ニキ・ド・サンファル展へ

知人の美術観賞記録を流し読みして、「見たいな」と思った美術展です。

伊勢丹からの帰り道で、行って来ました。

ニキ・ド・サンファル展

まず、「なんでこれ、見たいと思ったんだっけ?」でした。女性版ポロックというか、「うわあ。女性性の全否定キタ!」でした。わかるけど、つらくなってくる世界観。

丸みのある女性の体の中から、外から蜘蛛やワニや蛇が溢れ出します。

わかるけどさ、つらいなあ。

大聖堂(作品ナンバー014)の上のほうに、三猿がいたのが気になりました。三猿って、世界的なモチーフ? それとも、日光ライン?

で、これが身近な人の妊娠と愛、そして、友情により融合していきます。最終的な落としどころが魔術で「そこかい?」はあるんですが、手相やタロットの世界は、仕事柄大変楽しく見ました(「吊られた男」とか、「星」なんかは、まんまですが)。

絵手紙は、「これもらっても、読み解けないかも」がありましたが、やはり絵つきの手紙はかわいいですね。私も描きたくなりました(意味不明になりそうですが)。

ブッタがひとつ目だったり、最後まで蛇のイメージは連動していたり、歪みが昇華されないまま、終わりますが、非常に後味のよい美術展でした。

前半、男根の代用品のようだったドラゴンが、最後には玩具のようになり、なんだか、「ニキ、よかったね!」と思いました。

ニキ・ド・サンファル展

新国立美術館12/14まで。

反芻中。

昨日、買った本。

『中世パリの装飾写本』 前田久美子著 工作舎 3800円
『中世の時と暦』 津山拓也訳 八坂書店 2800円
『天体の図像学』 藤田治彦著 八坂書店 3800円
『天体不思議集』 ジャン・ピエール・フェルデ著 荒俣宏訳 1600円
『ペリー公のいとも豪華なる時禱書(1)、(2)』 ポストカード 各1080円

もうBunkamuraのミュージアムショップの仕入れ担当の人がしてやったりと
ニンマリ笑うのが目に見えるような大人買いです。

きっかけは、『風景画の誕生』の月暦画の流れの時禱書のコーナー。
Bunkamuraザ・ミュージアム プロデューサーの木島俊介さんの映像つき。
コレにやられました。
そして、今、気づきました。9月30日に木下さんの記念講演会
「風景画の誕生のドラマ ─ 月暦画カレンダー の世界を中心に」があったんじゃんじゃん!!!

ががーん!!! お話聞きたかった!!!

まあ、仕方がありません。こういうことはあるのです。
そして、まあ、この手の講演会とか出版記念セミナーは、ほんの入口で、
中身を知るためには勉強しないといけないとわかってきたので、
惜しいですが、よしとしましょう。
ただねえ、Bunkamuraは、案外後からでも間に合いますけれど、チラシで公募で、
会場に行って気づいても、「もう定員です」って結構あるんですよね。
三菱一号館のバーン=ジョーンズ展もチラシを手に入れて満足していたら、講演会満席で行けなくて
悔しかったのを思い出しました。勢い余って、福島まで追いかけたのでした。

はっ! じゃあ、昨日前売りを買ったラファエル前派も講演会があるはずです。
よくきづいた、私! チェック、チェック!
ほっ、まだ出てませんでした。もう行く気まんまんです。でも、年末スタートだから日程がダメかもなあ。
早く出して、Bunkamuraさん!!! 私、うっかりだから、たぶん、忘れちゃうから!

昨日、美術館の中で、まず、ひっかかったのは、「お、山羊座の下半身が貝になっちょるぞ」でした。
ええ、マニアックです。んなとこ、イチイチ見るのは、絵画の研究している人か、占い師だけです。
神話で「下半身が魚になりました」なのですが、「貝」となると、ニュアンスが変ってきます。
貝、動くとき、ひっぱるしかなくねえ?

「えええ? 貝なの?」ではないので、下半身貝バージョンも「知っていた」んですよ。
でも、意識の表層に上ってきませんでした。
ただでさえ、山羊と魚のミックスで、相当ヘンなやつなのに、貝だとマニアックさが増します。
また、かわいそうに、人魚のようなフォルムですから、ヤドカリ式に貝の中に入るのは、
難しそうに見えます。
下半身が貝で、いいことあるのかな?

『ペリー公のいとも豪華なる時禱書』の中の
ランブール兄弟の<ゾディアックと兄弟>には、十二星座と体の対応が載っているのですが、
双子座は、左右の手に分かれます。
おおお!!! なるほど、そうだよね!
さしずめ、右手が神の手で、左手が人間の手でしょうか?
日本なら左が格上ですから、逆になるところですが。
ただ、足は分かれてないのです。雑だな、配置。
あるいは、手ほど重要視されてなかったのでしょうか?

