能楽講座「野宮」

なぜか第一回から皆勤賞の能楽講座。でも、このシリーズにお邪魔しているだけで、他の講座に行っているわけではないので、非常に中途半端です。世阿弥シンポジウムも、聞いとけよ!と自分に説教したい感じです。まあ、欲張っても仕方ないので、それはそれでよしとして。

きょうは、お話をうかがいながら、岩佐又兵衛の「源氏物語 野々宮図」がずっと頭に浮かんでおりました。重要美術品ということもありますが、非常に短期間に二ヵ所で拝見したため、強く印象に残っております。出光美術館とサントリー美術館、そういえば、今年の企画展ですね。なんだかすごく遠くに感じます。

司会は、松岡先生。ゲストは、林望先生。
いつもと違い、鼎談から入らなかったのは、松岡先生がぎっくり腰になってしまったからでしょうか? でも、お体を痛めていらっしゃるのに、「足袋がはけるかどうかが心配だった」とは、なんとも風流なお悩みです。能舞台には、確かに足袋かもしれません。
おひとりずつ、ご専門について語られていきますから、さながら受講している感じになりました。

林先生から「野々宮」は、固有名詞ではなく、野の宮という意味だとご説明があります。
へええ。そうでしたかー!!!
日本の神様がいらっしゃるのは、遠く、山から下りてきて、俗のケガレを嫌います。
一般の人が暮らすのは里。里と山の中間に、「野」があり、そこが、潔斎の場でもあったという説明に進みます。そうか、斎宮ですよねえ。倭姫様ラブの時期がありまして、そのとき、斎宮の博物館にも足を運んだり、関連書を読んだりして、結構調べたのですけれど、それと「野宮」、くっついてなかったです。ハハハ、こんなもんですよ。私は。

松岡先生は、物語が能に変換されるとき、野辺のイメージは、森にすり替わったと指摘なさいます。森は、杜。つまり、伊勢の神域です。
神域の中で、密会するのは、タブー。その奥行を出すために、森が強調されているとおっしゃいます。なるほどねー。
さらに、キーアイテムとして、松虫も見逃せないと。
松虫の習性、さらに、いくつかの和歌も踏まえて、謡が構成されているそうです。
うわー、奥が深い!!!

定期能は、12月1日だそうで、あいにく私用があり、見に伺えません。
ちょっと残念です。見どころ、学んだのに!!!
きょうは、鼎談が短かったので、お家元が足りません(笑)。
もうちょっとお話し伺いたかったなー。松岡先生、一日も早いご回復をお祈りいたします。

2013年10月23日 | カテゴリー : 日々のこと | タグ : | 投稿者 : 章月綾乃

グルグル

昨日は、予想外に盛りだくさんになってしまいました。
まあ、私の行動は「思いつき」に、「ついで」で、どんどん乗っていくのが
パターンなのですが。
たまに、「日記を読むだけで、目が回る」って言われます。
申し訳ありません。先にあやまっておきます。
きょうも、目が回ります! グルグル、確実です!

さて、いろいろあったのですが、やはり心が動いたものから行きます!

観世能楽堂で、久しぶりにお能を見まして。
先週の金曜、宝生能楽堂デビューしようとしたら、いきなり眠れる石が動き、
点滴&座薬騒ぎになったのですが、昨日は大丈夫でした!

私、別に能楽がわかるわけではないのです。
「なんて言っているのかなあ?」と思いながら、ぼんやり見所に座っております。
ただ、昔から「能を見る人」になりたかったんですよね。
だから、形から入っているのです。で、ずっと初心者です。

ああ、長ったらしい!!!

要は、能を語れる資格はないけれど、でも、語らせてくれ!なのです。

ちょっと、きょうは、もえました!
大鼓の亀井広忠さんに、やられました。

「ああ、好きだな」

単純に、そう思いました。

「うん、好きだ」
「好きかもしれない」
「いいような気がする」
「いいんじゃないかな?」
「やっぱり、好きだな」

で、カンのいい方には、バレバレですが、私はマニアにハマっちゃうんですね。
むきになるっていうんですかねえ?
「イイ!」って思うと、そればっかになってしまうのですね。

帰りの電車の中で、検索かけまくりました。
ふむふむ、お父様は、人間国宝。ふむ。
んん? 亀井広忠 結婚!
そうかー、結婚しているのかー! そーか!

んなこと、全然関係ないし、どうでもいいのに、ちょっとショックを受けたりして。
アレです、男性がキレイなお姉さんを見て、「ミセスか」で、ちょっとガッカリと一緒です。
意味はありません。

で、「追いかけてみる?」も浮かぶわけです。マニア気質ですから!

