赤は少ないほうがいい

昨日、「校正さんが『著者の直しが少ないけど、大丈夫?』と心配していましたよー」と編集さんに言われました。
「『章月さんは、ほとんど直さないですよ。心配しなくて大丈夫』と言っておきましたー」とも言われました。まー!!!

校正さんに心配される著者、章月綾乃です!

本が世の中に出る前に、校正という作業がございます。
著者、担当の編集さん、編集部の方、関係者の方々、そして、最後の砦となる校正さんがいらっしゃって、それぞれがチェックしてくださり、やっと本格的に印刷されます。

修正は、赤いペンで入れるお約束があるため、「赤が少ない」は、「直しが少ない」という意味になります。

で、私はほとんど直さないです。
なぜって、昔、編集の仕事もやっていたからです。ちょこっとだけね。

当時は、写植屋さんに持っていく世界で。
直すのは、非常に大変だったのです。手作業の世界ですから。

段組みを壊さないように、同じ文字数で差し替えたりしましたっけ。
デジタル処理される今でも、そのときの緊張とクセが残っていて、「極力直さない」、「直すときは最小限」、「同じ文字数」、もしくは、「文末は多少の伸び縮みはOK!」としております。

だってさー、直し始めたら、絶対キリがないですよー。
「もっと、いい表現はないかなー?」とかさー。迷い始めたら、真っ赤になるに決まっています。もっとも、章月、そこまでの執念や根性に欠けているので、真っ赤戻しは違う意味で無理って気もしますけれど。

基本は、編集さんに渡す前。そこまでが、著者が自由に直しが出来る段階で、あとは人様に委ねるものだと勝手に思っております。

もうひとつ、直らないクセがございます。
それは、指定文字ピッタリに書くことです。200文字と言われたら、マイナス2文字の誤差で出します。ほとんど、きっかり埋めます。
そらあもう、厳しく指導されたので、やたら、厳格です。
先輩たちも、「そうなのよ。ピチッと書かないと気持ち悪いのよね」っておっしゃいます。
これ、ネット全盛の今の時代、結構珍しい気もいたします。
ネットからブレイクした占い師さんは、「文字数指定なんて、目安でしょー? 私は書きたいだけ、書きますよー」みたいなことをおっしゃいます。
また、編集さんからのオーダーも、「ネットなので、多少、伸び縮みして大丈夫ですから」と言われたりします。

が、私は気持ち悪いんですよぉぉぉ!!!

牡羊座が200ワードで、魚座が250ワードとか。そういうのイヤなんです。
どの星座も平等に、同じように接したいし、愛したいのです。
だから、きっちり癖は、残しておくつもりです。

あ、でも、気ままにブログに書いたやつは、別に何も考えてないか―。
「赤を入れない」、「12星座平等に」は、強い意志で貫かれているということなのですね。
ホホー、偉いじゃないか!!!

紙焼きにトレペを重ねて、アタリを取ったりとか、まあ、古いやり方は知っているのです。
この前、偉い人と「昔はそうでしたねー」って盛り上がって笑っていたら、若い編集さんが目を丸くしていました。直す度に、いちいち薄暗い写植屋さんに足を運んだりする文化、もう遠い記憶のかなたなのですねえ。きっと、これを読んでくださっている大半の方は、私が何を言っているのかわからないと思うのですが、どうぞ、お許しくださいませ。ただ、ただ、懐かしいのです。昭和と平成の変わり目くらいまでに、あった話なのです。

 

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