もうね、こういうことが知りたいわけ。知りたいスイッチが入っちゃったんですよ!
あー、美大とか入って、座学しっかりやりたい!!!
数年前に「意匠で読み解く絵画の楽しみ」みたいなのが流行りましたが、
それの占星術版をやりたい!!! 知りたい! 学びたい!

イメージの源流をたどっていくのです。
この季節はサクランボの収穫だよとか、もうかわいくてかわいくて。

この前も「黄金伝説展」で、牡羊座のシンボルからスタートしました。
絵の中に猫と星占いを探す旅は、この先のライフワークになりそうです。
そう、猫も探しちゃうんですよね。中島清之展は、アバレが描かれてなければ、
行きませんでしたよ。あはは、まあ、そんなもんだ。

横浜美術館「中島清方展」

本日は、横浜へ。

猫タイミングでうちを出るため、予想より早く横浜についてしまいたした。ショートカットで、「中島清之」展へ。

これが、意外によかったです。

中島清方展

色彩が美しく、視点が優しく、とにかくうまいです。老いて童心に返り、好きなものを好きなように描いているのがわかります。

早世した我が子の姿、大佛次郎さんちの「アバレ」という名のシャム猫、長毛にゃんこの「小トン」、春日のお宮に雪ん子、笙も出て来てどきまきしました。
「アバレ」には、笑いました。どんなにゃんこなのか、伝わります。

また、常設がいいんですよ。
鏑木清方の《遊女》に、エロスはフォルムにあり!と春画展のイライラが消えました。春画、つまんないんですよ、みんな似た構図で!

あ、牛歩鑑賞が大嫌いなせいもあります。空いてれば、また印象は違うでしょう。
マーキュリーの像に軽く恋をしました。かっこいい、若いっていいなあ。

友人の構成・演出の子供コンサートは、私にはよくわからんのです。お客様が求めているのは、教育テレビがやっているような「参加型の客席でも口ずさめるコンサート」じゃないのかな?と思いますが、作り手さんたちは、「本物を!」みたいな姿勢なんですって。

しかし、耳馴染みがいい曲が受け手いるように見えるのに、むしろ荘厳なパイプオルガン押しの構成です。パイプオルガンが高まると、デカいみなとみらいホールの客席のあちこちで、赤子の泣き叫ぶ声もクライマックスを迎えます。そこかしこで、ギャン泣きです。あまりのシュールさに、笑っちゃいました。赤ちゃんかわいそう。泣いているの、一人や二人じゃないですから! すごいから!

毎回、「なんで?」と思いますが、満員御礼だし、いいんでしょうね。パイプオルガンとオペラ歌手ありきの企画だし。それに、赤ちゃんは泣くと、よく寝るのかもだし(よく知らない)。しかし、パイプオルガンに怯える赤ちゃんたちがかわいそうです。神に捧げる激しさ、怖いよね。

手回しオルガンは、最高にかわいく、萌えました。と、収穫もあります♪

横浜

友人に会えたし、ま、よしよしでございます。

春画展

春画展

春画展を見に行ってきました。

んー、もともと日本画アンテナありませんし、混んでいて牛歩だし、「うん、もういいや」でした。

着物や背景はキレイですが、一物に秘所の氾濫にうんざりしました。これが日本間に招かれ、怪しげな家主に行灯のあかりの下、披露されたらまた違うんでしょうが、なんかもう飽きてしまいまして。背後から抱きすくめ、弄るか挿れるしかないのかい?みたいな。

後半、キツネが出て来て、「やっとバリエーションが広がったなあ」くらいのものです。感性低くてすみません。

午後は打ち合わせに、お茶でした。

12月19日(土)に、イベントをやります。詳細はまもなく告知いたします。よろしくお願いいたします。

なお、木曜会は、年内は12月17日で終了。新年は、1月14日スタート予定です。イブや大晦日、松飾りの間は、お休みです。こちらもよろしくお願いいたします。

黄金伝説展とスペイン国立バレエ団Aプロ

ただいま、私はショックを受けています。なぜって!楽しみにしていたスペイン国立バレエ団の『ボレロ』、一新されていたからです。

うん、前から薄々感じていました。スペイン国立バレエ団の中でも、もはや定番過ぎてダンサーさんたちは飽き飽きじゃないかと。宝塚でいうベルばらみたいに、「あー、はいはい」作品ではないかと!

しかし、だから、イイんですよ。マンネリ上等!

アントニオ・ナハーロ氏は才気溢れる人だと、前回確信し、トークショーにも紛れ込みました。才能や意欲を感じます。感じますが!

