入院9日目

相槌さんは、仏師の奥様だったそうです。ここにきて、対話スキルの高さの理由がよくわかりました。

エンドレスさんは入院中に、別の病院で入院退院を繰りかえしていた旦那様に先立たれ、壊れてしまうのも無理はないと話し合いました。寛容と忍耐。

相槌さんは、必死になだめていたんですって。荒れ狂うエンドレスさんを。

7日に訃報が届き、11日にご葬儀で、過日の強制退院までの間、エンドレスさんは、必死に落ち込まないように頑張って、頑張って、血も気も頭に回り過ぎて、わけのわからないことになってしまったのでしょう。

「うちの旦那様、死ぬような人じゃないから」

ほんの一週間前までは、そうおっしゃっていたそうです。エンドレスさんが70歳、相槌さんは80歳と、ここで判明いたしました。

夜になり、相槌さんが旦那様の形見、作の懐中仏を見せてくださいました。小さな、小さな観音様。優しいお顔、器は蓮の花、掌に温められた艶。博物館や宝物殿で拝観する世界の品。

木から仏様を取り出す仏師の暮らし、まったく想像もつきません。舅は、宮大工さん。息子さんは、普通のお仕事につかれたそうです。

新入りのおばあちゃまは、関西ニュアンス。女系家族のゴットマザーっぽい。入院自体が初めてに近いのかな? 戸惑い過ぎて、わけのわからないことに!

ゆうべは、夜中に点滴から大流血! わあお! 管あり暮らしは、慣れるまで大変です。ナースコールがなかなかつながらないらしく、部屋の明かりがつけられ、意識高いさんが優しくたしなめ、私がナースステーションに走るの巻に。唐突に「回る回る回る時代は回る」と中島みゆきが流れたりします。ラジオかな? イヤホン外れたのね、きっと。

おかげさまで、私の病室、お掃除の方などに評判上々、「みなさん、いい方で」となりました。入院でつながっても、また、離れていくわけですが。一期一会。

ゆうべ、雷とあいまって、世界の終わりかと思せた新入りさんの地響きのようないびきは、きょうは静かです。やはり治療は効いていて、多少、順応なさっているのでしょう。

私もまた、場末じいさまに何が言われた気がしたので、「あれ、重いのがバタバタして、床揺れちゃいました? ごめんなさいね」とかわいく、かわしておきました。掌握なんて、簡単ですよね。

慢性的な寝不足、適宜、聞き役、励まし役で、帰宅しないと消えない疲れも溜まっていますが、同室さんへの見舞客がなきゃ、仕事がはかどり、それなりに順応しています。アルガンオイルやシートマスクが来ないのが悲しいんだけど、それとは別に自分への退院祝いは、もう手配しましたぞ!

カールのチーズ味、カレー味!

箱で買うしかない世界。割高。しかし、この際、構いません。俺、この戦争が終わったら、カール、食べるんだ!

肌のかゆみは、不定期にきます。ティートリーの拭きあげで、治ります。抗菌作用なのかなあ? 今回は、読みが大あたり。精油、私には、役立ちました。拭きあげ、入院中に処方された塗り薬で、立て直します。

あと、天然塩! 病院食のサポートにも有効ですが、風邪をひきかけた時に、自分で塩うがいが出来て、事なきを得ました。塩とティートリー、アルガンオイルあたりがあれば、ヘルシーに暮らせ、本当は他はいらないのかもしれないなあと思ったりしました。なんか魔女っぽいですね。ティートリー、揮発が気になりますが、ざっくり消毒薬系に匂いだから、換気のよい場所なら紛れてしまいます。ともあれ、慎重に、慎重に!

1日4回のステロイドで、入院後簡単に簡単に4キロ太りました。体がむくんでいます。むくむく。たるたるたるる。で、また、痒くなり、洗面器片手にお湯をもらいに行く繰り返し。お茶用給湯器から、洗面器にお湯を汲み、さくさくティートリータオルを作り、拭きあげです。なんで痒みが治るのかなあ? 消炎作用みたいなものかしら?

アルガンオイルきたら、オイルでコントロール出来ないかも試したいんですが。退院が先かもしれませんね。

惰性で「バレエ・ガールズ」は最終話まできました。打ち切りが見えたあたりからの迷走が激しく、現場の倦怠と混乱、横暴に苦笑しています。生きるって、大変。シャバは、熾烈。でも、私には、カールがあるわ!

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