でも、これは、あっけなく、頓挫しました。
だって、年内にディナーショーみたいなのがあるんですよ!
いきなり、24,000円とかないから!!!
「好きかも?」くらいで、それ、暴走しすぎだから!!!
というか、短時間で、調べ過ぎだから!!!

でも、よかったですよ。
野生の雄叫びのようで。
これまでとは違う感じで、能世界に入れました。
こういう切り口が大事なんですよね。
ひとつ、きっかけがみつかると、そこから、ほぐれていくというか。
ああ、死ぬまでに、「お能はね」って語れるようになるでしょうか???

はてさて……。
昨日のハイライトは、書ききったので、順を追って参りましょう。
ぜひ、目を回してください。

1.職人さんのお迎え
絶賛リフォーム中なので、職人さんがいらっしゃいます。
きょうは、梅こぶ茶をお出して、「じゃ、行ってきます」しました。
カギを預けて、お出かけです。

2.通院
喘息の定期検診です。問題なし。ただ、結石は、要注意です。
非常に混雑していて、くたくたになりました。

移動中、「これはいけない」と思いまして。
「今週は、睡眠不足。午後の用事が終わったら、お能を2本捨てて、
ホテルデイユースで仮眠とる?」とか考えておりました。

3.山種美術館「速水御舟」展
足を運んでわかりました。私は、『春の宵』に会いにいったみたいです。
九段にあったころに一度見て、ずっと残っていて。
で、なぜか、絵を見たら、元気になりましたよ!!!
すごい、速水御舟の調整力!  びっくりしました。

「あれ? 元気になったぞ?」で、自由ヶ丘へ移動です。

4.アーユル・ヴェーダのプチ講座
自由ヶ丘の自然派コスメのお店F&Fで、ワンコイン講座がありました。
クリニックに通っているんだから、行かなくてもよさそうなものですが、
気になったので、うかがいました。
500円で、1時間、面白かったです。
入門書は読んでいるので、その補習授業みたいな感じになりました。
10月は、もう少し実践的になるようで、1500円になるそうです。

5.初対面のライフカウンセラーさんとカフェへ
なぜか、このプチ講座、参加者が2人だけだったのです。
申し込まれている方はほかにもいらしたのに、欠席されたんですよ。
で、もう一人の方と雑談していたら、名刺交換をすることになり、
「じゃあ、お茶しますか」で、いろいろお話させていただきました。

米国占星学協会永久会員、英国占星学協会会員なんですって。
おー!!!
最近、占い師さんとの遭遇率が異常に高いんですよ。
なんでしょうかねえ? コレ?
いろいろな形のお仕事の仕方があるんだなあと勉強中です。

で、まだ、行きますよ。だって、お能、出てきてないでしょ???

6.研究会能組「枕童子」
観能のしおりによると、重陽の節句の始まりとなったお話だそうです。
これ、屋根の部分から素材が落ちてしまって、非常にハラハラしました。
なにもないはずの場所に、ワラっぽいものが落ちていて、
何かの拍子で事故につながる可能性もあります。
しかし、さすがというかなんというか、そのうちに自然に、
すみっこに追いやられていきました。
華やかで、楽しかったです。

昨日は、三本立てだったのですが、体力と集中力が不安だったので、
ひとつパスして、外に出ました。
番組は、「籠太鼓」。見たことがなかったので、見たかったのですが。

7.ザ・ミュージアム「レオナール・フジタ」展
レオナール・フジタを能で挟む人は、そうそういないでしょう!
そんなに、フジタ、好きじゃないんですよ。
でも、楽しかったです!
キスリングとか、ルソーとか、参考作品もよかったです。
もっと、年を取ると、もっとわかってくるかもしれません。

8.研究会能組「善界」
亀井広忠氏との出会いです。
面白かったです。

で、帰りにカレーを食べにいきまして、
仲良しの編集さんがよく行かれるので、
「きょうは、いらっしゃらないですよね?」ってメールをしたら、
「夕飯は食べちゃったけど、行きます!」となり……。

9.編集さんとのお茶

で、おしまい。
朝4時起きで活動しているのに、なぜかまだ、元気なんです!
もう丑三つ時ですよ? 寝なさいよ、ねえ?

アメログにも書いたのですけれど、速水御舟作品の
調整力はすごいです。
ただ、眺めているだけなのに、穏やかな心持が伝わってきて、
焦りや不安のようなものが全部消えました。
だから、きっと、元気になったのだと思うのです。
そして、フジタ展では、こだわることで生まれる強さが
入ってきて、そして、能で、根源的なパワーみたいなもので
仕上げられた感じでしょうか?
「善界」の天狗さんの力、いただいちゃったかなあ?