『ボレロ』は! 『ボレロ』だけは、手付かずでいて欲しかったです。なぜって、もう20年楽しみにしているんですよ。『ボレロ』見る度に、自分の立ち位置を確かめているのです。

「いま、幸せ?」「いま、やることは?」「前回は、あんなことで悩んでいたけど今は遠いね」などなど!

ナルシズム満載の半裸イケメンダンサーの挑発では、自己採点が出来ないですよ。煩悩入りますから!

……いや。

よかったですよ。かっこよかったです。

しかし、見たかったのは、「ソレ」じゃないんだあああああ!

まあ、もう仕方ないです。いまさら定番ボレロやられたって、「半裸を出せ! 半裸こそ見たい」になるに決まっています。だって、かっこいいもん。

しかし、いいんだよ、ベルばらは、ベタベタで!スペイン国立バレエ団のボレロは、サテンくるくるで!

……変われということですよね。もう振り返るなと。

しかし、ショックを隠せません!

ボレロ以外飛びました、いや、もう仕方ありません。

あまりにショックで、フルーツパーラーゴトーに向かいましたが、入店待ちの人がいっぱいで、諦めました。さらに、電車に乗ったら、上りと下り間違えました。もう傷心丸出しです。いや、かっこよかったですよ。よかったです。が!

スペイン国立バレエ団の前に、西洋美術館の常設を見て、なにげなく、ショップをのぞいたら、バーン=ジョーンズの〈黄金の雨〉が出ていることに気づきました。ぬわんだと?

残り40分でしたが、チケットを買い、飛び込みました。

〈黄金の雨〉は、福島で見たことありました。がっつき過ぎです。しかし、冒頭の金色の羊のシリーズは、星占いに関わる者としては、血が騒ぎました。見られて、よかったです。ギュスターヴ・モローの日本初の作品もありました。

「くー! いいじゃないか!」

黄金伝説展、タイトルはベタベタで、まったくそそられませんでしたが(だから常設で余裕かましていました・笑)、添えられた絵画がとにかくよいですよ。モローにクリムト、センスがいい! わくわくしました。メインの金製品はガンガン飛ばし、絵画を丹念に見てきました。バーン=ジョーンズが目に入らなければ、パスしていました。装飾品はいいんですが、基本「キレイ」や「豪華」しか残らないので。あ、アルファベットモチーフの紀元前3世紀ブレスレットには、しびれました。文字には意味がありますよね。

唯一、棺の中の展示は、咄嗟に祈りました。

「あなたの栄光が永遠でありますように」と。ドキッとします、レプリカでも。

金は、富や権力のシンボルであり、呪いであり、祈りであり~。

なかなかショックな一日でしたが、消化したら、すべて糧になりそうな気がします。

 

『月映』展

ずいぶん前から駅貼りのポスターが気になっていました。

月映

1914年、たった1年だけ作られていた雑誌「月映」。

田中恭吉、藤森静雄、恩地孝四郎たちの手で世の中に送り出された「月映」。
やがて、萩原朔太郎の『月に吠える』につながる世界です。

ずっと気になっていて、昨日、打ち合わせと木曜会の間のスキマ時間が出来たので行ってきました。

ある時代のある気分。
妹さんの死。追悼。喪失からの再生。
かけがえのない仲間の死。

当時20代前半という若さの勢い、鋭さ、気負い、奢り、脆さ、すべてが時代の気分を伝えてきます。

収納スペースの関係上、よっぽどじゃないと図録は買わないのですが、これは、手元に置いておこうと思い、
買いました。

今から100年前、遠くて、近く、近いけれど、遠い時代。
模倣あり、そこからの脱却があり、模索があり、なんだかもう居たたまれないほど苦しくなるのです。

でも、私は何とも戦っていない、向き合っていない。そんな気分にさせれます。11月3日まで。
東京ステーションギャラリー。900円。

プラド美術館展

猫が来てから、なかなか家をあけられせん。

でも、これは見ておかねば!で、プラド美術館展へ。久し振りの三菱一号美術館です。

美術館の空気に、非常に合っています。

幸せな気持ちになりました!

『アール・ヌーヴォーのガラス』展へ

マリィ・プリマヴェラ先生からご招待券をいただいたので、
パナソニック汐留ミュージアムへ行ってきました。

アール・ヌーヴォーのガラス展

開催されているのは、「アール・ヌーヴォーのガラス展」。

アール・ヌーヴォー、本当に曲線が美しくて素敵なのですが、
なぜに虫に行きますかね?
自然回帰がそうさせたのでしょうが、かなり微妙だなといつも思っております。

美術展の一角に、椅子とライトが置かれていて、今はなき
ルイス・C・ティファニー美術館を思い出して切なくなりました。

エジプト風の蓮の水盤、きのこのライトが好みでした。
あとは、「んー、お金持ちですね」みたいな印象で終了しました。

ただ、ネイルはヤバイですね。
これを先に見ていたら、絶対、スモーキーな微妙なグラデーションに
しちゃったと思います。青と茶のミックスみたいな。
そんなアートなネイル、どうなのよ?

