映画33『僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46』

欅坂46も、平手友梨奈も知らない。

でも、観に行きました。観ないといけない気がして。

『僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46』

マルジェラの映画を思い出しました。不在が、存在を証明する。

私の占いは、アイドルグループのメンバーが読んだ時に、使える占いだろうか? 彼女たちは、どこで戦っているのか?

圧倒的な主役、あてがきされた作品。穴なんか埋まらない。リアルタイムを知らない私でも、待ってしまう、平手友梨奈を。探してしまう、目が吸い寄せられる。もっと見たい、目で追う。

アーティストが、うっかりアイドル土俵に行ってしまったから、話がややこしくなる。しかし、アイドルだから、あれほどの人とお金を動かせた。たくさんの人が傷つき、妥協と容認をし、損失をはらみながら、収益を上げていく。何人の人がこのビジネスで、食っているのか。何人の人が救われたか。

圧倒的な敗北があり、嫉妬と無力感の磁場の中で、オンリーワンを待つメンバーたち。

納得出来ないから行かないまま、ツアーが始まり、終わったとき、まだ10代のセンターは、どこで何をしていて、何を思ったのだ?

犠牲というフレーズを若者たちに飲み込ませる秋元康という存在。何を掘り起こし、何を呼びさまそうとしているのか?

いる。いた。来て。来ない。始まる。やらなきゃ。やりたくない。やるしかない。きょうはいる。きょうはいない。あの子は特別。あの子はお気に入り。あの子は天才。あの子はスペシャルで、私は? 私たちは?

みんなが待っている。みんなががっかりする。満足させたい。感動して欲しい。感動させたい。私じゃ無理。私にはできない。代わりなんていない。代わりなんていないのに、来ない。来ない。いない。不在のまま、抜ける。抜けて、終わった。

業が深い。故の熱狂。

わずか五年で、メンバーがどれほどの絶望を味わってきたのか。14歳から19歳という時間で、何と向き合い、何を背負ったのか。崩壊の予兆、いや、すでに、崩れていたのかもしれず。が、瓦礫にさえ、値がつく。みんな、一緒にいたいのだ。

私は、この渦中にいる人たちの助けになる文章を書けていたのか?

ああ、ひとつだけ、わかったのだ。

ライセンス契約は、おばけだ。いかにも、そのブランドがやりそうなこと、テイストを生み出す。

マルジェラの映画が一番近い。そんな作品。


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2020年9月7日 | カテゴリー : 日々のこと | 投稿者 : 章月綾乃