も華やかですね。
男性に混じっているのに、目をひきます。
でも、パンフレットは買わなかったので、お名前はわからなくて。

マシュー・ボーン作品なら、『PWW』をまた、見たいんですが。
やりませんかね? やりませんよね。
今回の『ドリアン・グレイ』は、系統としては『PWW』なのですが、
どうやら狙って『スワンレイク』風味にしているフシもあり、
マチネの感想は、「すごいけど、飽きる」でした。
だから、「別にソワレは見なくてもいいかも」と思っていたのですが、
でも、続けて、別バージョンを見てよかったです。

これ、メインキャストもアンサンブルも、そうとうキツイですよね。
でも、きっと、回数を踏むほど、よくなる気がします。
で、大貫さん、いいですねえ! うらんさん、平山さんとダンス公演を
見ていますが、今回が一番、合っているし、気合が伝わってきます。
スターだなあと思いました。

20年経つと。

きょうも、スペイン国立バレエ団を見てきました。
プログラムは、先日とは、変わります。
◎ホタ〜スペインのオペラ『ラ・ドローレス』より
◎ファルーカ〜フラメンコ断章
◎ボレロ
◎メデア

今回、しみじみ思ったのは、20年経つと、人は入れ替わるのだということです。

ボレロが、若かったんですよ。
センターの男性ダンサーさんが、非常に端整でした。
プログラムを見てみたら、1990年生まれ。え? 23歳?
うわあ、本当に若い!

セルヒオ・ベルナル。
プロフィールがすごい。
さらに、明日はメデアのスピリットに入るのですね。ふむ、かなり踊れる方なんですね。

全体にすっきりした印象なんですよ。
オスカル・ヒメネスとかとは違って、最近の若者なんですね。ただずまいが。

で、すっきりした人がセンターだと、何が起こるかというと、ボレロの印象も、変わるんです。
これは、びっくりしました。スペイン国立バレエ団のボレロは、ダンサーの個性に左右される演目ではないと感じていたので。

明日、フランシスコ・ベラスコなので、そこに私が無意識に求めていたボレロがありそうな気がします。

しかし、スペイン国立バレエ団、よかったですね。
一時は、どうなるのかと、心配していました。
ボレロを見ていても、伝わってくるものが違います。一時期は、なんだか飽き飽きした空気があったりして。
宝塚でいうところのベルばらみたいなもので、踊り手としては、マンネリもあるのかなあ?と思っていました。

きょうは、「ボレロを踊るプライド、喜び、自負心」みたいなのが伝わってきて、なんだかよかったです。気構えは、やはり伝わりますよね。

ただ、「あ、真ん中、若いなあ。そうか、世代交代なんかもあるよねえ」とか思っていたら、すっかり冷静になってしまい、感動しそこねました。
あの若さには、「セビリア組曲」みたいな新しさが似合うかもしれません。
あるいは、数年後、また、彼で見てみたいです。

「メデア」は、マリベル・ガジュルド。
名前に覚えがあります。
たぶん、なんか見てます。でも、本当に素敵だと感じたのは、きょうが初めてかもしれません。
本当に、美しいメデアでした。完璧でした。

幕前のシーン、あんなに長かったでしたっけ?
鈴だけだった気もするのですが、スペイン国立バレエ団を見ている友達はいないので、誰にも確かめられません。

メデアは、色っぽく、力強く、魔女全開。
イアソンのフランシスコ・ベラスコ、クレオンのクリージョ、手堅く、かっこいいのです。

ファルーカも、センターが変わると、たぶん印象がガラリと変わるでしょう。

たぶん、すべて一期一会で。
今がずっと続くように思えても、実は、そうではなくて。
過去は、未来に上書きされ、世代は移り変わり、そういう一面が人生にはあり……。

20歳のころに、20年後の話をされても、ピンとこないと思いますが、40歳になると、20年後は、比較的リアルに感じられるようになりますよね。

今は、永遠には続かない。
だから、今を大事にする。
あるいは、今に絶望しない。

なんか、そんなことを考えながら、見ていました。
しかし、若き鬼才アントニオ・ナハーロは、バランスがいいです。
本当に、「参りました」という感じです。よく空中分解しそうだったカンパニーを立て直し、また、日本に来てくださいました。パチパチパチ!

そういえば、今回は男性ダンサーさんたちの頭ビシャの演出がない気がします。
あれ、廃れたのですか?
男性がくるくる回る度に、汗みたいに水飛ばすやつ。

ああ、わからないことがいっぱいです。でも、楽しいから、いいのです。

20年後も、見たいですね。
で、ボレロを見ながら、過去に思いを馳せたいです。

スペイン国立バレエ団を見てきました

6年ぶりの来日、スペイン国立バレエ団を見てきました。
正直、Aプロの『セリビア組曲』は、どうかなーって思っていて。
『フラメンコ組曲』がわりと退屈な演目で、毎回少しダレるのです。だから、今回は、こちらは一枚だけ。一応、見るか〜みたいなノリでした。
が、鬼才と噂の芸術監督のアントニオ・ナハーロは、本当に才能溢れる人で、伝統民族ダンスがちがちだった作品を、ショーにしちゃいました! いや、いままでも、ショーだったんですけどね。

こんなコンテンポラリーなスペイン国立バレエ団、見たことないです。
振付は、細かく、「え、いま、何をやったの?」みたいなのが、そこかしこに!

忘れがたいのは、闘牛のシーンです。幕切れが、カッコよすぎですよ、なんだかもう、嫉妬しちゃいます!

華やかな群舞終わりで、明るい仕立てなのに、カーテンコールで、涙が出てきました。
私は、ずっと待っていたんです。
スペイン国立バレエ団を。

わりと長く見ているんですよね。新宿文化センター時代からですから。芸術監督がコロコロ変わり、ハラハラしたのも、覚えています。

Bプロの『ボレロ』と『メデア』は、絶対外さない名作です。
これをアントニオ・ナハーロさんは、どう料理なさるでしょう?

『セリビア組曲』で涙ぐむなんて、『ボレロ』は、号泣かもしれません。怖いけれど、本当に楽しみです。
スペイン国立バレエ団、おすすめします。