グルグルな一日は、仲秋の満月の夜へと続いていくのです。
はあ、ブログじゃなくて、原稿書かないと!
では、きょうも、よい一日をお過ごしくださいませ。
 

 

蹴鞠と能

観世能楽堂の能楽講座に行ってきました。
なんだかんだで、皆勤賞です。ただ、肝心のお能は、ずっと見ていないですね。
定期能は、毎月日曜日なのですが、これが、妙に出にくい日で。残念です。

さて、昨日は、『遊行柳(ゆぎょうやなぎ)」という演目についてで、
歌人の水原紫苑さんがゲストでした。

世阿弥の「西行桜」を意識された作品で、
観世信光によって作られたのが、「遊行柳」だそうです。

シテは老人の設定ですが、青々とした青柳のイメージで演じられるんですって。
確かに、強い生命力を感じました。

ただ、講演として、これまでの能楽講座に比べて話に広がりがなくて、
同じところをぐるぐるしていた印象を受けました。
一つは、お家元が今月上旬のフランス公演の疲れで、「今頃調子が狂ってきた」こと。
加えて、進行の松岡心平先生の作品のお好み。
そして、なにより、ゲストが女性だったことが要因でしょう。

水原紫苑さんは、非常に女らしい方でした。和装でスキがなく、スゴイです。
でも、これがどうも、今回はマイナスに働いた印象を受けました。
また、松岡先生のご紹介もよろしくなくて、
「水原さんは最近、よく見るようになって」みたいな失言をされたため、
水原さんは「そんなことないです。前から拝見していて」と弁明になってしまい、
「あれも、これも素晴らしかった」と……。
その流れで、最後まで話題が感想の粋を出なかったような気がします。
お能は、出が勝負で、最初にしくじると取り返しがつかないとお話に出ましたが、
鼎談もあるいは、そうなのかもしれません。少なくとも、能舞台で行われるものは。

また、お家元の意識と水原さんの愛されよう、好かれようとするお人柄の相乗効果で、
どうもどこかのクラブかバーの会話が再現されているような奇妙なトーンで
進んでいきました。
でも、松岡先生は「いい時間でした」とおっしゃっていて。

え、そうなの??? 私は今までで一番内容がなかったと感じましたけれど?
なんだか、空間がモタついて疲れてしまって。
「飲み屋? ねえ、飲み屋?」って思いながら、聞いていました。

見所の空調がキツくて、しんどかったです。
正面は混むので、脇に逃げているのですが、空間的にスカスカのせいか、
寒いったら、ありません。
ちょうど、ゲリラ雷雨に合い、一回上がって、地上が蒸され、また、渋谷で
降られて、ちょっと濡れている状態で能楽堂の冷房だったので、本当にキツくて。

一応、ストールとか持っていましたが、そういうものでは追いつかないくらい
寒くて、参りました。

奈良の談山神社が、かつて能の試演場だったこと。
蹴鞠は、敵の首を蹴ったことから始まった説があること。
これが、個人的に響きました。

遊行柳
ロビーに参考に出ていた装束です。柳に蹴鞠の意匠なんだそうです。
面白いです。作った人がいて、買った人がいて。
いや、注文なのでしょうか?

遊行柳のモデルになった柳は、もう3代目、4代目だそうですが、
非常に青々として、いわゆる老人ではないこと。
「西行桜」は、比較的上演されるけれど、「遊行柳」は珍しいこと。

メモを見直すと、導入部で、水原さんは美しい言葉を使われています。
「健やかな狂気」
「自己と他者」
「時間と記憶の物語」
しかし、これが、だんだん合いの手に変わってしまって。
クラブのママと上客の世間話みたいなトーンになってしまい……。
まあ、珍しいものを見たといえば、それでいいのかもしれませんが、
ちょっともったいなかった、もっと引き出しようがあったんじゃないだろうか?と
素朴に感じつつ、凍えて帰って参りました。

編集さんに誘われ、数人で談山神社には行ったことがあります。
そして、装束を着けて蹴鞠体験を致しました。
蹴鞠、楽しいんですよ。高く球を蹴り上げて、「続く」ことが大事なんです。

談山神社は、遠かったです。
タクシーに分乗してたどり着いた記憶があります。
でも、昔は、彼の地がひとつの拠点だったのですね。

鹿の革を張り合わせた蹴鞠が、もとは、敵の首というのは、なかなか
シュールです。
私も、少しだけ、時間と記憶の旅をしたのかもしれません。
来年、談山神社で能の公演があるそうです。ちょっと行きたいかもって思いました。
遊行柳は、9月1日(日)、観世能楽堂にて、観世会定期能で上演されます。

2013年7月24日 | カテゴリー : 日々のこと | タグ : | 投稿者 : 章月綾乃