そうそう、蓮のつぼみモチーフも、かわいかったなー。
ピンクのつぼみに、くっきりグリーンの葉がついていて、
長丸なシルエットだったのです。寸足らずなチューリップみたいな?
アレ、7月のネイルでもいいかも。
蓮の花が咲いている意匠と蕾の意匠。

なに、ネイルについて考えているのでしょう?

新橋に戻る途中、香川・愛媛のせとうち物産館がありまして、
「そうだ、おいりを買おう」と立ち寄りました。
気づいたら、2000円くらい使ってました。恐るべし、せとうち物産館。

おいりは、かなりカワイイです。
金平糖カラーといいますか、雛祭りっぽいといいますか。
最初に知ったのは、練馬区立美術館の帰り、商店街のノンアレルギーのケーキ屋さんだったと思います。
さりげなく置いてあったのですが、目を引いて。

おいり

ふわっと溶けるのがカワイイですよね!

 

藝大美術館&三菱一号美術館

きょうは、いいかげんネイルの付替えをしないとダメだったので、
予約を取って行ってきました。その前後に美術館を2本、
歯医者で消毒、京橋でカレーも食べました。

ネイリストさんに「行動的過ぎます!」と言われましたが、そんなことはありません。
もろもろ先延ばしにしていて、いよいよ時間切れなので、焦って突っ込んだだけです。

「うらめしや~ 冥土のみやげ」の後期。
前期同様、あっさり仕様。
《焔》を目当てに行きましたが、さほど響かず、まあ、こんなこともありますよね。

主さま

幽霊画を見ながら、「ドーサを食べたい!」という耐えがたき欲求が
湧きおこりまして、上野から新宿に行くつもりだったのに、なぜか京橋に寄りました。

ダバインディア

ダバインディア、もしかしたら、外食で一番好きなお店かもしれません。
ただ、孤独のグルメよろしく、このお店は一人でいいんですよ。
モグモグ食べて、チャイ飲んで帰る……で満たされます。

ネイルは、あーだこーだ言ったあげく、あっさりフレンチになりました。
前回は一色塗り、きょうはフレンチ、ヤル気があるんだか、ないんだか。
いや、大人っぽいのに惹かれている……としましょうか。

「画鬼・暁斎-KYOSAI 幕末明治スター絵師と弟子コンドル」の後期、
前期ほど混んでいなくて、まずまずの見やすさでした。
で、春画の変な仕切りがなくなって、シンプルになっていたのは好感が持てました。
前期のとき、ムダに人が渋滞して、パスしたのを思い出しました。

しかし、暁斎という人は、生涯で何枚絵を描いたのでしょうね。下絵、習作も含めて、
どれほどの量になるのか!
とにかく、仕事が早い人ですよね。

遠回りして、グルに会いに行ったのですが、猫の気配なしでした。

夕暮れ
日の入り、ハッキリと早くなりましたね。季節の移ろいを感じました。

ちゃおサマフェスと蔡國強展

蔡國強

8月15、16日とパシフィコ横浜で、ちゃおサマフェスが開催されています。

15日にうかがいましたが、ひとつやらかしまして⤵、16日もう一度うかがいました。

そうしたら、思いがけず、くまがい杏子先生にご挨拶いただき、大感激しました!⤴⤴⤴

くまがい先生、今年はまんま『片翼のラビリンス』の都ちゃんです! びっくり! かわいい!イメージ、がらっと変わります! すごい!

ミッションクリア⤴で、お暇しまして、横浜美術館の『蔡國強展』をのぞきました。ポスターで気になってました。

これ、めっちゃ、よかったんですよ。

現代アート、すごい!

「また、涼しくなったら、見に来よう」と思ってもなかなか再訪は難しいものですから、やらかしてよかったかも!(そうだろうか?)

中国に生まれ、遠くに行きたかったこと。その手段にアートを選んだこと。

1986年に来日し、3000以上のギャラリーがあるのに、思ったような展開にならなかったこと。なにか違う方法でキャリアを積まないといけないと考えたこと。そして、行き着いた世界。

すごい! きょうは、こればっかりデス(笑)。記録映像でしたが、広島の黒い花火、感動しちゃいました。911のための動く虹も素敵です。アートの力、すごい!